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2026年1月8日

追悼 不破哲三さん 各界からの談話

 昨年12月30日に亡くなった不破哲三さん(日本共産党前中央委員会議長)の追悼談話を各界から寄せてもらいました。

南アルプス一緒に登る

元山と渓谷社 山岳図書編集部長 節田重節(せつだ・じゅうせつ)さん

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 山の本『回想の山道』(1993年)を山と渓谷社から出すことになったことが不破さんとの付き合いの始まりでした。それから、主に南アルプスを5回ほど一緒に登り、『山と渓谷』に記事を載せました。意外な人の登場に驚いた人も多かったと思います。

 不破さんと言えば南アルプスのイメージが強かったですね。いつもお盆休みに登っていましたから、「そろそろこのあたりにくるんじゃないか」と期待していた登山者もいたのだと思います。すれ違って喜んでいた人もいました。

 登山はたいていご本人と娘さん夫妻、それに私たち山と渓谷社のスタッフでした。南アルプスの赤石岳では頂上付近で不破さん家族が先行し、私は少し遅れてのんびり歩いていました。すると下りてきた登山者から「あんた、国会議員を1人だけで行かせていいのか」と怒られたのです。体が大きかったから警備の人と間違われたのでしょう。

 山では政治の話は全くしませんでした。山のことはよく勉強していて、同じ山好きの仲間としてフランクに接してくれました。不破さんにとって登山はほっとする、リラックスできる時間だったのでしょうね。

最先端で画期的な編集

横浜国立大学名誉教授 萩原伸次郎さん

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 発達した資本主義国で共産党を名乗る政党の中で、実際に力を発揮しているのは、日本共産党です。なぜなら、多くの政党は旧ソ連に従ったからです。

 日本共産党はスターリン以来の専制主義を社会主義と認めず、ソ連共産党の干渉とたたかい、1991年のソ連崩壊の時には歓迎の声明を出しました。この自主独立路線を発展させたのは、不破さんの業績です。

 『新版 資本論』の刊行でも理論的に大きな役割を果たしました。それを引き継いでいるのが、志位和夫議長の「赤本」「青本」で、今の『資本論』を読む運動につながっています。

 私が不破さんから直接聞いた話ですが、不破さんは分からない点について、新メガ『マルクス・エンゲルス全集』の編集に携わった大谷禎之介さん(故人)に手紙を書いたら、大谷さんから丁寧な返書がきたとのことです。それも参考にしながら、最先端の研究成果を生かして、新版を編集したのです。

 マルクスが恐慌の後に革命が起こるという考え方を乗り越え、資本主義が生みだす労働者階級の団結・成長に革命の必然性を見いだしたことを分かりやすく示し、第3巻で「自由な時間」を核心とする未来社会論をマルクスの草稿通りに48章の最初にもってくるなど、画期的で最新の編集といえます。これも『資本論』の成立過程を丹念に研究した不破さんの業績です。

日なたにいるような方

俳優 日色ともゑさん

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 不破さんとは、対談などで何度かお話をさせていただく機会がありました。「日曜版」の新春企画で、ご自宅で対談した時には、全国各地の人形や郷土玩具がたくさん戸棚に飾ってあるのを見て、びっくりした記憶があります。

 私も当時、人形をちょっと持っていたので、山形での公演の時に買い求めた土人形を差し上げたら、とても喜んでいただいて。後に、妻の七加子さんとの共著で出版された本(『郷土人形 西・東 民俗文化に魅せられて』)には、私が差し上げた人形も載せていただきました。

 柔和でやさしくて、穏やか。土でできた人形を見ながら、うれしそうにしている不破さんのふっくらとしたお顔が、今も鮮明に残っています。温かい、日なたにいるような方でした。

 それを、政治の世界ではきりっと変えて、言うべきことをきちんと言う。俳優もそうですけど、基本が一番大事です。底に持っているものが変わらないから、共産党は信頼できます。マルクスの研究も含めて、その伝統を不破さんをとおして感じてきました。

 いま世の中はすごく危険な方向に向かっています。不破さんのお顔を思い浮かべながら、戦争は絶対にやらせないということを私は言い続けたいと思います。

巨大なヒューマニスト

元公明党副委員長 二見伸明さん

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 「巨星逝く。不破哲三氏は政治家として巨大だったが、哲学者、学者としても一流だった」。これは昨年の大晦日(みそか)に、X(短文投稿サイト)に投稿したものだけど、私の実感だよ。

 不破さんと私は初当選が同じ、1969年12月の総選挙。不破さん39歳、私34歳。翌70年3月、不破さんの予算委員会初質問は、佐藤栄作首相(当時)らを相手に、沖縄返還をめぐる“核抜き・本土並み”の実態を理路整然と追及した論戦として高く評価されている。

 不破さんが質問するというので、自民党の幹部らも傍聴しにきた。私は予算委員だったので、その場にいたんだが、同じ一年生議員でもエライ違いだなぁって、びっくりしたのを覚えている。

 質問の後、自民党の大物が不破さんに声をかけて、“共産党を辞めて自民党に来れば、間違いなく総理大臣になる”と言っていたよ。

 私が議員を辞めてから、縁あって共産党を応援したら、著名な評論家から“共産党を応援するんだったら、資本論は読んだのか”って言われてね。私の学生時代はマルクスじゃなくてケインズ(イギリスの経済学者)だったから、そりゃそうだと思って、大学の先生が主宰する『資本論』の読書会に出ることにしたんだ。

 どうせ“資本の本”を読むなら、学者の解説じゃなく、政治の実際を見た人の本がいいと思って、不破さんの『「資本論」全三部を読む』をテキストにしてもらった。

 そこで学んだのは、労働時間を制限することによって、労働者も家族も元気になり、仕事の効率もあがるということ。マルクスとエンゲルスは、理屈じゃなく実践を通してそれを証明したということだった。

 私はマルクスを「偉大にして巨大なヒューマニスト」だと思っている。そのことを不破さんの本から学んだ。不破さんもまた、そうだと思っている。

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(写真)新版『資本論』刊行記念講演会で講演する不破哲三氏=2019年9月20日、東京都新宿区

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(写真)不破哲三氏の追悼記帳所に展示された著作=党本部