高市早苗首相が衆院選で当選した自民党の全議員315人に1人あたり3万円のカタログギフトを配布していたことが明らかになりました。高市首相は党内人事でも、裏金議員の復権を露骨に進めています。カネの力で仲間を集め、ポストを配分する自民党の体質は変わるどころか、総選挙後、早くも先祖返りの動きを見せています。
■カネへの感覚マヒ
昨年3月、石破茂首相(当時)が2024年衆院選で初当選した自民党議員15人に1人10万円相当の商品券を配布していたことが発覚し、庶民とかけ離れた金銭感覚に強い批判の声があがりました。石破氏は国会で陳謝し、全員が商品券を返却しました。
ところが、高市首相は同様のことを行いながら、何の反省もないばかりか、「厳しい選挙を経て当選したことへのねぎらい」「(私が支部長を務める)奈良県第2選挙区支部として品物を寄付したもの。法令上も問題ない」と開き直っています。
1千万円近い額を「法的に問題ない」と確信犯的にばらまくこと自体異常で、物価高で生活に苦しむ庶民感覚とかけ離れています。問われているのは、高市首相のカネに対する感覚マヒと倫理観の欠如です。
昨年の臨時国会では高市首相が代表を務める政党支部が政治資金規正法の上限を超える寄付を受けていたことが発覚。「政治とカネ」をめぐる問題は噴出し続けています。
ところが、自民党は今回の衆院選で、裏金議員43人を公認し、比例代表への重複立候補を認めました。高市政権の「政治とカネ」への無反省ぶりは際立っています。
総選挙後の自民党人事では、旧安倍派で実務を取り仕切る事務総長を務め、裏金づくりの中心にいた西村康稔氏を選挙対策委員長、松野博一氏を組織運動本部長に充てるなど、裏金議員を次々と復権させました。西村、松野両氏は旧安倍派で「5人衆」と呼ばれた幹部。同じく「5人衆」だった萩生田光一氏も幹事長代行を続投させました。
■派閥力学の動きも
また、裏金問題を受けて派閥解消の動きが進みましたが、唯一残っていた麻生派が衆院選後、新人議員らを囲い込み、派閥の力学を復活させる動きを強めています。
麻生太郎氏は昨年の総裁選で高市首相を支持。自民党の中心幹部には、麻生副総裁をはじめ、鈴木俊一幹事長、有村治子総務会長など麻生派がずらりと並んでいます。麻生派は、衆院選後18人を加入させ、計60人に勢力を急拡大させ、影響力を強めています。
「政治とカネ」の問題は特別国会でもひきつづき重要な焦点です。高市首相は施政方針演説で「政治へのさらなる信頼回復」と言いましたが、「政治とカネ」に向き合う姿勢を示さないなら、国民の不信感は募るばかりです。
裏金問題が発覚して3年以上たっても、再発防止策は不十分なままです。金権腐敗の元凶で、賄賂政治をもたらす企業・団体献金の禁止は待ったなしです。自民党が大勝したからといって、「政治とカネ」の問題を不問に付すことは許されません。

