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2026年2月4日

「円安ホクホク」高市首相 物価高の苦しみを冷笑

 「(円安は)輸出産業にとっては大チャンス」「(外為特会は円安で)ホクホク状態」という高市早苗首相の演説(1月31日)が波紋を広げています。「(円高と円安)どっちがいいのか、皆わからない」などと国民を見下し、異常円安に起因する物価高騰の苦しみを冷笑するような高市氏の言い回しは、国民生活に敵対的な自民党政治の本質を表しています。

識者も「配慮欠く」

 メディアが「高市首相、円安で『外為特会の運用、ほくほく状態』」(「朝日」31日付電子版)、「(高市首相が)足元の円安傾向のメリットを強調」(「日経」同日付電子版)と報じると、高市氏は2月1日に自身のX(旧ツイッター)へ釈明文を投稿。「あくまで『為替変動にも強い経済構造を作りたい』との趣旨を申し上げたのであり、一部報道にあるように『円安メリットを強調』した訳ではありません」と主張しました。

 しかし高市氏の円安演説の全体を読めば、事実をねじ曲げているのが高市氏の方であることは明白です。

 高市氏は「民主党政権の時、たしかドル70円台の超円高。日本で物をつくっても輸出しても売れないから、円高だったら輸出しても競争力ないですよね。日本の企業、海外にどんどん出ていっちゃった」と円高の悪影響を強調。「今円安だから悪いって言われるけれども、輸出産業にとっては大チャンス」「円安でもっと助かってるのが、外為特会っていうのがあるんですが、これの運用、今ホクホク状態です」(「日経」1日付)と語ったのです。円安による物価高騰への言及は一言もありませんでした。

 多国籍大企業とその大株主の利益ばかりを念頭に置いた円安礼賛です。海外でのもうけに税金をかけない仕組み(海外子会社配当益金不算入)までつくって大企業の海外移転を促した自民党政治の責任を棚上げし、ひたすら円安の利点を説いています。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストはコラムで「円安は企業収益や輸出競争力にプラスの面がある一方、物価高を通じて個人にはマイナス面がある」「高市首相の発言は個人への配慮をやや欠いたものと言える」(2日)と指摘しました。

 2日の東京外国為替市場では円が売られて大幅に下落。高市氏の発言が「円安容認」と受け止められたと報じられています。

狙いは大企業優遇

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 そもそも高市氏が「継承」するアベノミクス(安倍晋三政権の経済政策)は、「異次元金融緩和」などで為替相場を円安へ誘導することを狙った政策です。安倍氏は2012年末の総選挙で「無制限の金融緩和」を掲げて「私の話で円は安くなり、株価は上がり続けている」と演説し、円安誘導の意図をあらわにしました。

 日銀副総裁としてアベノミクスの一翼を担った岩田規久男氏は退任後、『日銀日記』に異次元緩和の目的を明記しました。「海外と日本の名目金利差の拡大」によって「円高修正」(円安)を図り、「外貨建て資産を保有している家計や企業」に「資産価格の上昇の利益」をもたらそうとしたのだ、と。

 アベノミクスはその思惑通りの結果を生みました。日米金利差の拡大から異常円安が進行。円換算した海外利益の増大で巨額の「為替差益」を得た多国籍大企業の株価が急騰したのです。しかしこれらの大企業は生産拠点を海外に移していたため、円安でも輸出数量は伸びず、国内生産や雇用の拡大には結びつきませんでした。それどころか為替差益を得た大企業の多くが、株主に分配する利益をさらに増やすために、非情な「黒字リストラ」で労働者を切り捨てています。

 三菱電機は25年3月期決算で過去最高の営業利益3918億円を達成。為替差益は300億円にのぼりました。1000億円もの自社株買いを決定しながら、53歳以上の従業員に早期退職を迫る「黒字リストラ」を進めてきました。

 他方、異常円安は輸入物価を高騰させ、物価全般の上昇を招きました。名目賃金から物価変動の影響を差し引いた実質賃金は、アベノミクスが始まった12年前と比べて年額34万円も減りました。

 内需に依存する中小企業は高騰した原料費を転嫁できずに苦しんでいます。25年の物価高倒産は949件にのぼり、5年連続で過去最多を更新(帝国データバンク調べ)しました。日本商工会議所の小林健会頭(三菱商事相談役)は25年11月20日の記者会見で、外国為替市場で進む円安について「中小企業が一番困るものだ」「今の為替(水準)ではやっていけないという声が仲間の間で強い」と訴えました。「円安のメリット」を国民と中小企業は享受せず、悪影響ばかりを被っているのです。

共産党、応分の負担求める

 高市政権は異次元大軍拡と大企業へのばらまきで国家財政を悪化させて円と国債の投げ売りを招き、異常円安を加速させてきました。

 国民と中小企業の苦難を顧みずに円安を「ホクホク状態」と礼賛し、大企業・大株主優遇へひた走る自民党政治に白紙委任を与えるのか。異常円安で大もうけしてきた大企業と大株主の応分の負担で財源を確保し、大幅賃上げや消費税減税を進める日本共産党を伸ばすのか。総選挙で問われます。

外為特会 軍拡財源にも

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 高市早苗首相は1月31日、川崎市内で、輸入物価高騰の原因となっている円安は「輸出産業にとっては大チャンス」「外為特会の運用はホクホク」などと演説し、物価高に苦しむ国民生活を顧みない発言への批判が噴出しています。ここで首相が言及した「外為特会」(外国為替資金特別会計)の運用益は、実は高市政権が強行している大軍拡の主要財源の一つになっています。

 財務省の説明によれば、「外為特会」は、外国為替相場の安定のために設けられており、円売りなどで取得した外貨を資産として保有し、円を調達するために発行した政府短期証券を負債として保有。保有外貨資産の利子収入などを歳入とし、政府短期証券の利払いなどを歳出としています。従って、米ドルが高くなれば歳入が増える仕組みです。歳入と歳出の差額である毎年度の利益(決算上剰余金)の一部が一般会計に組み込まれています。

 政府は2022年12月の安保3文書に基づき、23~27年度の5年間で43兆円の軍事費(防衛省予算)を確保すると決定。その財源の一つとして、「防衛力強化資金」(約4・5兆円)を設け、政府の税外収入から資金をプールする仕組みを設けました。その大半を占めているのが、外為特会受入金と同特別措置受入金です。

 結果的に、円安になればなるほど、軍事費を安定的に確保する仕組みになっているのです。こうした事実を知れば、「外為特会の運用はホクホク」という首相発言に対する怒りは、いっそう増します。