「国論を二分するような大胆な政策、改革に挑戦していくためには、どうしても国民の信任も必要だ」--。国会論戦から逃げ、大義なき衆院解散・総選挙を強行した高市早苗首相が有権者に求めているのは、事実上の「白紙委任」です。つまり、「つべこべ言わずに私を選べ」という独裁者的な手法です。
高市首相は27日の公示第一声で、国会の常任委員長や審査会長のポストに触れ、「重要な委員会は全部、他の党が持っている。予算委員会も憲法審査会も」「だから今、勝負しなければ、せっかく高市内閣で政策を打ち出しても実現できない」と発言。安定多数を持たない与党では自らの思惑通りに政治が進められないからと、選挙に勝ち、「国民の支持」を盾に野党の反対を押し切りたいという狙いを露骨に示しました。
では、「数の力」を得た先に、何を実現しようとしているのでしょうか。
高市政権が今回の選挙戦で掲げる「国論を二分する大胆な政策」の一つが、異次元の大軍拡です。高市首相は3月下旬に予定しているトランプ米大統領との首脳会談で、米側が要求する国内総生産(GDP)比5%=30兆円規模の軍事費や、「台湾有事」で日本が中国との武力衝突の最前線に立つ態勢づくりを、「国民の信任を得た」として約束する危険があります。
「スパイ防止法」制定やインテリジェンス(情報活動)の強化、外国人対策の厳格化など、国民監視と排外主義を強める政策も待ち受けています。国旗損壊罪の創設実現にも首相は強い意欲を示しています。
さらに、連立与党の日本維新の会は、武器輸出の全面解禁や米国との「核共有」などを主張し、自民党政治を右へ引っ張る「アクセル」役を自任しています。参政党も外国人政策で選挙後の高市政権への協力姿勢を見せるなど、「全体主義政治」になりかねない危険もあります。
そこにあるのは、軍事が大手を振り、異論を許さず、「異質」な人を排除する息苦しい国家です。こんな政治をやろうとする勢力に、「白紙委任」はありえません。平和と民主主義を守る重大局面です。

