トランプ氏の米大統領復帰から1年。米国内に、世界に、そして国際秩序に激震が走っています。国内でも海外でも、この政権が「法の支配」を捨て、「力の支配」を追求しているのは明らかです。
トランプ氏は国内では、各地の都市を軍の「訓練場」と呼び、州兵を投入して抗議デモの鎮圧を図ってきました。最近では、国内での軍動員を可能にする反乱法の適用にまで言及しています。
■「国際法必要ない」
海外では年明け早々、南米ベネズエラを攻撃し、マドゥロ大統領と妻を自国へと拉致しました。トランプ氏は同国を「運営」し、石油資源で利益を得るとまで述べました。この議論の余地のない国際法違反の暴挙以来、最後のタガさえ外れたごとく、トランプ氏は領土・権益拡大の野心をさらに強めています。
次の狙いはどこか。コロンビア、メキシコ、キューバ、イラン、そして同盟国デンマークの自治領グリーンランドにまで、軍事介入さえ示唆しながら圧力をかけています。
世界が身構える中、本人は米紙インタビューで「私に国際法は必要ない」と語りました。これがトランプ氏の国際認識なのです。
1期目からトランプ氏を支えてきた側近のミラー大統領次席補佐官は、ベネズエラ侵略の翌日、「われわれが生きているのは、力と武力、権力によって支配された現実世界だ」とも述べました。
帝国主義全盛の19世紀にまで逆行する世界観は、大統領一人のものではありません。
1年を振り返ると、この政権は数々の国際機関や条約から脱退を表明し、国内でも、対外援助を担う国際開発局を解体するなど、国際協力から後退を続けてきました。その極みは、西半球支配を打ち出した昨年末の国家安全保障戦略です。
過去の米政権も、国際法違反の武力行使や侵略を繰り返してきました。それでも、建前としてはルール順守や正当性に基づいた世界支配を維持しようとしてきました。
しかし、今の政権は、ルールも法も眼中にはありません。あるのはむき出しの「力の支配」の論理だけです。
ルールも正当性もなく、他人の物を力で奪うのは支配者でさえなく、ただの略奪者です。
■国民主権行使こそ
日本に問われるのは、こうした国との同盟関係をこのまま絶対視して続けるのか、ということです。高市早苗・自維政権は米国の変貌を目の当たりにしても、ひたすら同盟強化と追従の道を歩もうとしています。
安保法制や現在も続く大軍拡路線によって、日米同盟と国民生活・憲法との矛盾は深まり、安保条約の危険性と不平等さは増すばかりです。その上、国際社会の基本ルールを踏みにじり、同盟国に領土要求さえ突きつける国と“命運”を共にすることは賢明で合理的な選択でしょうか。
主権者は米大統領でも、党利党略の解散を行う首相でもなく、国民です。次の総選挙は、弱肉強食の力の時代へと後戻りさせないために、国民が投票を通じて堂々と声をあげる絶好の機会です。

