高市政権が改憲実現へ向けた「改憲シフト」をいっそう強めています。20日の施政方針演説で高市早苗首相は、改憲案の国会発議が早期に実現することを期待するなどと述べ、発議を推進する考えをあからさまに示しました。演説と軌を一にするように、改憲派を要所に配置し、態勢固めを進めています。
保守派筆頭格らが
象徴的なのが衆院憲法審査会の人事です。高市首相は総選挙中、「憲法審査会の会長は残念ながら野党だ」と述べ、改憲論議には与党の議席増が必要だと強調していました。総選挙の結果、会長ポストを“奪還”すると、自民党憲法改正実現本部長を務めた古屋圭司前党選対委員長を起用。野党との交渉役を担う与党筆頭幹事には同本部事務総長を兼ねる新藤義孝元総務相を充てました。
古屋氏は改憲・右翼団体「日本会議」と一体の日本会議国会議員懇談会の会長などを、新藤氏は副会長などをそれぞれ歴任。いずれも改憲・保守派の筆頭格です。
古屋氏は会長就任後、「国民が国民投票に参画する機会が奪われているのは国会の不作為だ」と主張し、「立党の原点」である改憲に党一丸で取り組むと述べています。新藤氏も「党是として掲げてきた憲法改正を必ず実現したい」と表明。憲法審の運営がこれまで以上に“改憲ありき”となる危険が高まっています。
狙いは9条改憲です。高市首相は総選挙中、「憲法になぜ自衛隊を書いてはいけないのか。彼らの誇りを守り、しっかり実力組織として位置付けるためにも、当たり前の憲法改正をやらせて」と訴えました。
その推進役となるのが再任した閣僚です。小泉進次郎防衛相は、選挙が終わった途端、改憲の是非を問う国民投票について「速やかに実現に向けて動くべきだ」と発言。長射程ミサイル配備や武器輸出全面解禁など、大軍拡路線と一体で9条改憲を進める姿勢を示しています。
国民は置き去りで
木原稔官房長官は、日本会議国会議員懇談会の役員に名を連ねた改憲勢力の中心人物です。日本会議系シンクタンクの月例研究会で、戦力不保持と交戦権否認を定めた9条2項を削除する自民党改憲草案(2012年)を「理想」とする趣旨の発言をしたこともあります。
党内でも改憲派の重用が目立ちます。続投となった萩生田光一幹事長代行は、日本会議国会議員懇談会の副会長を歴任した党内きっての改憲論者。「産経」と『月刊正論』4月号のインタビューで、改憲を「高市政権のテーマ」の一つと位置づけ、「立党70年にあたる今年、やっと“天の時”が訪れた。今やらなかったら『何のための自民党だ』となる。憲法改正発議は当然だ」と強い意欲を示しています。
国民の多くは9条改憲を望んでいません。国民置き去りの改憲推進は許されません。
改憲への執念示す高市首相の発言と動き
「憲法審査会の会長は残念ながら野党だ」
「憲法になぜ自衛隊を書いてはいけないのか。彼らの誇りを守り、しっかり実力組織として位置付けるためにも、当たり前の憲法改正をやらせて」(2日、新潟県での選挙演説)
「各会派の考えも、かなり熟してきた」
「少しでも早く改正案を発議して、国民投票につながる環境をつくっていけるように、自民党として取り組みたい」(18日、首相就任後会見)
「どのような国を創り上げたいのか、その理想の姿を物語るものが憲法だ」
「憲法改正に関し、憲法審査会で党派を超えた建設的な議論が加速するとともに、国民の間でもこれまで以上に積極的な議論が深まり、国会発議が早期に実現されることを期待する」(20日、施政方針演説)
衆院憲法審査会長に古屋圭司前自民党選対委員長、与党筆頭理事に新藤義孝元総務相を起用し、「改憲シフト」が鮮明に(20日)

