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2026年1月30日

“世界どこでも介入” トランプ政権「国家防衛戦略」

日本それでも追従 問う総選挙
共産党「力の支配、なぜ批判せぬ」

 トランプ米政権が23日に公表した「国家防衛戦略(NDS)」は、国連憲章や国際法を無視した一方的な武力行使を世界各地で続ける同政権の特異な姿勢を改めて浮き彫りにしています。今回の総選挙は、こんな恐ろしい戦略を持つ米国にいつまでも付き従っている日本でいいのか―その問いを高市早苗政権に突きつける機会でもあります。


 NDSは、「米軍の最優先課題は本土防衛だ」とした上で、「同時に西半球(南北米州)全域における米国の利益を積極的に恐れずに守る」と主張。カナダや中南米の国々の主権などお構いなしに自国の利益のために行動する立場を表明しています。

 さらに、これらの国が共通の利益を守る行動をとらない場合、「われわれは米国の利益を具体的に前進させる、焦点を絞った断固たる行動をとる用意がある」、「世界が『断固たる決意』作戦(3日の南米ベネズエラへの爆撃・大統領拉致の軍事行動)で目撃したように、米軍は迅速さ、力、正確さをもってこれを実施する準備ができている」と述べています。

 西半球を自らの勢力圏と見なす「モンロー主義」とそのトランプ版解釈に基づいて、ベネズエラ侵略のような国際法違反の軍事作戦を続ける意思の表明です。

 しかも、NDSは、「ミッドナイトハンマー」作戦(昨年6月の米軍によるイラン核施設への攻撃)を例に挙げながら、トランプ大統領に「米本土から直接攻撃を仕掛ける能力を含む、あらゆる場所の標的に対する決定的作戦を展開する能力」を提供すると強調しています。これは世界のどこでも軍事介入をする方針、「世界どこでも介入宣言」にほかなりません。

 驚くべきは、NDSにつけられたヘグセス米国防長官の序文です。歴代の米政権による軍事的資源の浪費を批判する中で「ルールに基づく国際秩序」を「空想的な抽象概念を守る自己満足的な公約」と指摘しています。「法の支配」に基づく国際秩序を維持・擁護する立場を嘲笑し、完全に捨て去る姿勢といえます。

 さらに、NDSは、国内総生産(GDP)比で軍事費と安全保障関連費を合わせて5%とすることを「新たな国際基準」と位置づけ、その達成を同盟国・協力国に要求しています。

 国際法を無視し、自国の利益のために世界中で軍事介入をする、その戦略の一環として日本にも軍事費・関連費はGDP比で合計5%とする大軍拡を要求しているのです。

 26日の党首討論会で、日本共産党の田村智子委員長は、ベネズエラ侵略の強行やグリーンランド領有の要求についてトランプ政権を厳しく非難し、高市首相に対して、トランプ氏の「力の支配」をなぜ批判しないのかと迫りました。ところが、首相は「力による抑止力ととらえている」と述べて、米国を擁護する態度に終始しました。

 米国が国際法無視の姿勢を強めているいまだからこそ、「法の支配」を否定することは許されないと抗議の声を上げる自主自立の外交が求められているのではないでしょうか。(菅原啓)


大軍拡の要求とグリーンランド

GDP比5%達成合意も軍事占領の脅し

 トランプ米政権は23日公表の「国家防衛戦略」(NDS)で、米国の要求で北大西洋条約機構(NATO)が決めた「国内総生産(GDP)比5%への軍事費増」に関し、「欧州だけでなく世界中の同盟国・パートナー国が同基準を満たすよう提唱」しました。これは日本に対して今の軍事予算(9兆円)の3倍化以上(30兆円超)を迫る国家財政破壊の要求です。

 米国が日本などへの大幅軍拡を求めるのは、ひとえに「米国の新たな黄金時代のため」(NDSの副題)。その要求に応じて米国製兵器を爆買いしても米国が「同盟国」を守ってくれる保障はありません。それどころか「同盟国」に軍事占領の脅しをかけることもいとわないというのが、最近のグリーンランド問題の教訓です。

親米国にすら

 トランプ政権は、ロシアによるウクライナ侵略戦争に直面する欧州NATO諸国に対し、軍事費をGDP比5%に引き上げなければ米国は欧州から撤退すると威嚇。NATO首脳会議は昨年6月の首脳会議で5%目標達成を合意しました。

 ところが同政権は、NATOでも最も米国に忠実な国の一つであるデンマークに対し、同国自治領のグリーンランドをよこせと武力行使の威嚇までして要求したのです。

 デンマークは1801年に米国と外交関係を確立して以降の親米国です。1949年のNATO創設には原加盟国として参加。2003年の米主導のイラク戦争には、仏独などが同戦争に反対するもと、いち早く派兵しました。アフガニスタン戦争では12年間にわたり9500人の部隊を派遣。43人のデンマーク兵が死亡しました。この犠牲者率はアフガン派兵外国軍部隊で最大級です。

 それなのにトランプ政権は、デンマーク領グリーンランドの領有を要求。デンマークが応じなければ武力による占領も辞さないと威嚇しました。NATO加盟の欧州諸国やカナダには「もはや米国は信頼できない」と激震が走っています。

“亡国への道”

 高市早苗首相は「アメリカから5%という数字は直接聞いていない。日本を守るために必要なものを、きっちりと積み上げていく」と言います(24日のニコニコ動画の党首討論)。しかし安保3文書の名称を米国にあわせて「国家防衛戦略」と変更したことにも示されるように、米軍事戦略が日本の軍事費「積み上げ」の決定的な指標であることは明らか。米国言いなりで軍事費GDP比5%要求まで受け入れるのは亡国の道です。(坂口明)