法相の諮問機関「法制審議会」は13日に総会を開き、再審(刑事裁判のやり直し)制度に関する刑事訴訟法改定の要綱をまとめ、平口洋法相に答申しました。日本弁護士連合会などが求めてきた「全面的な証拠開示」「再審開始決定に対する検察官の抗告禁止」が要綱には盛り込まれず、現状からも後退する内容となっています。
要綱は、裁判所が必要と認めなければ再審請求人は証拠を閲覧・謄写することができず、検察官の抗告も無制限に認めるなど、今の再審制度の問題点を維持しています。
現行の再審法にはない証拠開示の規定が入ったものの、新たに「スクリーニング(選別)規定」が盛り込まれました。同規定は、再審請求を受けた裁判所が審判開始決定を出してからでなければ、検察が持つ証拠開示が許されないというものです。
日弁連は要綱に反対する声明で、無罪につながる証拠の発見が困難になる内容だとして「えん罪被害者の救済を迅速かつ容易にするような運用は期待できない」と批判しています。
1966年の強盗殺人事件で死刑判決を受けた袴田巌さんは、事件から58年を経て無罪判決が確定。捜査機関が無実の証拠を隠し、検察官が再審開始決定に抗告したことで再審の手続きが長期化しました。2日の記者会見で、姉の袴田ひで子さんは「こんなことがいつまでも続いていいのか」「こんな法律だったら今までと一緒だ」と怒りをあらわにしています。
政府は答申をもとに再審法改定案を国会に提出する方針です。
再審法改正を巡っては、自民党も含む超党派の議員連盟が法案を提出していましたが、1月の衆院解散で廃案となりました。同法案は、証拠の全面開示や検察官の抗告禁止を柱としていました。超党派の国会議員の力で、議連案の再提出と成立が望まれます。
また法制審の総会では、危険運転致死傷罪の適用要件に数値基準を設ける自動車運転処罰法改定、成年後見制度と遺言制度を見直す民法改定の要綱も決定しました。

