物価高で苦しむ国民の感覚からかけ離れた政治資金の支出。疑問視されても「何が悪いのか」と開き直る―衆院選圧勝で生まれた巨大与党の慢心と「政治とカネ」問題の軽視を見せつけています。
■度を増す金権体質
高市早苗首相が衆院選で当選した自民党全議員315人に、当選祝い名目で1人約3万円相当・総額約1千万円分のカタログギフトを配りました。1年前、石破茂前首相が私費で衆院当選1回の新人議員15人に1人10万円分の商品券を配った問題が発覚しましたが、それと同じ構図。石破氏は陳謝し、全員が商品券の返却に追い込まれました。
ところが高市首相は、自らが代表を務める自民党奈良県第2選挙区支部の支出だとし、「法令上問題ない」と突っぱねています。政治資金規正法で政党・政党支部から政治家個人への寄付は認められているからです。それを承知の上で法の抜け穴をつく確信犯的行為です。追及されて「批判を受けるのであれば慎みたい」(3日の衆院予算委員会)と述べたものの、あくまで「法律には抵触しない」との姿勢です。
贈られた側も「議員活動に役立たせたい」(木原稔官房長官)、「品物についてコメントすることは差し控える」(金子恭之国土交通相)と悪びれる様子はありません。自民党の根深い金権体質は、巨大議席で度を増しています。
しかし、高市首相の言い分は通用しません。
規正法は政治資金について「民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財」(第2条)と定めます。カタログの中身にはフグ、うなぎ、松阪牛、温泉旅館宿泊なども並びます。身内議員の当選祝いにそうした物を贈って「ねぎらう」のが政治活動なのか。まして奈良県の一政党支部が約1千万円も使って315人もの議員に贈るのはおかしなことです。税の優遇を受け、本来、支部の政治活動に充てるべき資金が首相個人の財布にされています。
■たち悪い使い分け
高市首相は昨年12月、自身の政党支部が年間上限を超す企業献金を受けた問題で「政党支部と議員個人とは違う」「高市早苗に対する献金ではない」と開き直りました。
ところが、今回問題となったカタログギフトののし紙には政党支部名ではなく、「御祝 高市早苗」と個人名を記しました。企業献金をもらうときは政党支部、ばらまくときは個人名というたちの悪い使い分けですが、個人名にしたことで規正法が禁じる「個人から政治家個人への寄付」にあたる可能性が否定できなくなっています。
さらに高市首相は政党助成金を「一切使用することはない」と釈明するものの、カネに色はついていません。奈良県第2選挙区支部の24年収入の約2割は政党助成金で、税金が原資です。
自民党の政党支部は、企業・団体献金、政党助成金の受け皿となっています。カタログギフト配布問題は、政党支部を介した金権腐敗ぶりをみせつけました。与党のおごりを許さず、企業・団体献金の全面禁止、政党助成金を廃止すべきときです。

