高市早苗首相は衆院選後の9日、「国家としての情報分析能力を高め、危機を未然に防ぎ、国益を戦略的に守る体制を整える」として、「国家情報局」の設置に向けた法案を特別国会に提出すると述べました。
内閣情報調査室(内調)を格上げして国家安全保障局と同格とし、国家の情報収集・分析の司令塔機能を強化する狙いです。日本の情報機関は内調のほか、警察、外務省、防衛省、公安調査庁などに分散しています。こうした情報機能を首相直属の機関に集中する体制づくりといえます。
■謀略機関の設置も
国家情報局の設置は高市首相の肝いり政策の一つで、「対外情報庁」の創設、「スパイ防止法」の制定とセットです。これは自民党と日本維新の会の連立政権合意に盛り込まれています。
高市首相は「『スパイ防止法』は、外国勢力によるスパイ活動を規定し、監視し、必要があれば逮捕することができる法律です」と言います。「国家情報局」に防諜(ぼうちょう)の「総合調整」機能を付与するとの報道もあります。スパイ摘発のためとして国民監視の網の目を広げる危険があり、息苦しい社会になりかねません。
連立政権合意にある「対外情報庁」は、ベネズエラ侵略でも暗躍したスパイ謀略機関である米中央情報局(CIA)にならった組織で、2027年末までに創設することを明記。「スパイ防止法関連法制(基本法、外国代理人登録法およびロビー活動公開法など)」については「速やかに法案を策定し成立させる」としています。
「スパイ防止法」は戦前・戦中の軍機保護法に当たるもので、悪名高い治安維持法とともに、天皇絶対の「国体」の変革や侵略戦争に反対した人たちの弾圧に猛威を振るった歴史があります。第1次世界大戦に参戦した米国で制定された「スパイ防止法」は、徴兵に反対する言論や運動の弾圧に使われました。
高市政権が狙う一連の法制は、トランプ米政権の軍拡要求に追随して、「米国とともに戦争する国」へ進むための治安体制強化が目的です。
国民民主党や参政党は昨年の臨時国会に「スパイ防止法」案を提出し、「情報機関の統合」や「内閣情報調査局の設置」も掲げています。
■違憲立法を葬ろう
参政党の神谷宗幣代表は、公務員について「極端な思想の人たちは辞めてもらわないといけない。これを洗い出すのがスパイ防止法です」とあけすけに語っています。日本国憲法の平和主義や言論・報道の自由などの基本的人権を踏みにじる違憲立法にほかなりません。
高市首相は20日の施政方針演説で、総選挙の結果を受け、「重要な政策転換を何としてもやり抜いていけ」と国民から「力強く背中を押していただけた」と述べました。
しかし、高市首相は選挙中、「国論を二分する」この問題の中身を語りませんでした。これで国民から白紙委任を受けたとして強行することは許されません。自維国参4党連合による希代の悪法を葬り去るため、反対の大運動で包囲しましょう。

