日本共産党

メニューとじる

すべての記事が読める

赤旗電子版購読お申し込み

2026年1月29日

きょうの潮流

 そこは「特別」という名の隔離でした。裁判官も検察官も、弁護人も「予防着」を身につけて証拠物は箸でつまむ。人間扱いされず閉ざされた審理で男性は無実を訴え続けました▼64年前、殺人の罪に問われ「特別法廷」で死刑判決を受けていたハンセン病とされた男性の死刑が執行されました。事件が起きた熊本県の地名やハンセン病療養所の菊池恵楓園(けいふうえん)で法廷が開かれたことから菊池事件と呼ばれます▼これはハンセン病への偏見と差別、排除の政策がうんだ冤罪(えんざい)ではないか。再審を求めてハンセン病の元患者や弁護士、市民らが粘り強く運動を続け国賠訴訟がたちあがります。6年前には特別法廷での審理を憲法違反とする熊本地裁の判決が確定。男性の遺族が裁判のやり直しを申し立てていました▼弁護団は裁判手続きの違憲性を理由とする「憲法的再審事由」にあたると主張。凶器とされた短刀や親族の供述の矛盾点を指摘する鑑定書を新証拠として提出していました。ところが熊本地裁はきのう、再審を認めないという決定を出しました▼この事件の再審請求が退けられたのは4回目。再審を認めて無罪となれば死刑制度そのものが崩れかねない―。その厚い壁がまたしても立ちはだかりましたが、弁護団は即時抗告する方針を▼「澄み渡る空の青さよ真実の再審を寄せよ我は祈る」。無念のまま人生を奪われた男性が残した短歌です。たたかいはこれからも。偏見や差別にもとづく国の過ち、そして、冤罪を二度とつくらせないために。