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2026年1月4日

26年 外交展望

袋小路の軍拡・排外主義
分断から友好・連帯へ

 世界はいま、大軍拡の波と偏狭なナショナリズム、排外主義が跋扈(ばっこ)しているようにみえます。2026年の始まりにあたり敵対・分断から友好・連帯への道を考えたいと思います。

 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は昨年5月、2024年の世界の軍事費が総額2兆7180億ドル(約390兆円)で、統計を取り始めた1988年以降で過去最高になったと発表しました。25年は、さらに増えるのは確実です。

 ここ数年の世界的な軍拡の波を生み出した最大の元凶は誰か。20年9月、第1次トランプ米政権のエスパー国防長官は中国・ロシアとの「大国間競争」に打ち勝つために、日本を含むすべての同盟国に、自国の軍事費を24年までに国内総生産(GDP)比2%に増やすよう要求しました。これが出発点です。

 続くバイデン政権は22年3月に発生したロシアのウクライナ侵略や中国の軍事的台頭を最大限利用し、同年6月の北大西洋条約機構(NATO)サミットで、GDP比2%超の軍事費を基準として設定させ、日本や韓国も追随しました。

 さらに、昨年発足したトランプ政権はGDP比3・5~5%という途方もない軍事費を要求。昨年11月に公表された米国家安全保障戦略(NSS)は「米国ファースト」を掲げ、同盟国の負担拡大を求めています。中ロも急激に軍事費を増やし、世界的な大軍拡の元凶になっていることは疑いありません。しかし、他国にまで軍事費を増やせと要求している国は、米国以外に存在しません。

 こうした米国の身勝手な本質を見抜くこと、多くの人に知らせていくことが重要です。

■利益最優先

 では、米国とその同盟国が軍事費を増やしたところで、世界は安全になるのか。逆です。米国を中心とした軍事ブロックに対抗するため、中国・ロシアも軍事費を増やし、さらに中ロと北朝鮮の3国が軍事ブロック化を強め、安全保障上の不安定要因になっています。

 一方、トランプ大統領は自らのノーベル平和賞受賞のため、ウクライナ戦争の「停戦」を急いでいます。そのためロシアへの「領土割譲」を事実上容認し、これを拒むウクライナのゼレンスキー大統領に、逆に圧力をかけるありさまです。さらに、「台湾有事」をあおって日本などに軍事分担を要求しながら、米中貿易を有利に進めるため、中国との協力関係をつくろうとしています。まさに「米国ファースト」=自国の利益最優先のご都合主義です。

 そもそも、米国が同盟国の軍事費増大を要求している理由として、自国製の武器を売りつけたい思惑が露骨に示されています。実際、NSSは、軍事費を増やした国に対して、「米国は防衛調達を援助する」と明記しています。

■抑止の克服

 世界的な軍拡の波に対して、国連は昨年9月、「持続可能で平和な未来のために世界の軍事支出の再調整を」と題した報告書を公表し、軍事費と、飢餓・医療・教育・地球温暖化といった分野との支出の優先順位を調整し直すよう要求。中満泉国連軍縮担当上級代表は、「世界の優先事項を再調整することは、選択ではなく、人類の存続のために不可欠」だと訴えました。

 各国で軍拡に抗するたたかいを強めると同時に、平和のための連帯を強め、軍拡の悪循環を断ち切ることが、今ほど求められるときはありません。憲法9条を持つ日本こそ、そうした動きを主導すべきです。

 もう一つは、軍拡を正当化する「抑止力」論との決別です。「抑止力」は、相手を凌駕(りょうが)する軍事力を持つことで成立します。この道にはまってしまえば、出口のない軍拡競争に陥り、相互不信の高まりと国民生活の切り捨てが進行するだけです。

 「抑止力」の中核は「核抑止」です。この問題をめぐって、昨年3月に開かれた核兵器禁止条約第3回締約国会議の報告書が、「適切な問いは、核兵器が抑止できるかではなく、核兵器が“常に”抑止できるという確実性があるか、である。この問いに対する答えは、おそらくノーだ。核抑止が失敗する可能性があることに議論の余地がない」と指摘したことは重要です。

 核戦争は国家消滅の危険を伴うレベルのものです。たとえ1%でも抑止できない可能性があれば抑止力として成立しません。日本が進める大軍拡も、「抑止力」の看板を掲げながら、抑止が破れて日本の国土が戦場になることを想定しています。「抑止力」論の限界を見据えることが重要です。

■深刻な危機

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(写真)香港フェニックステレビのインタビューに答える志位和夫議長

 米軍を「抑止力」とあがめ、性犯罪など在日米軍の犯罪を野放しにし、トランプ氏をノーベル平和賞に推薦するなど、ひたすら米国にこびる高市早苗首相。他方で中国への敵対姿勢を政権浮揚の動力としており、政治全体の右傾化と、「反中国」「外国人敵視」「軍事力信奉」の危険な世論状況を生み出しています。

 その端的な表れが「台湾有事はどう考えても存立危機事態になり得る」という国会答弁です。首相が特定の国を名指しして、武力行使の可能性を示した発言は戦後初めてです。しかも、台湾は中国にとって最重要の「核心的利益」という位置づけです。台湾に関する中国の立場を「理解し、尊重」するという、1972年の日中国交回復の基礎を根底から覆す答弁です。

 その結果、日中関係は深刻な危機に陥りました。日中関係の改善こそ、今年の日本外交最大の課題といえるでしょう。高市氏は、「対話はつねにオープンだ」と言いながら、答弁の撤回は拒み続けており、打開の糸口は見えていません。

 野党各党や、複数の元外交官から、答弁の撤回を求める声が相次ぎました。日本共産党の志位和夫議長は昨年12月2日、「日中両国関係の悪化をどう打開するか」というテーマで、香港フェニックステレビのインタビューに答えました。

 志位氏は、高市答弁の撤回が最優先だとした上で、72年の日中国交正常化に伴う日中共同声明など一連の重要な合意の土台の上に、友好関係の再構築を進める努力が必要だと強調。その上で、(1)日中双方は、「互いに脅威とならない」という2008年の共同声明を生かし、双方が緊張と対立を悪化させる行動を自制する(2)尖閣諸島問題では、14年の日中関係に基づき、日中が「異なる見解を有している」と認識し、「対話と協議」を通じて問題を解決する(3)双方が、地域のすべての国が参加する包摂的な枠組みをつくる―ことを提起しました。

■希望はある

 軍事優先の国家づくりと極右・排外主義が広がる国際情勢は、決して楽観できるものではありません。日本も、こうした状況が広がり、社会全体に閉塞(へいそく)状況と分断を生み出しています。

 他方、欧州では極右勢力との長いたたかいをへて、これに抗する左翼勢力が伸長。米国でも、イスラム教徒出身で「民主的社会主義者」を名乗るゾーラン・マムダニ氏がニューヨーク市長に就任しました。人々は敵対・分断より友好・連帯を求めています。希望は必ず、存在します。