統一協会と深い関係にあった安倍晋三元首相の銃撃事件で奈良地裁は21日、山上徹也被告を無期懲役としました。15回の公判では、統一協会の信者にされた被告の母親が総額1億円もの献金をしたことで家庭が崩壊、兄が自死した過酷な生い立ちや犯行の動機が語られました。統一協会の反社会性と、反社会的団体と知りながら支援を受けてきた自民党との長年の癒着が改めて浮き彫りになりました。
■絶望と危機感抱き
被告は、安倍氏が教団の友好団体に送ったメッセージ動画をみて、「統一協会が社会的に認められてしまう」という「絶望と危機感」を抱き、安倍氏を狙いました。
韓国生まれの統一協会が日本で活動を始めたのは1958年です。80年代には、統一協会=国際勝共連合による「霊感商法」被害が大きな社会問題になりました。近年では「地獄に落ちる」などと恐怖心をあおり高額献金をさせてきました。全国霊感商法対策弁護士連絡会の集計では、87年から2023年までの被害は約3万5000件、総額1340億円にのぼります。
統一協会の犯罪的活動が長年温存・放置されたのは政権党の自民党と癒着してきたからです。自民党は選挙活動に利用し、無給の秘書の提供を受けていたとの元自民党議員の証言もあります。統一協会は有力政治家を「広告塔」にしてきました。結果として自民党は犯罪的行為の被害拡大に加担してきたといえます。
さらに、統一協会は自民党議員らを支援することで「スパイ防止法」制定、選択的夫婦別姓制度阻止など自民党の政策に影響を与えてきました。
とくに密接な関係を持ってきたのが、岸信介元首相(安倍氏の祖父)や安倍氏ら「清和会」です。その生々しい実態を示すのが、統一協会の「TM特別報告」と題する政界工作報告です。TMとは「トゥルーマザー(真のお母様)」の略で韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁を指します。
■党と内閣の中枢に
安倍氏が銃撃されたのは、自民党公認候補・佐藤啓参院議員の応援演説中でした。特別報告には、その日は統一協会奈良教区の全信者を総動員する決起集会があり佐藤議員の代理で妻が参加したとあります。集会後、一部の信者が安倍氏の応援演説に参加し、残りの会員で勝利のための電話かけをしたと記しています。
21年の総選挙では290人もの自民党候補が応援を受けたとしています。「高市早苗」の名前が32回も登場し、高市氏の総裁選出に期待を寄せていました。
高市首相は佐藤氏を官房副長官に抜擢(ばってき)。特別報告が安倍氏への仲介役として名前を挙げている萩生田光一氏を幹事長代行にしました。
全貌を解明し、これ以上の被害を出さず、被害者救済を図るためにも、政治家、政権党と統一協会の癒着を断ち切ることが不可欠です。しかし、党と内閣の中枢に統一協会と癒着した人物が据わる高市政権にできるはずがありません。
統一協会から世界平和統一家庭連合への名称変更が安倍政権下、文化庁に認められた経緯も闇の中です。癒着を絶てない高市政権に総選挙でノーの審判を下しましょう。

