米国とイスラエルは2月28日に開始したイランへの大規模攻撃について、相手国からの攻撃を阻止するための「先制攻撃」であると説明していますが、そもそも国際法上、先制攻撃は認められていません。これが国連憲章、国際法に明確に違反する侵略行為であることは明白です。(菅原啓)
国連憲章は武力の行使やその威嚇を禁止しており、武力行使が例外的に認められるのは、安全保障理事会の決議がある場合と他国から攻撃を受けた際の自衛反撃だけです。
今回、イランに対して武力行使を認めた安保理決議は採択されていません。では、米国とイスラエルの行動は、自衛反撃といえるのでしょうか。
米国は今回の軍事行動を正当化するために、国連憲章51条を持ち出しています。同51条は、「国連加盟国に対して武力攻撃が発生した場合」に、「個別的または集団的自衛の固有の権利」を持つことを規定しているものです。今回の事態に照らしてみると、米国やイスラエルに対してイランから事前に武力攻撃があった事実は確認されていません。
そこで、イスラエルや米国が主張するのは、事前の武力攻撃はないが、その可能性や危険が差し迫っていた、それを防ぐための攻撃、「先制攻撃」だという理屈です。
イスラエルは攻撃開始直後から、今回の攻撃を「先制攻撃」と呼んでいました。トランプ米大統領は、イランからの「差し迫った脅威」があったとして、攻撃を正当化しています。
南アフリカのラマポーザ大統領は2月28日、米・イスラエルによる攻撃を「国際法違反」と非難する声明を発表。「国連憲章第51条は、ある国が武力侵略を受けた場合にのみ自衛権を規定している。予防的な自衛行動は国際法の下で許されていないし、自衛行動は予測や想定に基づくものであってはならない」と指摘しました。イスラエルや米国が主張するような憲章第51条に基づく自衛反撃という説明を真っ向から否定しているのです。
さらにいえば、自衛反撃の論拠もきわめて曖昧であることが日増しに明らかになってきています。ロイター通信によると、トランプ政権の高官は1日、共和・民主両党の議会スタッフへの非公開の説明の中で、米国のイラン攻撃の前にイランが米国への先制攻撃を計画していることを示唆する情報はなかったと認めたといいます。ロイターは「戦争の主要な論拠の一つを崩すものだ」と指摘しました。
国連憲章や国際法で認められないばかりか、自衛反撃の理由も正当化できない米国とイスラエル。戦争を止めるため、国際社会はまずこの戦争を始めた両国に攻撃を直ちにやめるよう要求しなければなりません。

