日本共産党

メニューとじる

すべての記事が読める

赤旗電子版購読お申し込み

2026年1月10日

憲法真ん中に確かな共同を

田村共産党委員長 福島社民党党首 対談
平和・暮らし・人権の要求に立って

 日本共産党の田村智子委員長と社会民主党の福島みずほ党首は、2026年の政治の課題、高市政権に立ち向かう共同の重要性などを、熱く語り合いました。社民党の党首が「しんぶん赤旗」に登場するのは初めて。『月刊 社会民主』と「社会新報」新年号は、田村委員長と福島党首の対談を掲載しており、相互乗り入れの企画となりました。対談は昨年末、都内で行いました。


写真

(写真)握手を交わす田村智子委員長(左)と福島みずほ社民党党首

高市政権の戦争準備に立ち向かう

 田村 26日(12月)の4党・会派(日本共産党、社会民主党、新社会党、参院会派「沖縄の風」)の党首・幹事長の街頭トーク(東京・有楽町)は、4人とも憲法を語って、高市政権と正面から対決する姿勢を示した。画期的な共同街頭宣伝になりましたね。

 福島 寒風が吹き付けるなか500人も聴衆が集まって、声援もあって盛り上がりました。ライブ中継も約3500人が同時視聴していただきました。これは最初の一歩で、2026年もぜひやりましょう。

旗揚げの場に

 田村 きっかけは、「日本社会党結党80周年・社民党30周年」のレセプションでした。私も招待いただき、来賓あいさつで「高市政権に立ち向かう共同を」と呼びかけました。この1週間前には、社民党の皆さんと懇談し共同を確認していたので、とても心強かった。新社会党の岡崎ひろみ委員長もあいさつで、地域でも共同を広げようとお話しされて、その場で私たちと新社会党の懇談を具体化することができました。このレセプションが、共同を旗揚げする大切な場となったのです。

 福島 あのレセプションは、高市政権発足の翌々日でしたね。私は高市政権が成立した時に、「戦争準備内閣」と名づけたんです。今年度の防衛予算は補正予算を合わせると11兆円。「安保3文書」は2年前倒しで見直すという。自民党と日本維新の会の連立政権合意では、憲法改正のための協議会をつくる、武器輸出に関して5類型を撤廃することも入っています。くわえて政府高官による「核保有」発言。非核三原則すら揺らいでいます。この内閣が戦争へ向かうのを本当に止めないといけない。

 田村 憲法があってなきがごとくです。それに立ち向かって4党・会派で街頭から呼びかけたのは、大きな意義があります。

一線を越えて

 田村 「核兵器を保有すべきだ」という発言が官邸から飛び出しても、高市政権はコメントもしない、処分もしない。かつて小渕内閣の時に、防衛政務次官が「核武装論議を」と発言して、すぐ更迭されたことを考えてもまさに異常です。高市首相自身が「非核三原則の見直しが必要だ」という持論があり、国会でそれをただされても、「非核三原則を堅持する」とは言わない、ここに問題の根源があると思います。

 福島 「国是として堅持する」と言わないですからね。安倍内閣をはるかに超えた「安倍超え」をしている。高市氏が首相になる前に思っていたことの具体化を着々と進めているのではないでしょうか。私たちが頑張らないといけない。

 田村 その通りです。唯一の戦争被爆国として絶対に言ってはならないという一線がなくなっている。国際的に見ても、核兵器禁止条約はもちろん、核不拡散条約(NPT)も否定することになります。自民党の中でも、これはおかしいと思っている人たちがいるはずなのに、政権の高い支持率を前に、まともにものを言うことができなくなっている。

国民要求との激しい矛盾-どうたたかうかが問われる

写真

(写真)福島社会民主党党首

写真

(写真)田村日本共産党委員長

 福島 そういう話を自民党の人とすると、今、自民党がすごく右傾化しているということを言われます。

 田村 かつての自民党とも大きく変わっていると、私も国会の中で実感します。福島さんが国会議員になられた時期、私は共産党国会議員の秘書だったのですが、あの頃は、たとえば超党派の女性議員懇談会に自民党も役員として参加して、男女賃金差別など女性の権利に関わることを自由に議論していました。

 福島 そうですよね。「スパイ防止法」に関しても、1985年に国家秘密法が問題になった時、『中央公論』に「われら自民党議員『スパイ防止法案』に反対する」という大論文が12人の国会議員で出ました。谷垣禎一さん(元総裁)が「国民には知る権利がある」と。前総務大臣の村上誠一郎さん(衆院議員)も名を連ねています。今の自民党とはやはり違いますよね。

 田村 高市首相は、自民党の中の右翼的潮流を結集し、維新と結託して政権を維持した。自民党が危機に陥るもとで、極右・排外主義の勢力を取り込んで危機を打開しようという、政治としてはやってはならない危険な方向に進んでいます。

 福島 今の自民党は国民政党であることをやめたと思っています。高市総理の所信表明演説は、国民の生活が全くない。岩盤支持基盤たる神道政治連盟などをまずおさえていこうとしている。そして、国民は働いて、働いて、働いて、「はたらけどはたらけど なおわが生活(くらし)楽にならざり ぢっと手を見る」、石川啄木の歌と同じですよ。

 田村 来年度予算案を見ても、この国の産業や経済、国民の暮らしをどうするのかは見えてこない。病院が赤字で危機的状況になってつぶれていくときに、さすがに現場からの強い要望を受けて、診療報酬を上げるけれど、日本の医療をどうしていくのかという展望は何もありません。

弱さともろさ

 田村 高市政権は戦後最悪の危険な政権ですが、同時に、国民のさまざまな要求とは激しくぶつかり合わざるを得ない。危険を甘く見ることはできませんが、弱さ、もろさを抱えている。そこでどうたたかっていくのかが問われています。

 福島 消費税減税、大企業の内部留保への課税、格差是正、労働法制の規制強化など、まさに新自由主義を変えなければいけないのに、その方針はない。大企業や富裕層は潤っているけれど、国民生活が苦しい、ここをどう変えるかという視点はない。高市総理は新自由主義ではないと言っているけれど。

 田村 新自由主義そのものです。生活の苦しさをもたらしている構造にメスを入れるつもりは全くない。

 福島 防衛予算を11兆円、GDP(国内総生産)比の2%にして、今後、おそらく3・5%、21兆円ぐらいに上げていく。教育予算や福祉、介護、医療はそうではない。維新が4兆円の医療費削減って言っている。介護もひどい。高い支持率と言われるけど、医療や介護や教育を切り捨てている、そして生活が苦しくなっていると、自分の実感としてとらえてほしいですよね。

 田村 自分の要求と照らしたときに、果たしてそれにこたえる政策になっていますか?と問いかければ、高市政権の高い支持率は決して恐れることはない。軍事費ばかりが増えて、社会保障や教育は置き去りで良いのか。この要求でどんどんたたかいを起こしていきましょう。

人権・ジェンダー・排外主義―逆流許さない運動を

写真

(写真)4野党・会派の女性党首・幹事長の街頭宣伝。(壇上左から)田村智子委員長、福島みずほ社民党党首、岡崎ひろみ新社会党委員長、高良さちか沖縄の風幹事長=2025年12月26日、東京・有楽町駅前

 田村 臨時国会の代表質問で、治安悪化や犯罪を外国人と結びつけて話すこと自体が排外主義であり、そういう主張を政党や議員が振りまくことは、外国の人たちが住むコミュニティーを危機にさらす、許されないと思うがどうかと質問しました。しかし、首相は「外国人政策についてお尋ねがありました」と言って、聞いてもいないことを答弁したのです。思わず「そんなことは聞いていない」と声をあげました。

 福島 いつもそらしますよね。「そんなことより」という答弁もありました。

選択的別姓を

 田村 それともう一つ、選択的夫婦別姓の問題で、名前は人格、人権の問題という認識があるかと質問したら、これも答えない。人権について語ることができないのです。

 福島 高市内閣は通称使用の法制化をもちだしていますが、これはもう選択的夫婦別姓つぶしです。名前を変えたくないということに答えてない。パスポートの電子データは、国際規定で登録姓なので、これは戸籍名です。ですから、いくら日本語で旧名併記をやっても、海外では全く通用しない。

 田村 ダブルネームですか、ってなりますよね。

 福島 外国に行ったり働いたりすると、パスポートで全部やるから、外国にまず入るときにトラブルが発生するわけで、通称使用は問題の解決になりません。別姓では「家族が壊れる」などと言うけれど、私なんか、もう事実婚歴ウン十年です。

 田村 通称使用はこれからもできるようにすればいい。だけど法律で必要なのは、選択的夫婦別姓を認めることです。

 福島 家父長主義の考えがとても強いですよね。これを変えたい。右とか左とかそういう話ではないですよ。

 田村 家父長制度の考えは、排外主義の一つの特徴でもありますよね。私は、これは排外主義の勢力の弱点にもなりうると思っています。選択的夫婦別姓をもとめてきた人たちは、声をあげ続けていて、全くめげても負けてもいない。

手をつなげば

 福島 いろんなところで女たちは頑張っています。アイスランドの「女性の休日」という映画を見ました。50年前に女性みんなで休日という名のストライキをやって、9割の女性が参加した。私がいいなと思ったのは、農家も主婦も会社などで働いている人も「女性差別をなくそう」って、みんなで手をつないだ。日本でも、働いている人、主婦、非正規、正規、あるいは子どもを産んだ人、産まない人、介護してる人、してない人、いろんな女の人たちが手をつなげばと思っています。どうですか?

 田村 やりたいですね。「女性の休日」は私も見ました。アイスランドはジェンダー平等で世界一の国、歴史的に人権先進国なのかなと思っていました。ところが、日本でいうと、お正月は女性が過酷に働いて男たちが飲んだくれている、アイスランドもクリスマスに全く同じ光景があった、そこから、たたかい続けて変化していったのだと衝撃を受けました。アイスランド在住の方とインスタライブをしましたが、「賃金など社会はジェンダー平等だと思う。でも家庭の中はそうではない。完全なイコールを目指して、今も『女性の休日』が行われている」というのです。

 福島 すごいですね。女たちが休みを取ったら社会がまひしたわけじゃないですか。ならば、例えば、日本にいる外国人の人すべてが休日取ったらどうなるかと。

 田村 大変なことになりますね。

 福島 まひしますよね。スーパーもコンビニも建設現場も介護の現場も農業も。

 田村 ジェンダー平等とともに、排外主義も含めて、逆流を許さないために手をつなぐことが大切ですね。

 福島 「スパイ防止法」の話になりますが、臨時国会で国民民主と参政党が法案を出し、政府は通常国会で出すと言っているけど、これを止めたい。

 田村 「スパイ防止法」は、あたかも外国人を監視するかのように宣伝していますが、日本国民を監視するということです。外国の人とつながりのある人、外国人を受け入れている大学、研究所、そういうところを全部監視していきます。国民総監視だと知らせなければ。

 福島 監視社会になるし、冤罪(えんざい)もうまれる。大川原化工機事件を見ても明らかです。戦前の治安維持法も、初めは「国体の変革」への処罰だと言いながら、対象がどんどん広がり、国家に対して文句を言うのがダメとなった。今も、すでに「『スパイ防止法』に反対する人間はスパイだ」という攻撃が始まっているのは深刻です。

仮想敵つくり

 田村 国民を監視し黙らせ、排外主義をあおって、侵略と植民地支配につき進んだ、この歴史の事実を今こそ直視したい。その中で、山口県にある、多くの朝鮮の人が犠牲になった長生炭鉱の問題も起きました。福島さんは、粘り強くこの問題に取り組んでおられますよね。

 福島 だいぶ前ですが、「慰霊碑」を建ててみんなで追悼式をやったんです。海底炭鉱の坑口を発見して遺骨が出れば、政府も遺骨収集に乗り出すと思っていました。市民の皆さんの大変な努力で遺骨は発見された、しかし政府は(収容は)危険だからやらないと、今もいっています。炭鉱犠牲者のDNA鑑定について、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領来日で進展があることを願っています。102年前になりますが、関東大震災における朝鮮人や中国人に対する虐殺は、官製ヘイトクライムという面もあります。政府が差別・排外主義的な政策を進め、人々がその中でその意識に染まり、排外主義が強まっていく。この歴史を繰り返してはなりません。今、法務省が「安心安全な日本社会のため」といって「不法滞在者『ゼロプラン』」を発表し、外国人をどんどん強制退去させている。大変な事態です。

 田村 敵がい心や差別をあおる、外国の人たちを私たちの暮らしを脅かす存在にしてしまう。それは、暮らしが苦しい本当の理由や政治の責任を覆い隠すものです。

 福島 ヒトラーは街頭で、あなたの生活が苦しいのはユダヤ人のせいだと演説しました。仮想敵国を、仮想のターゲットをつくるのが一つの手法です。

「台湾有事」発言・大軍拡路線―固まりで対抗する

 田村 高市政権は、大軍拡の口実にも排外主義を利用しています。特定の国への敵がい心をあおって、軍事費増大も長射程ミサイルも当然だと居直りをしています。

 福島 田村さんは、長射程ミサイルが配備される熊本の健軍駐屯地の調査に行かれていますね。本当に日本全国が軍事要塞(ようさい)化している。もし「台湾有事」があったとして、日本が集団的自衛権の行使で戦争をする、アメリカは戦場にならず、なるとしたら台湾と沖縄、南西諸島、九州、こんなばかなことはないですよ。

敵意をあおり

 田村 高市首相の「台湾発言」は、台湾海峡で米中の武力衝突があれば、対中国戦争がありうるという、とんでもない発言で撤回するしかない。ところが、発言を撤回しないどころか、小泉進次郎防衛相を先頭に、中国を名指しして「危機」をあおる。これは異常です。国立国会図書館の会議録検索で調べてみましたが、安保法制や「安保3文書」が対中国戦略だという発言は、高市政権以前は一つもありません。石破政権時の中谷防衛相も、「わが国の安全保障政策は特定の国に対応することを想定したものではない」と答弁しています。これは当たり前で、交戦権を否認する憲法のもとで仮想敵国を持つことはあり得ない、あってはならないことですから。

 福島 南西諸島の12万人の避難計画も絵に描いた餅であまりにひどい。小さなカバン1個持って、飛行機に乗れ、船に乗れ、安全な九州に避難しろと言うけれど、避難先になっている熊本には長距離ミサイルを配備する、どこが安全なのか。

 田村 外国を攻撃するミサイルの配備は、「他国の領土の壊滅的破壊」のため、相手の国にその脅威を認識させることが目的です。相手はそれに対抗して、こちらの基地や周辺地域をターゲットにする、まさに悪循環です。熊本の町は自衛隊と共存してきた、しかし「自分の街が標的にされるのでは」という不安を多くの市民が抱き、女性では76%が長射程ミサイルの配備に反対しています。

 福島 軍拡で生活が圧迫されると、多くの人に知ってもらいたい。復興特別所得税の2・1%を下げて1%分を防衛特別所得税にする軍拡大増税、これは恒久税です。足りなければ国債でまかなうと。戦前の軍事国債は最後、紙切れになりました。同じことをまたやろうとしている。

 田村 暮らしの破壊は誰の目にも明らかですね。軍事一辺倒で、東アジアでの平和構築の外交戦略がないことが問題です。隣の国と仲良くなれない国が、どうして国民の命を守ることができるのか。憲法を生かした粘り強い平和外交こそ、国民を守る最も確かな道だと訴え抜いていきたいですね。

カギは「対話」

 福島 どうやって反転攻勢するか。国会の中でも右へ右へと行きかねないところを、4党・会派(12月26日)の街頭演説もそうですが、できるだけみんなで固まりで声をあげていくことが大切ですね。

 田村 バラバラではない力で。

 福島 私は「反ファシズム統一戦線」と言っています。ニューヨーク市で民主的社会主義者のマムダニ氏が市長選で当選したように、世界では、平和や生活が安定することを人々は求めています。見解が違うと思っているような人たちともよく話をして、広げていって、この国が戦争に向かうことを何としても止めましょう。

 田村 ニューヨークでも、ヨーロッパでも、対話の規模がすごい。ニューヨーク市長選では10万人のボランティアが戸別訪問を徹底して行って、マムダニ氏も街頭に立って「あなたの要求は?」と無差別に話しかけている、感動しました。

 福島 今は、NHKの連続ドラマ「ばけばけ」の主題歌「笑ったり転んだり」の歌詞で、「日に日に世界が悪くなる」みたいな感じだけれど、一方ですごく希望もあって、キーワードはやっぱり対話、話し合い、臆せずにみんなでやろうよと。対話、つながる、この二つで2026年は頑張りたい。

 田村 高市政権にものをいい、反撃を求めている人たちがいっぱいいると実感しています。対話でつながり、憲法を真ん中にした確かな共同を広げていきましょう。

 ふくしま・みずほ 社会民主党党首。宮崎県出身。東大卒業後、弁護士として活動。1998年から参院議員。