「子どもの教育が、教師と子どもとの間の直接の人格的接触を通じ、子どもの個性に応じて弾力的に行われなければならず、そこに教師の自由な創意と工夫の余地が要請される」▼1976年に最高裁が全国学力テストにかかわる裁判で出した判決の一節です。「直接の人格的接触」「自由な創意と工夫」―。半世紀たった今から見ても教育にとって大切なことを指摘しています▼しかし多くの学校の現状はどうでしょうか。長年にわたる教員政策の失敗によって教員不足が深刻化し、「学校がもたない」といわれるほどに。教育内容も過密になり、子どもと教師が人としてじっくりと向き合う機会が奪われています▼学習指導要領をはじめとして授業の内容や方法を統制する動きが強まり、教師が創意を発揮する余地を大きく狭めています。奈良教育大学付属小学校で子どもたちの状況に合わせて工夫していた授業が「法令違反」などされたのはその典型です▼学校現場ではデジタル教材が使われるようになっています。どう使うかを教師が検討する間もないまま、実態に合わない使い方が強いられ、教育の画一化がいっそう進むことが危惧されます。子どもと教師の触れあいが、ますます薄くなるのではないかと心配です▼現在、中央教育審議会で学習指導要領の改定に向けた議論をしています。教育の原点に立ち返り、人格的触れあいを大切にする、教師が目の前にいる子どものため自由に工夫ができる。そんな改革こそ必要ではないでしょうか。
2026年3月2日

