「総理の犯罪」といわれる戦後最大の疑獄・ロッキード事件が米上院多国籍小委で発覚して5日で50年になります。
米国のロッキード社が旅客機トライスターや対潜哨戒機P3Cの売り込みのために日本の政財界を巻き込み35億円もの巨額の裏金を手渡しました。巨大疑獄で浮かんだ金権汚職と対米従属の構造はいまも日本の政治を歪(ゆが)めています。
■カネで政治を歪める
ロッキード疑獄では、5億円のワイロを受領した田中角栄前首相(当時)ら政治家、丸紅前会長、全日空社長ら財界人、政商、戦犯右翼ら16人が起訴されました。
「ロッキード社の航空機が全日空に採用されるように閣僚に働きかけを」と田中首相に5億円が渡されました。
首相がワイロを懐にして影響力を及ぼす―おぞましいまでの金権腐敗です。
しかもこの5億円は74年の参院選に使われました。26人もの自民党候補に一律2000万円を配ったとされます。米企業から受け取ったワイロで選挙を歪める自民党の醜悪な断面を象徴する事実です。
ロッキード疑獄は大企業が政治家と癒着、多岐にわたる献金をしていた事実も明るみに出しました。裁判のなかで、丸紅が政党にも国民協会(政治資金団体)にも政治家団体にも政治家個人にも金を渡していたことが証言されましたが、丸紅の政治部長といわれた伊藤宏専務が「どこまでが献金かワイロか」と言いよどむ場面もありました。
ロッキード疑獄を受け、腐敗の温床・企業献金禁止の世論が高まりましたが、自民党は企業献金の上限を設定することですり抜けました。
ロッキード疑獄の最大の特徴は日米軍事同盟と直結した政治腐敗ということであり、疑惑の核心は、P3Cでした。しかし、それだけに妨害も多く、検察当局もまともにメスを入れませんでした。
CIA協力者の児玉誉士夫にP3C成功報酬25億円が約束されていました。もともとPXL(次期対潜哨戒機)は国産化方針が決定されていましたが、急きょ白紙撤回され、P3C導入に決まりました。
ロッキード事件だけでなく戦後の疑獄史には米国に売りつけられる軍用機汚職が刻まれ続けています。対潜作戦のためのP3C―日米共同作戦態勢の強化と一体に、戦犯右翼が暗躍し血税を吸う日米構造汚職の腐臭がします。
中曽根康弘自民党幹事長(当時)が米大使館員と密(ひそ)かに接触、資料を保持する米政府がロッキード事件について「もみ消す」ことを要請した事実も駐日米大使が国務長官あてに送付した機密公電によって、明らかになっています。 ことは重大です。米国に捜査資料を日本側に提供しないよう懇請する自民党政治家。金銭授受の秘密を米国に握られている政治家が日本の政治の中枢にいること自体、主権国家としてありえない醜態といわなければなりません。
■自民政治の転換を
ロッキード疑獄は、日本の政治がかかえる構造的な問題に光をあてましたが、未解決のままです。その解決の道は、企業献金禁止であり、自民党政治の転換です。

