日本共産党

メニューとじる

すべての記事が読める

赤旗電子版購読お申し込み

2026年1月20日

自公政治を追認 公明主導が濃厚

中道改革連合 綱領と政策

 立憲民主党と公明党による新党「中道改革連合」が19日に発表した綱領と政策では、高市自維政権に対抗する立場を完全に放棄したばかりか、かつての「非自民」のような立場さえみられません。衆参で自民党が過半数割れに追い込まれているもとで、自民党政治を根本から変える立場を鮮明にすることが、今ほど求められているときはないのに、自公政治を追認する中身となっています。

「一丁目一番地」を放棄

写真

(写真)国会を取り囲み、戦争法案廃案、安倍首相退陣を求めてコールする人たち=2015年8月30日、国会正門前

 「安保法制反対!」「野党は共闘!」。11年前の2015年、国会に集った無数の市民の声に押され、「安保法制反対」の一点で市民と野党の共闘が始まりました。安保法制を推進した公明党と、安保法制廃止を掲げ、共闘勢力の重要な柱を担ってきた立憲民主党の合流は、結果として立民が自らの立場を完全に投げ捨て、公明党に屈服した形になりました。

 安保法制廃止は、市民と野党の共闘の「一丁目一番地」です。安保法制「違憲」から「合憲」への転換は、自民党政治を変えようと懸命に支援してきた草の根の市民に対する最悪の裏切りといわざるをえません。

 19日に発表された「基本政策」は、「平和安全法制が定める存立危機事態における自国防衛のための自衛権行使は合憲」と明記。さらに記者会見で、安倍政権が行った2014年の集団的自衛権行使容認の閣議決定を廃止するかを問われた立憲民主党の本庄知史政調会長は「(安保法制は)合憲という認識でおりますので、閣議決定の撤廃を求めていくという姿勢はござません」と明言しました。

 立憲民主党の安住淳幹事長は会見で、「専守防衛の範囲で厳格に運用され、自国の防衛のための自衛権の行使は、合憲とみなす」と述べ、歴代政権が違憲としてきた集団的自衛権の行使容認を強行した安倍政権の決定を是認しました。これはかつて公明党が、容認する集団的自衛権の行使は「自国防衛」に限定されたものであり、「他国防衛」をするフルスペックの集団的自衛権の行使ではないとして、「歯止めをかけた」と自らを正当化した主張と全く同じです。

 立民は、前身の民進党時代、こうした論理を厳しく批判していました。

 しかし、歯止めどころか、安保法制は今日、いっそう危険性を増しています。現在進行中の「高市大軍拡」の根拠になっています。実際、軍事費の2倍化や違憲の敵基地攻撃能力の保有などを盛り込んだ安保3文書は、安保法制の「実践」として進められています。 加えて、高市早苗首相は「台湾有事は存立危機事態になり得る」と発言。台湾を巡る米国と中国の軍事衝突に対して、安保法制で集団的自衛権行使の要件とされている「存立危機事態」を宣言し、米軍を支援して中国に武力行使する可能性に言及したのです。

 安保法制ができる前は、こうした行動は違憲であり、実行不可能なものでした。さらに、一夜にして、国の土台である政府の憲法解釈を変更したことは、国家運営のモラルハザードを引き起こしました。安保法制廃止を投げ捨てたことは、憲法の平和原則への背信にとどまらず、立憲民主党の立党精神である「立憲主義」を自己否定したことになるのです。

自民党への対決軸なし

 自民党政治と正面から対決する軸は、すでに失われています。

 高市政権の発足によって国政のいっそうの行き詰まりを危惧した公明党が連立を離脱し、「右でも左でもない」中道改革勢力の結集を掲げて結成されたのが、今回の中道改革連合です。

 しかし、その成り立ちからも明らかなように、「反高市」を掲げることはできても、自民党政治の根幹に切り込む立場には立てません。実際、基本政策を見ても、安保法制を「合憲」とする立場や原発再稼働の容認をはじめ、政治改革においても企業・団体献金の「禁止」は掲げず、「受け手規制」にとどめるなど、自民党政治に迎合する姿勢が随所に見られます。

 そもそも公明党は、26年間にわたり自民党と連立を組み、数々の悪政をともに推進してきた政党です。その反省なしに「改革」はありません。

 実際、同党の斉藤鉄夫代表は自身のX(旧ツイッター)で「自由民主党を含め、各党と等距離の立場で、中道改革の軸となる塊をつくっていく」と述べ、自民党の「穏健保守」にまで新党への参加を呼び掛けています。

 こうした姿勢からは、政権交代を本気で目指す意思は見えてきません。19日の党綱領の発表会見では、記者から「政権交代という言葉が抜けている」との指摘が出され、立憲民主党の安住淳幹事長が「綱領に政権交代なんてやぼな言葉は書かない」と答える場面もありました。

政策不賛同なら排除も

 公明党の斉藤鉄夫代表は、中道の綱領と政策について、同党が11月末に全国県代表者会議で示した中道改革の五つの柱をベースにしていると説明。新党結成を主導したのは公明党だと示唆しています。実際、公明が示した五つの柱は、新党が掲げる綱領の5本柱と重なっています。

 公明のユーチューブサブチャンネル(16日配信)で斉藤氏は、安保法制について改めて「日本の安全保障を守る上で非常に大きな役割を果たしている」と強調。その上で、「平和安全法制と原発再稼働を認めることも五つの政策の柱の中に入っている」と説明。司会から「これに賛同できない議員は、新党には来ない?」と問われ、「そういうことです」と明確に述べました。

 2017年衆院選で小池百合子東京都知事が立ち上げた希望の党では、民進党議員の公認をめぐり、安保法制容認と「憲法改正支持」に賛同できなければ「排除する」と小池氏が言明。市民と野党の共闘の分断をはかりました。今回の「中道」でも、同様の「排除の論理」が働く可能性があります。

■中道改革連合綱領(要旨)

 19日に発表された中道改革連合の綱領(要旨)は次の通りです。
 ・極端な思想や社会の不安を利用して、分断をあおる政治的手法が台頭。日本でも右派・左派を問わず急進的な言説が目立ち始める
 ・合意形成を積み重ね、生活者ファーストの政策を着実に前へと進める中道政治が求められている
 ・私たちの掲げる理念は「生命・生活・生存を最大に尊重する人間主義」だ
 ・「中道改革連合」は、極端主義に立ち向かい、責任ある中道改革勢力として立ち上がる

 第1の柱 一人ひとりの幸福を実現する、持続的な経済成長への政策転換 持続的賃上げを実現、経済成長を分配へとつなげ、生活者の豊かな暮らしを実現

 第2の柱 現役世代も安心できる新たな社会保障モデルの構築 現役世代の負担に配慮した、持続可能な社会保障を実現

 第3の柱 選択肢と可能性を広げる包摂社会の実現 教育格差の是正、ジェンダー平等、多文化共生、気候変動対策

 第4の柱 現実的な外交・防衛政策と憲法改正論議の深化 憲法の平和主義に基づく専守防衛を基本に、日米同盟と平和外交を軸とした、国民の平和と安全を守る現実的な外交・防衛政策を推進

 第5の柱 不断の政治改革と選挙制度改革 政治資金の透明化、民意が正しく反映される選挙制度改革など、政治改革に取り組む

【中道改革連合・基本政策の問題点】

■原発再稼働容認

 政策は「安全性が確実に確認され、実効性のある避難計画があり、地元の合意が得られた原発の再稼働」を明記。立憲民主党は2025年の参院選政策で、「原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現します」「原子力発電所の新設・増設は行わず、全ての原子力発電所の速やかな停止と廃炉決定を目指します」と明記しており、明らかな政策転換です。この立場で言えば、東日本大震災で福島原発の事故を起こした東京電力が運用する柏崎刈羽原発の再稼働も容認になります。

■軍拡推進、安保法制は「合憲」

 最大の変節は、立憲民主党の結党の原点であり、市民と野党の共闘の一丁目一番地である「安保法制は違憲・廃止」の立場を投げ捨て、「合憲」と明記したことです。

 立民は25年参院選政策で、「集団的自衛権の一部の行使を容認した閣議決定及び安全保障法制は、憲法違反であり、憲法によって制約される当事者である内閣が、みずから積み重ねてきた解釈を論理的整合性なく変更するものであり、立憲主義に反する」と強く反対していました。政策は、「平和安全法制が定める存立危機事態(集団的自衛権行使の要件)における自国防衛のための自衛権行使は合憲」としており、自民党とともに、違憲の安保法制を推進してきた公明党の立場に屈しました。政策記者会見では立民・公明両者が、2014年7月の集団的自衛権行使容認の閣議決定も廃止しないと明言しました。さらに、「必要な防衛費は増額していく」と述べ、軍事費増額も否定しませんでした。

■日米同盟基軸を明記。辺野古は?

 政策は「日米同盟を基軸にした抑止力・対処力の強化」を打ち出しています。日米同盟絶対視・アメリカいいなりの歴代自民党とまったく同じ立場です。この立場から、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設でも、明確な立場を取ることができていません。綱領発表会見で立民の安住淳幹事長は「政権を担うことになれば、今からストップすることは現実的ではない」と述べました。一方、「沖縄の人々の心情を聞いた上で整合性を取っていく」とも述べ、明確な立場を示すことができませんでした。

■9条改憲論議も容認へ

 政策は憲法について、「国民の権利保障、自衛隊の憲法上の位置付けなどの国会での議論を踏まえ、責任ある憲法改正論議の深化」を明記しました。立民はこれまでも「護憲」の立場はとらず、憲法改正論議そのものは否定してきませんでした。

 しかし、25年参院選政策では、自民党が掲げる憲法9条改定は「平和主義に反する」として明確に反対。公明党が主張する「加憲論(9条に3項を設け、自衛隊を明記)」も反対していました。政策は「9条改正反対」が消え去り、9条改定の議論を容認する内容になっています。

■政治資金の「透明性」確保→企業・団体献金禁止を投げ捨て

 政策は「政治とカネ」の問題について、「政治資金の透明性・公正性を確保する法整備による、政治とカネをめぐる問題への終止符」を打つとして、「企業・団体献金の受け手制限規制の強化」などを掲げています。立民が一貫して掲げていた企業・団体献金禁止が完全に消え去り、「透明性確保」を口実にして企業・団体献金を容認する自民党と同じ水準まで後退してしまいました。