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2026年1月27日

消費税減税どうする 各党の公約から(下)

食料品ゼロ%の問題点
コスト減どころか負担増も
一律5%なら効果2倍

表

 消費税減税をめぐっては、財源問題だけでなく、「どういう減税をするのか」も争点になります。各党の政策には、減税の期間などの違いもありますが、減税の対象を全商品・サービスとするのか、食料品などに限定するのかという点が大きく違っています。

●一律5%を提案

 日本共産党は、食料品に限定せず、すべての商品・サービスの税率を一律5%に引き下げることを提案しています。その理由は主に二つあります。

 一つは今の物価高騰はあらゆる分野に及んでいることです。表のように、平均的な勤労者世帯の場合、食料品の税率をゼロにしただけでは年間6万円の減税にしかなりませんが、一律5%への減税ならば年間12万円、毎月1万円の効果があります。

 もう一つは税率を下げるだけなら準備期間は数カ月で可能で、物価高対策として効果的なことです。食料品非課税では、後述するような飲食店や農家への対策を含めて制度設計に時間がかかり、実施が遅くなってしまいます。

●飲食店の場合

 消費税の納税額は「売り上げにかかる消費税マイナス仕入れにかかる消費税」として計算されます。現在、飲食店の売り上げには軽減税率が適用されないため、10%が課税されています。食料品ゼロ%になっても売り上げの消費税額はかわりませんが、仕入れる食材の消費税はゼロになります。この結果、仕入れの税込みコストは下がりますが、それと同じだけ税務署への納税額が増えるため、1円のコスト削減にもなりません。

 ところが、そんなことを知らない利用客からは、「食材が安くなったのだから、値下げしろ」と迫られます。「無理です」と言って値下げしなければ、客は消費税ゼロの弁当などに流れて、売り上げが落ち込んでしまうかもしれません。

 飲食店なども消費税ゼロ%にすれば、ある程度の解決にはなりますが、所要財源が増えるうえに「酒類を提供する店はどうするのか」「旅館やホテルの飲食はどう扱うのか」など、さらに複雑な問題が生じてしまいます。

●農家や漁家の場合

 農家や漁家の場合、売り上げはほとんどが食料品ですから、「食料品ゼロ」になれば、販売額に上乗せする消費税はゼロになります。一方、農機具や肥料、農薬、漁船や漁網、燃料費などは、すべて税率10%です。「食料品ゼロ」にすると、仕入れの際に支払った消費税が取り戻せず、自己負担することになってしまいます。年間何十万円もの負担増、漁船や農業ハウスを購入した場合は数百万円もの負担増になるかもしれません。

 食料品を販売する小売店の場合も、食料品の仕入れ分の消費税はゼロになっても、水光熱費や電話代、運送費、店舗賃料などにかかる消費税がなくなるわけではありませんから、同様の事態が起こります。

 輸出企業と同じように、仕入れにかかった消費税を還付する「戻し税」制度を適用する方法も考えられますが、農家や小規模な小売店の多くは簡易課税(実際に払った仕入れ税額ではなく、「売り上げ消費税の何割」という簡易な計算で仕入れ税額を決める)を選択しています。この場合、ゼロ円の何割にしてもゼロ円ですから、還付はされません。

 簡易課税をやめれば還付を受けられますが、今度は、仕入れの際に受け取ったインボイスの保管義務など、事務負担が増大します。

●大幅な遅れも

 「食料品ゼロ%」を実施するためには、飲食店や農家などに新たな負担増が発生しないようにする制度改正や、国民に消費税の仕組みを説明して、飲食店などへの誤解が生じないようにすることなど、相当な時間がかかります。日本共産党の減税要求に「レジの切り替えに時間がかかるから、物価高対策に間に合わない」などと言ってきた自民党が、レジの切り替えよりはるかに長い準備期間が必要な「食料品ゼロ%」を掲げるのは、まったく筋が通りません。

 高市早苗首相は「検討を加速する」というだけで、もともと急いで実施する気などないのだから、時間がかかることなど、気にしないということなのでしょう。国民をばかにした話です。

 日本共産党は「食料品ゼロ%」に頭から反対するものではありません。将来、消費税廃止に向かう過程では、食料品など生活必需品の税率をゼロにしていくこともあり得ます。しかし、当面の物価対策の意味も含めて緊急に減税する場合には、迅速に可能だという点でも、一律5%に減税する方が有効だと考えています。

 (おわり)

 (日本共産党政策委員会 垣内亮)