総選挙がたたかわれているにもかかわらず、各党の主張からは、政策を巡る緊張感ある対決構図がほとんど見えてきません。むしろ目立つのは、多くの政党が自民党政治にのみ込まれていく異様な政治状況です。
与党である日本維新の会は、原則として自民党と選挙協力はしないとしてきましたが、今回の選挙では自民党候補129人を推薦しています。公示日の27日、維新の吉村洋文代表は高市早苗首相と並んで第一声に立ち、「日本を引っ張っていくリーダーと一緒に立てることを本当にうれしく思う」と持ち上げ、「高市さんを孤立させない」「維新がアクセル役になる」などと政権の一体性を誇示しました。
選挙後にらんで
こうした自民党へのすり寄りは、野党にも広がっています。
高市政権は参院で過半数に至らず、衆院選の結果にかかわらず、野党の取り込みが政権維持のカギとなっています。26日の日本記者クラブ党首討論では、高市首相自身が「国民民主党には早くから(連立入りの)プロポーズを送っている」と明かしました。
同党の玉木雄一郎代表も「信頼関係の醸成に応じて連携の深さも幅も広がる」と述べ、連立の可能性を否定していません。第一声では「対決より解決、政策本位でやってきた」と語り、予算案などで政権を支えてきた姿勢を正当化しました。
参政党の神谷宗幣代表は第一声で、「日本を動かす政権の一角に参政党を入れていこう」と訴え、同日のNHK番組では、選挙後の首相指名選挙で高市首相への投票は「可能性として十分ある」と発言。事実上の与党宣言とも受け取れる踏み込みです。
中道改革連合は「政権交代」を正面から掲げようとしません。野田佳彦共同代表は24日、都内での演説で「政権交代選挙というよりも、中道が存在感を示せば穏健な保守もリベラルも結集していく可能性を秘めた政界再編選挙につながる予感がする」と発言。政権の是非よりも、選挙後の勢力配置をにらむ姿勢をにじませました。
さらに、斉藤鉄夫共同代表は「自民と連立を組むこともあるかもしれない」と「産経」のインタビューで明言し、与党入りへの意欲を隠していません。
憲法中心に共同
各党が対決を放棄する中、自民党政治との対決姿勢を鮮明に掲げているのが日本共産党です。右へ右へと傾く政治の流れに正面から対峙(たいじ)し、「憲法を真ん中にすえた共同」を広げようと呼び掛けています。暮らし、平和、人権で国民のためにブレずに働く政党の存在が、いま一層求められています。

