病院や診療所など「保険医療機関」の廃止が昨年9月末までの1年間で3672件にのぼることが、日本共産党の白川容子参院議員と本紙の調査でわかりました。同期間を対象に医療施設の動向を調査する国の統計は、保険医療機関の廃止を調査対象にしておらず、件数が明らかになるのは初めてです。
公的保険が適用される保険医療機関は、国が社会保障費削減のために診療報酬を低く抑制してきました。さらに近年の物価高や人件費高騰が重なり、採算が急速に悪化。2025年は医療機関の倒産が20年間で2番目に多い41件(歯科を除く、東京商工リサーチ調査)となり、地域を支える病院・診療所が突然消える事態まで起きています。
調査の結果、保険医療機関の廃止は1年間(24年10月~25年9月)で医科2053件、歯科1619件でした。
医科の廃止率(現存数に対する廃止の割合)は全国平均で2・11%でした。都道府県別で医科の廃止率が高いのは青森3・09%、三重3・04%、秋田2・98%などでした。
歯科の廃止率は全国平均で2・47%でした。都道府県別で歯科の廃止率が高いのは沖縄4・50%、秋田4・47%、長崎4・24%などでした。
医科の廃止のうち、把握できただけで40件が病院(20病床以上)でした。このうち少なくとも7件は倒産にともなう廃止でした。
調査では、地方厚生局が同期間内に処理した廃止届6860件をもとに、実際は診療を継続したものを除いた“医療機関消滅”を廃止として集計。開設者の変更など、廃止とともに新規指定を受けたものは除外しました。
厚生労働省は保険医療機関の廃止件数を「把握していない」(保険局医療課医療指導監査室)とします。白川氏は調査にあたって過去20年間の廃止件数の推移を資料要求しましたが、同省は提出しませんでした。
同省の基幹統計「医療施設調査」は、保険医療機関の指定を受けない施設(自由診療のみ)も含めて廃止を集計。保険外の美容医療などが出店・閉店を繰り返しているため、保険医療機関の動向が覆い隠されています。(本田祐典)
危機防ぐ予算急げ
白川容子参院議員の話 あらゆる医療機関が経営の危機にひんし、次期診療報酬の改定で10%超の引き上げを求めてきました。この声におされて高市政権が診療報酬の引き上げ(全体2・22%)を決定したことは一定の成果ですが、関係者が求めた水準からはかけ離れています。
医療機関の廃止が相次ぐなか、実態を厚労省に問い合わせると、廃止件数・理由ともに「把握していない」とのことでした。件数や原因を的確につかみ、迅速かつ有効な対策を真剣に検討するべきです。
そもそも、こうした状況を作り出した根本的な原因は、国が推し進めてきた社会保障抑制施策です。目前の総選挙では「軍事費ではなく、社会保障や暮らしに予算を使え」の声を広げ、国民生活のための政治に転換していきましょう。

