日本共産党の田村智子委員長は2日、衆院予算委員会で質問に立ちました。高市早苗首相に、米国とイスラエルによる国連憲章・国際法違反の対イラン攻撃の中止を求めるよう要求。物価高騰から暮らしを守り、経済を立て直すため、「タックス・ザ・リッチ(富める者に課税を)」で消費税を5%に減税し、「富の一極集中」をただし大幅賃上げを実現するよう迫りました。
イラン先制攻撃
田村「米国とイスラエルは明白な国際法違反」
高市首相「法的評価を控える」
(写真)高市早苗首相らに質問する田村智子委員長=2日、衆院予算委
米トランプ政権とイスラエルがイランに対する大規模攻撃を開始したもとで、日本政府の対応が問われます。国連憲章・国際法違反の攻撃の中止を米国とイスラエルに迫るよう求める田村氏に対し、高市首相は自ら答えようとせず、無責任な姿勢に終始しました。
トランプ政権はイラン政権を「巨大なテロ組織」だとみなし、イラン国民に政権転覆まで呼びかけています。田村氏は「イスラエルが『イランに対する先制攻撃を行った』と発表しました」とする高市早苗首相のXへの投稿を挙げ、イスラエルが自ら先制攻撃だと認めていると指摘しました。
田村 イランへの先制攻撃は明白な国連憲章・国際法違反ではないか。米国とイスラエルに無法な攻撃をやめるよう求めるべきだ。
茂木敏充外相 イスラエルは国連憲章および国際法にのっとり軍事行動を行っていると述べ、アメリカ、イランは国連憲章51条に基づいて行動していると述べている。
田村氏は、米国とイスラエルの代弁者のような答弁だと批判し、各国の主権尊重、武力行使の禁止は、国連憲章・国際法上の大原則であり、国連憲章51条は武力の行使を禁じていると強調。武力行使が例外的に認められるのは、国連安保理決議がある場合と自衛権を行使する場合だけだとして、今回の攻撃はいずれにも該当せず、主権国家を先制攻撃し、国家体制の転覆を行うことが認められたら、戦後の平和の国際秩序は崩壊してしまうと警告しました。
田村 アメリカとイスラエルに国連憲章・国際法違反の先制攻撃をやめるように求めるべきだ。
首相 自衛のための措置かも含め、詳細な情報を持ち合わせているわけでない。法的評価を差し控えたい。
田村氏は、イランの核開発が許されないのは当然だが、外交交渉で解決すべき問題だと強調。今回の攻撃直前に仲介国のオマーンは、イランが国際原子力機関(IAEA)の査察の全面受け入れに同意し、協議は建設的に行われていると国際社会に発信していたと述べました。
茂木外相は「アメリカはオマーンの発言を必ずしも肯定しているわけではない。協議には相当な隔たりがあるというのが多くの国の認識ではないか」と合理化しました。
田村氏は「隔たりがあるから先制攻撃を行っていいのか。それでは外交交渉は成り立たない。重大な発言だ」と批判。子どもが犠牲になり、中東への戦争の拡大が懸念される中、先制攻撃をした側を批判せず、どうやって戦争を止めるのかと迫りました。
田村 先制攻撃を行っているアメリカとイスラエルに攻撃中止を求めて、外交交渉に戻るように求めるべきではないか。
首相 日本としてはアメリカとイランの交渉については強く支持する立場だった。交渉がうまくいかず今の事態に至っている。
田村 結局、一切先制攻撃を批判できない。これは極めて重大だ。
田村氏は、戦争を止めるためには先制攻撃している側に対し攻撃中止を求めるべきだと重ねて迫りました。
消費税減税
田村「富裕層と大企業への減税・優遇をただせ」
財務相 全く答えず
田村氏は、高市首相が食料品消費税ゼロなどを議論するとして立ち上げた「社会保障国民会議」の初会合(2月26日)には、食料品のみ2年間限定の減税を主張する与党と、減税に反対するチームみらいだけが参加したと指摘し、次のように迫りました。
田村 国民の中には一律5%減税を求める意見が多く存在する。なぜそうした意見を排除するのか。
片山さつき財務相 一定の共通理解を持つ政党との間で議論を行うためだ。消費税が社会保障の貴重な財源であると認識し、給付付き税額控除の実現に賛同する野党に声かけしている。
田村 5%減税を求める声は最初から排除ということだ。何が「国民会議」かと言わざるを得ない。
高市首相は、給付付き税額控除は「改革の本丸」だと主張しています。田村氏は、低所得者ほど負担率が重い消費税の逆進性を認めるから給付制度を持ち出していると指摘。逆進性への対策の必要性を認めるなら、減税を求める声に応えた議論をすみやかに進めるよう求めました。
消費税減税の財源は富裕層と大企業への課税による確保を主張。所得が1億円を超えると、所得税と社会保険料の合計負担割合が低下することは誰が見ても不公正だと批判し、巨額の利益を得ている超富裕層と大企業への行き過ぎた減税・優遇をただすよう訴えました。
田村 「タックス・ザ・リッチ(富める者に課税を)」で財源を確保し、消費税5%を実現する。これが最もシンプルで公正、迅速に実現できる消費税減税ではないか。
財務相 全体の財政バランスを考えた上で、食料品に限る消費税減税を給付付き税額控除を実施するまでのつなぎとする。
田村 全く答えていない。
高市首相は、富裕層への追加税負担の対象を年間所得6億円以上とする方針ですが、所得6億円を超える人は約2000人にすぎないと26日の参院本会議で答弁しています。田村氏は、所得が1億円を超えると税負担が軽くなる「1億円の壁」で優遇されている人は3万2000人にのぼると指摘。国民の中には「なぜ超富裕層を優遇するのか」「消費税10%負担が重い」という声があり、「これらを排除すると国民の声に応えることにならない」と強調し、「国会でまともな消費税減税の議論を直ちに行うべきだ」と強く求めました。
自社株買い・黒字リストラ
田村「行き過ぎた株主還元 新自由主義政治に責任」
首相「各企業の利益配分に政府の評価はなじまない」
田村氏は、物価高騰から暮らしを守るために大幅賃上げは不可欠だと強調し、「大幅賃上げはこれまでも可能だったし、直ちに可能だ」と指摘。自社の株を買い戻し、株価をつり上げて株主のもうけを増やす自社株買いと「黒字リストラ」による行き過ぎた株主還元の規制を求めました。
田村氏は、2015年度以降の東京証券取引所のプライム市場の上場企業1452社の決算書と有価証券報告書を集計したデータを提示。15~24年度の10年間で上場企業の純利益は2倍に、株主配当は2・3倍に、自社株買いは3・8倍に急増した一方、実質賃金はマイナス2%だと告発しました。
田村 大企業は賃上げをする体力は十分ある。しかし、利益を大株主にばかり還元して、労働者にはまともに分配していない。
首相 利益のうち、どの程度の割合を配当と自社株買いで株主に還元しているかを見ると、直近10年間を総じて見れば緩やかな増加傾向にある。各企業が利益をどのように配分するかは、政府による評価にはなじまない。
これに対し、田村氏は、15年度以降、上場企業の増えた純利益31兆円のうち、8割の24・6兆円が株主配当と自社株買いに回る一方、正社員の賃金総額の伸びは3・7兆円にすぎないと告発。大企業が利益をあげても、株主還元へと流れ、労働者にはほとんど分配されていないと指摘し、「『富の一極集中』をたださないと、失われた30年は、40年、50年になってしまう」と批判しました。
田村 あまりにも株主還元に偏っていないか。
財務相 人的投資や新事業投資がより積極的に行われるよう、企業の資源配分戦略を成長志向型に変容させていく。
田村 促すだけでは、株主還元の行き過ぎは改善できない。
田村氏は、自社株買いへの規制を提起。直近の2年間で、上場企業全体で33兆円が自社株買いに回り、自社株買いを行った企業の正社員の賃金総額の2年分に匹敵すると示しました。アメリカやフランスでは自社株買いに課税して抑制しようとしていることを挙げ、日本でも「自社株買いに対する課税も含めた税制上の規制をしなければ、大規模な株主還元を規制できない」と強調しました。
田村氏はさらに、行きすぎた株主還元は、「黒字リストラ」という問題まで起こしていると指摘。三菱電機は24年度、過去最高の3241億円の利益を上げ、そのうち63%を株主配当と自社株買いの株主還元に回したが、まだ足りないと70%まで引き上げる方針で、約4700人の「黒字リストラ」を打ち出していると強調。田村氏は、三菱電機は防衛装備品の受注で利益を伸ばし、25年度は史上最高益の更新を見込んでいると指摘しました。
田村 政府調達によって巨額の利益を上げる大企業が株主還元7割を目指すとはいかがなものか。政府として黒字リストラの見直しを求めるべきだ。
財務相 経済団体のトップからも大変似たような指摘をいただいている。
田村氏は「自社株買い、黒字リストラによる行き過ぎた株主還元は新自由主義を推し進めた政治に大きな責任がある」と批判し、小泉政権が禁止されていた自社株買いを01年に解禁し、アベノミクス以降に急増したと指摘。第2次安倍政権は、15年にコーポレート・ガバナンス・コード(企業統治原則)を打ち出し、株主の権利、株主の意見を聞くことを企業に求め、投資に対する収益をあげることも強力に促したとして、「これらの政策が、いま異常な自社株買いと『黒字リストラ』を引き起こし、日本経済や産業に危機をもたらしている」と強調。アベノミクスの失敗を検証し経済政策を行うよう求めました。

