医療機関を受診して、解熱・鎮痛剤のロキソニンや抗アレルギー薬のアレグラなどを処方された場合に、薬剤費の一部を保険から外し、患者に負担増を押しつける改悪が18日からの特別国会で審議されようとしています。
改悪案では薬剤費の4分の1を保険給付から外して全額患者負担とし、残りの4分の3だけを保険適用とします。現役世代(70歳未満)の場合、薬剤費の3割だった自己負担が実質的に5割になります。
健康保険法(2002年改定)付則は「7割の給付」を将来にわたり維持するとし、当時の厚労相も「自己負担は3割が一つの限界」と答えていました。現行法も国会答弁もないがしろにする改悪は許されません。
■受診に罰則を科す
もともとロキソニンなどの医療用医薬品は、副作用や飲み合わせの安全性の考慮などから、医師の診察を受け処方箋をもらって入手するものでしたが、規制が緩和され、市販薬(OTC薬)としても売られるようになりました。
厚労省は“セルフメディケーション(自分で手当てする)”などの名目で、医療用医薬品の市販薬化を進め、今後も拡大する方針です。狙いは医療給付費の削減です。軽い病気やケガは医者にかからず同じ効能の市販薬を買ってすませろという方向です。日本医師会は重い病気の見逃しや副作用を懸念しています。
受診せず市販薬を買うと、厚労省の試算でも患者負担額は8倍から50倍になります。
今回狙われている改悪は、医者が必要と判断して処方する薬を、市販薬があるという理由で部分的に保険から外し負担を課すものです。
“市販薬があるのに、それを買わずに医者にかかるなら、薬代を余分に負担せよ”ということで、医者にかかることにペナルティーを科すものと言えます。何の合理性もなく、ただただ国民に負担を押し付けるものです。
来年3月から、まず77成分(約110品目)を対象にするとします。しかし、昨年末の財務相と厚労相の「大臣合意」では、対象薬剤を「(市販薬のある)医療用医薬品の相当部分」に広げることを目指すとしており、多くの薬に保険がきかない部分を持ち込もうとしています。
日本維新の会は、市販薬のある医療薬の完全な保険外しを求めています。今回は4分の1ですが、今後、保険外部分の割合の引き上げが狙われるのも確実です。
■薬代にとどまらず
重大なのは、これが、「必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保する」という医療保険の大原則に穴をあけるものだということです。04年の厚労相と規制改革担当相の「基本的合意」に明記され、厚労省自身が認めてきた原則です。
「低価値医療・無価値医療」の名で「軽い病気なら医者に行くな。医者にかかるなら別途、保険外の負担を求める」として、薬代にとどまらず検査や診療に持ち込まれ、医療保険に大穴をあける突破口になる恐れがあります。必要な医療は保険で給付するという国民皆保険の理念を揺るがしてはなりません。

