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2026年2月1日

徹底解明 軍事費

軍拡予算使い道転換すれば… 日本で世界でこれだけできる

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教育・医療を抜本拡充

 自民党政権は米国の要求に応じて大軍拡を強行し、軍事費(防衛省予算)を毎年約1兆円ずつ積み上げ、4年間で約4兆円増やしました。軍事費の国内総生産(GDP)比2%への増額を明記した安保3文書に基づくもの。この4兆円を教育や医療など暮らしに回せば何ができるか―日本共産党が試算しました。

 ▼1・8兆円を回せば、教育を抜本的に拡充できます。▽大学の学費を半額にし、入学金ゼロ▽給付制奨学金の拡充(75万人分)―が実現でき、高すぎる学費で進学を諦める人や、バイトをかけ持ちして学習時間が確保できない学生に、学びやすい環境をつくれます。また、約6000億円で学校教員定数の2割増などを進め、教員の深刻な長時間労働を改善し、少人数学級を実現できます。

 そもそも日本は、海外に比べると、教育への公的支出が異常に少ない国です。経済協力開発機構(OECD)によると、小学校から大学までの教育に対する公的支出は、21年でGDPの2・9%で、データがある加盟35カ国中34位です。加盟国平均は4・2%で大きく下回っています。トランプ米政権は、同盟国に軍事費のGDP比5%への増額を要求する方針で、高市政権はさらなる軍拡を当然視していますが、軍事より教育こそOECD水準に抜本的に引き上げるべきです。

 ▼医療分野では、6000億円を回せば、国の制度として18歳までの子どもの医療費を全国一律で無償化できます。無償化は子育て世代の長年の願いで、全国各地で導入を求める運動が起きています。

 ▼全国で値上げが広がっている国民健康保険料(税)に1兆円を回せば、均等割・平等割を廃止し、国保料全体を半分にすることができます。国保料は自営業者やフリーランス、ギグワーカー、年金生活者など雇用や生活が不安定な人が多く負担しています。国保料半額化で、そうした人たちの暮らしを支えることができます。

軍拡の波 国連も警告

 軍事費が増えているのは日本だけではありません。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の報告書によれば、2024年の世界の総軍事支出額が前年比で9・4%増の約2・7兆ドル(約413兆円)と、1988年以降で最大規模に上りました。国連は昨年9月の報告書で、軍拡は社会の発展を妨げ、対立をあおり、戦争の危険を高めると警告。軍事優先を見直し、くらし重視の予算配分へ転換するよう世界に訴えています。

 24年の軍事費は、ロシアによるウクライナ侵略などを受け、欧州で前年比17%増の6930億ドル(約106兆円)と増大し、イスラエルによるガザでのジェノサイド(集団殺害)などを受けた中東全体でも前年比15%増の2430億ドル(約37兆円)と急増しました。

 さらに、加盟国全体で1・5兆ドル(約230兆円)を記録した北大西洋条約機構(NATO)は、昨年6月の首脳会議で、加盟各国が35年までに軍事費の国内総生産(GDP)比の達成目標を従来の2%から5%へ引き上げると合意しています。

 SIPRIは軍事費の増大傾向が続けば、35年までに世界の軍事費は24年の約2・5倍の6・6兆ドル(約1010兆円)まで膨張すると警告しています。

格差・環境悪化に

 国連報告書は、軍事費増大が、あらゆる社会問題を悪化させていると指摘。各国が軍事支出を1%増やすごとに、公的医療予算が、発展途上国などで0・96%、先進諸国などでも0・56%圧縮されていると説明しています。教育や職業技能、育児などの予算も減少しており、格差が一層拡大すると強調しています。

 さらに、F35戦闘機を12分飛行させただけでガソリン自動車1年分に相当する量のガスを排出するなど、世界で最も温室効果ガスを排出する組織が軍隊だと指摘。また、基地周辺や戦地で有害物質を排出し、環境や人体に深刻な悪影響を及ぼすなど、軍拡が地球環境の悪化を加速させていると警鐘を鳴らしています。

外交優先の改革

 一方、軍事費増大をやめ、社会に必要不可欠な分野への投資に転換すれば、社会の生産性が上がり、長期的な成長につながると強調しています。

 10億ドル(約1530億円)の予算で生みだされる雇用は、軍隊が1万1200人に対し、▽クリーンエネルギー部門なら1万6800人▽医療部門なら1万7200人▽教育部門なら2万6700人―に上ると算出しています。

 また、24年の世界の総軍事支出のうち、▽4%足らずで世界の飢餓対策の年間支出を賄うことが可能で、30年までに飢餓の根絶が可能▽6%で再生可能エネルギーによる電力を30年まで全世界に供給可能▽14%で発展途上国のすべての人に基本医療を1年間提供可能―などを提起しています。

 報告書は、単に軍事を拡大すれば安全保障環境が良くなるのではないと断言。人権が守られ、暮らしが安定していると認識できる社会であればこそ、対立ではなく相手との違いを尊重し合い、相互信頼に基づく平和を構築できると強調しています。

 富裕層や大企業への課税強化など公正な税制改革などで格差是正の政策を進め、軍拡から外交優先へ安全保障政策への抜本的な改革に、世界は乗り出すべきだと呼びかけています。

 こうした訴えに応え、先頭に立って実現していくことこそ、憲法9条を持つ日本が進むべき道です。