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2026年2月11日

三つの連作で私たちの事業の魅力と希望を学び、広く伝えてゆこう

志位和夫著『自由な時間と「資本論」--マルクスから学ぶ』の刊行によせて
山口富男

 1月に刊行された志位和夫著『自由な時間と「資本論」--マルクスから学ぶ』(新日本出版社)について、山口富男・党社会科学研究所所長に寄稿してもらいました。


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(写真)志位議長の三つの連作。左が新著『自由な時間と「資本論」』

 この2年余り、私たちは、志位和夫さん(日本共産党議長)の二つの著作、『Q&A 共産主義と自由--「資本論」を導きに』(「青本」、2024年7月刊)と『Q&A いま「資本論」がおもしろい--マルクスとともに現代と未来を科学する』(「赤本」、25年8月刊)を手にしながら、マルクスと『資本論』への挑戦をつづけてきました。

 この取り組みは、党活動の理論的基礎を学び、「共産主義と人間の自由」、綱領路線を語るたしかな力になってきたと思います。

連作の理論的背景を語る

 先ごろ刊行された志位さんの新しい著作『自由な時間と「資本論」--マルクスから学ぶ』(「緑本」、新日本出版社)は、「青本」、「赤本」にまとめられた「学生オンラインゼミ」での講演(24年4月、25年5月)の理論的背景を、マルクスの「自由な時間」と未来社会(社会主義・共産主義)の探究、『資本論』での社会変革論を軸にして語ったものです。

 「緑本」は、巻頭の「はじめに」のなかで、この本の特徴と「青本」、「赤本」との関係をのべ、第Ⅰ部と第Ⅱ部に「青本」と「赤本」を主題にした二つの講義を、第Ⅲ部にこの研究に関連した五つの発言を収めています。

探究の発展過程をたどる

 第Ⅰ部「『自由な時間』と未来社会論--マルクスの探究の足跡をたどる」(24年6月の党学習・教育部長会議での講義)は、「青本」のなかでも大きな反響を呼んだ自由な時間と未来社会論の内容を、マルクスの探究をたどって明らかにしたものです。

 著者は、『資本論』と『資本論草稿集』(二つの経済学草稿など)から抜粋・編集した18点の資料を読みこなし、1840年代の考察から、「自由に処分できる時間」と「真の富」についての考えをのべたディルクの匿名パンフレットの発見(51年)、自由な時間が資本家に奪われていることを明らかにした「五七~五八年草稿」、「六一~六三年草稿」を経て、『資本論』第三部(65年執筆)での「自由の国」論、自由な時間の規定と労働時間の短縮をめぐる第一部完成稿(66~67年執筆)での探究と、つぶさに追跡・検討してゆきます。

 この作業は、マルクスが「自由に処分できる時間(自由な時間)」を人間の自由で全面的な発展への保障の場として位置づけ、この考えを根本にすえて未来社会論を展開していったことを、探究の発展過程のなかでくっきりとつかみだしました。資本主義的搾取をなくすことによって、万人が十分な自由な時間をもち、「自由で全面的な発展」をする--ここに未来社会の「基本原理」があるとの解明の巨大な意義に、あらためて目を開かされます。

 「富とは何か」についてのマルクスのとらえ方の豊かさ、『資本論』と草稿での探究をあわせて読むことの重要性もわかり、「青本」との付き合いがさらに楽しくなるでしょう。

第一部完成稿と社会変革論

 第Ⅱ部「労働者階級の成長・発展を主軸にして、社会変革の展望をとらえる--『Q&A 「資本論」』(「赤本」)の理論的背景について」(2025年9月の党国会議員団・事務局対象の講義)は、「赤本」で重視した『資本論』第一部の理論的展開を、12分野・24点の資料を使いながら、立ち入って明らかにしたものです。

 話の焦点は、講義の題名のとおり、社会変革の展望を労働者階級の成長・発展を軸にとらえることにおかれます。というのも、マルクス自身が、1865年前半に、資本主義と恐慌のとらえ方、革命論において大きな理論的発展をとげ、資本主義の「必然的没落」論の内容を見直し、第一部完成稿で新たな社会変革論の展開をはかっていたからです。

 講義は、「赤本」の章立てにそってすすみ、マルクスが商品論・剰余価値論・資本蓄積論の全篇で、搾取、貧困と格差拡大など資本主義の客観的矛盾を研究し、その深まりと一体に社会変革の主体としての労働者階級の成長・発展過程を分析したことを、まとまった形で明らかにしてゆきます。マルクスによる一連の解明と現代との接点、インタナショナルでの活動との関連もみのがしません。

 こうして著者は、搾取の秘密の謎解きが労働者階級の階級的自覚の土台となり、「自由な時間」を拡大するたたかいが社会進歩の条件をひろげること、さらに資本主義の発展のもとでの生産力の拡大が労働と自然にさまざまな害悪をもたらすとともに未来社会の諸要素をつくり、変革主体がたたかいのなかで成長・発展すること、そして社会を変える客観的条件と主体的条件の成熟の解明など、私たちが日々、苦労しながら開拓している仕事につながる社会変革の論理を、『資本論』の展開から太くつかみだしました。

 講義をとおして社会変革の立場で『資本論』のあらましを読み、「赤本」が伝えようとした「変革と希望の書」の真髄を、いっそう深く学ぶことができます。

新たな対話・共同を広げて

 第Ⅲ部「一連の発言から」は、ドイツでの理論交流(2024年9月)をふくむ、「青本」、「赤本」に関連した対談・記者会見・昨年の新春インタビューなど、五つの発言の記録です。

 一連の発言は、第29回党大会が明らかにした未来社会論の意義、人間にとっての富をめぐるマルクスの多面的な考察、さらに「共産主義と自由」についての党の探究の歩みを語り、『資本論』を多くの人々のものにする新たな対話・共同への期待をのべます。どの発言も、学んだことを現代のたたかいに生かそう、『資本論』を読むムーブメントを広げよう、との熱い呼びかけにあふれています。

 一昨年のドイツでの理論交流、今年の「しんぶん赤旗」でのマルチェロ・ムスト教授(カナダ・ヨーク大学)との新春対談「いまこそマルクス」でも明らかなように、自由な時間と『資本論』をめぐる志位さんの探究は、国際的な関心を呼んでいます。探究の内容は、昨年末に亡くなった不破哲三さん(前党議長)の研究にも依拠して展開されたもので、党の理論活動の積み重ねのうえにたった新たな達成です。

党の事業への世界観的確信を

 本書に収録された昨年の新春インタビュー「激動の世界 希望ある未来」のなかで、志位さんは、「社会発展の法則を明らかにした科学的社会主義への世界観的確信、資本主義の矛盾があるかぎりわれわれの事業は不滅だという確信こそ、どんな困難のなかでもたたかいの支えとなり、一〇三年という党史を刻んだ根本的力だと思います」(239ページ)と語っています。

 総選挙の結果、戦後かつてない「戦争国家づくり」の危険が生まれるもとで、私たちは、高市強権政治と対決し、希望ある新しい政治をひらく、歴史的責務を果たすことが求められています。そのためにも、党の事業の生命力・不滅性にたいして大局的な理論的確信をもち、どんな状況のもとでも揺らぐことのない党をつくり、国民要求にこたえる活動をすすめ、たたかいを起こすことが大切です。

 志位議長の三つの連作を活用して、マルクスと『資本論』への挑戦をつづけ、私たちの事業の魅力と希望を学び、ひろく伝える取り組みを、ともにすすめてゆきましょう。(やまぐち・とみお)