戦争準備の大軍拡反対 東アジアの平和の枠組みづくりをめざすシンポジウム in仙台」(全国革新懇、宮城革新懇共催)が21日、仙台市内で開かれ、戦後かつてない危険な高市政権による「軍事国家づくり」を許さず、どうやって平和構築を進めるかについて議論が交わされました。パネリストとして日本共産党議長の志位和夫全国革新懇代表世話人、参院会派「沖縄の風」の高良さちか参院議員、井原聡東北大学名誉教授が発言。山口大学名誉教授の纐纈(こうけつ)厚全国革新懇代表世話人がコーディネーターを務めました。
(写真)志位和夫議長の発言を聞く人たち=21日、仙台市青葉区
志位氏は、「いかにして『戦争国家づくり』を許さない国民多数派をつくるか」と題して発言。総選挙の結果生まれている大軍拡と憲法9条改定を中心とする「戦争国家づくり」を止めるには、それに反対する国民多数派をつくる以外にないと強調。「そのためには、『大軍拡反対』『9条守れ』というスローガンを掲げるだけでは足りません。国民の疑問や不安をしっかり受け止め、それに丁寧にこたえる、本腰を入れた、粘り強い、対話の努力を国民的規模で行う必要があります」とし、重要だと考える点を四つの角度で語りました。
第一は、「法の支配」をかなぐりすてたトランプ米政権言いなりに日米一体で「戦争国家づくり」を進めていいのかという問題です。国連憲章・国際法を踏みにじる米国の無法行為への批判が国際的に広がる中、自民党政権は一言の批判もしていないと指摘。「『日米同盟絶対』で思考停止に陥っている政権が『国際法を必要としない』(ニューヨーク・タイムズ紙)と公言する大統領の言うままに『戦争国家づくり』を進めることがどんなに危険かを広く伝え、自主自立の外交への転換こそ平和をつくれると大いに語っていきましょう」と訴えました。
第二は、軍事的抑止力の強化で平和をつくれるかという問題です。
150年の歴史的スパンで軍拡競争と戦争との関係を明らかにしたカナダ・ブリティッシュコロンビア大学のマイケル・D・ウォレス教授が「軍拡競争を先行させる紛争は28件中23件(82%)で戦争にエスカレートしたのに対し、軍拡競争を先行させない紛争は71件中3件(4%)しか戦争に至らなかった」との研究結果を示していると指摘。「この歴史の教訓を重く受け止めるべきです」と語りました。
さらに、自民党政権は、この10年余、集団的自衛権行使容認、安保法制、安保3文書改定などを強行し「日米同盟の抑止力の強化」に突き進んできたが、その間の「防衛白書」の記述の変遷を見ると、「一層厳しさを増している」(2014年度版)から、「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境」(23年度版)へと緊張激化に向かったことを政府自身が認めていると指摘。相手に「恐怖」ではなく「安心」を与える外交こそ必要だとし、そのための最良の資産―憲法9条をもつ日本が世界に向けて軍縮に転換するイニシアチブを発揮すべきだと述べました。
第三は、中国との関係です。「日米と中国の間で軍拡競争という事態が起こっていることは事実」としたうえで、「軍拡競争のエスカレートで万が一にも日中が再び戦火をまじえることは、絶対にあってはなりません」として、外交的打開の道があると強調。日本共産党の「日中両国関係の前向きの打開をめざす提言」は「互いに脅威とならない」など日中両国が積み上げた積極的合意を足掛かりに前に進もうというものだとして提言の重要性を訴え、双方が真剣に実行に移すよう求めようと呼びかけました。
第四は、憲法9条はどうして生まれたのか、戦後どういう役割を果たしてきたのか、それを壊すことが何をもたらすかを歴史と事実にもとづいて明らかにしていくことです。
日本が恒久平和主義の条文をもつに至ったのは侵略戦争と植民地支配、広島・長崎など非人道的惨禍の体験という、加害と被害によるおびただしい犠牲への反省があるとし、9条がどうして生まれたのかを国民の共通認識にする努力が必要だと強調。同時に9条改悪で壊されようとしているのは、戦後81年、つくりあげてきた世界でも他に類のない平和国家としての日本の姿であることを広く共通認識にしていこうと呼びかけました。
井原氏は、政府の「戦争する国づくり」の法整備状況を示し「戦前の戦時立法に近づいている」と指摘。これに抗するには、危険をあおり敵をつくるのではなく、平和主義・協調主義の外交に徹するべきだと強調しました。
日本が米国に従属し、沖縄に重い軍事負担を強いている状況を告発した高良氏は、無関心から脱却し、目の前にある軍事力偏重、軍備拡大を自分事としてとらえることが戦争準備の大軍拡を止める力になると訴えました。
纐纈氏は「日本の防衛力強化は日本に対する戦争・恐怖・不安を招く」と述べ、軍拡を進める抑止力論から非武装平和へ、戦争を誘う同盟論から非同盟中立へと転換すべきだと強調しました。
会場から「世論を変えるために改憲派や軍拡派の市民とどう対話していったらいいか」との質問が出され、志位氏は、「改憲や軍拡が必要という人でも『戦争だけは起こしてはならない』という点では一致していると思います。そのことをベースとして共有したうえで、軍事的抑止力の強化を最優先させるのか、外交・対話を最優先させるのか、どうすれば戦争を起こさないのかを一緒に考えていくことが大切ではないでしょうか」と述べました。
東南アジア諸国連合(ASEAN)など国際社会との連帯についての質問に対し、志位氏は、ASEANは、軍事力に依存した安全保障政策をとらず、外交と対話を最優先させ、相互理解の信頼関係を築くなかで、平和の共同体をつくりあげてきたと紹介。ASEANが主導し、日米中なども参加する東アジアサミットが昨年10月の首脳会談で「この地域で国際法を擁護し、促進する役割と対話の効果を誓約している」などの宣言を採択しているとし、トランプ大統領のアメリカも「国際法を擁護」することに賛成せざるをえない力をもつ平和の流れが間近で発展していることを強調。ASEANと協力して東アジアに平和をつくる日本共産党の「東アジア平和提言」の方向での外交努力の重要性を訴えました。
そのなかで、北東アジアについては、日米韓と中ロ北朝鮮の二つのブロックに分断を固定化してはならないと強調。東アジアサミットとともに、日中韓サミットなど対話の枠組みを活用して課題を解決する流れ=「対話の習慣」を北東アジアに広げていく外交努力が必要だと訴えました。
高良氏は「日本が主権国家として自らの憲法をしっかり握りしめ、きちんと使う形で政治をしていく。そういう社会をつくるために共に手をつなぐ共同を市民の間で広くやれたらいい」と述べました。
最後の発言で志位氏は、憲法についてのそもそも論を一つひとつ丁寧に話していく対話の重要性を強調。高市早苗首相が施政方針演説で「憲法は国の理想を語るもの」と述べたが「これは憲法の本質を分かっていない発言だ」と指摘し、「憲法は国民の権利と自由を守るために国家権力を縛るものであり、この規範は歴史の反省に立って刻まれてきたものです」と述べました。(シンポジウムでの志位議長の発言の詳報は続報します)

