2026年度から公立・私立とも所得制限なしの「高校無償化」が実施されます。私立で入学金などの負担が残るという問題がありますが、教育を受ける権利の重要な前進であり国民の運動の成果です。
ところが、自維政権は「無償化」の裏で高校の大々的な再編を狙っています。教育をゆがめ、地域を衰退させるものとして見過ごせません。
その一つが高校の統廃合です。自民・維新・公明3党による昨年6月の「高校無償化に関する論点の大枠整理」は「人口減少社会に対応した規模の適正化」を掲げました。それを受けて文科省は同年11月末、「高校教育改革に関するグランドデザイン」骨子を公表し、「学校規模・配置の適正化」を打ち出しました。
すでに統廃合は各地ですすみ、遠距離通学などの問題が噴出しています。それを加速させるものです。
■先行する大阪では
先導役は大阪で極端な統廃合を進めた維新です。廃校・廃校決定の府立高は12年間で23校、残った136校も40年度までに104校程度にする計画です。少子化の下では一定の高校が定員割れします。維新はそこにつけこみました。私立「無償化」と並行し、私学助成の配分を生徒の数に応じた方式に変え、私学が生徒募集に走り、公立の志願者がより減るよう仕向けました。
しかも3年連続定員割れの公立校を「再編整備」の対象とする条例改正を行い廃校をすすめています。私立も小規模校ほど私学助成が減額され、教育条件が悪化したうえ淘汰(とうた)の危機に直面しています。
高校は地域の大切な拠点です。少子化に合わせて減らすのは、地域を寂れるに任せる愚策です。公立も私立も30人学級にすれば高校をつぶす必要はなくなり、教育条件も向上します。少子化の今こそ、世界最低水準の教育予算を増やし、高校全体を豊かに整備する道に踏み出すべきです。
■未来を担う人間を
再編のもう一つの危険は、高校教育を狭い「人材育成」におしこめる問題です。
「グランドデザイン」骨子は、「人材育成」のための「特色化・魅力化」を強調。昨年12月の補正予算で、理数系人材育成、エッセンシャルワーカー育成、あるいは統廃合に財政誘導する約3千億円の基金を創設しました。
しかし、理系人材が足りなさそうだから理工人材の高校をという発想は、高校生を青年期を生きる丸ごとの人間として見ない危ういものです。
教育を政治や経済に従属させてはなりません。教育に期待されるのは社会に働き返す諸力をもつ人間の育成です。例えば、エッセンシャルワーカーを低賃金にしている社会を変えようとする人間です。
ところが日本は、自分の行動で国や社会を変えられると思ったり、政治や選挙、社会問題について友人と議論したりする18歳の比率が最も低い国です(日本財団「18歳意識調査」)。
政府や経済界の視野で高校をふりまわすのでなく、高校生の人間形成全体を見据え、高校教育の自主性を保障する改革を検討する必要があります。国の「高校改革」の根本的な再検討を求めます。

