大軍拡の前倒し、「台湾発言」など、危険性をあらわにする高市早苗政権にどう立ち向かい、希望ある新しい政治をつくるのか―。日本共産党の田村智子委員長と、「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」共同代表の田中優子さん(法政大学名誉教授・元総長)が、語り合いました。
(写真)撮影・佐藤研二記者
田村 あけましておめでとうございます。
田中 おめでとうございます。
田村 「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」の立ち上げ(2023年1月)から丸3年ですね。発足から1カ月で「軍拡より生活」の7・5万人の署名を集め、シンポジウムも次々と開催しておられますね。
田中 そうです。軍拡に反対するだけでなく、沖縄など南西諸島や辺野古(名護市)など、各地で何が進んでいるのか、私たちが見て、知って、伝えあうのはすごく大事なことです。
それに「女たちの会」は、スタート時点で大阪や熊本、北海道と各地で立ち上がったんです。とくに熊本がすごい。
(写真)たむら・ともこ=1965年長野県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。2022年に参議院議員3期目当選、24年衆院議員初当選。党副委員長、政策委員長などを歴任し24年1月から現職
(写真)たなか・ゆうこ=1952年神奈川県生まれ。江戸文化研究者、法政大学名誉教授・元総長、同大学江戸東京研究センター特任教授。一般社団法人「Colabo」理事。著書に『江戸の想像力』『江戸百夢』、『布のちから』など多数
田村 私も、熊本で「会」の方々にお会いしました。健軍駐屯地(熊本市)に日本で初めて長射程ミサイルが配備される、これに反対する住民の皆さんと懇談したのです。「会」の女性たちの行動力と迫力に圧倒されました。「自衛隊の司令部は地下化される、私たちはどこに避難しろと言うのか」と。外国に届くミサイルとなれば、「相手から標的にされる」というつよい不安を現場で実感しました。
田中 「女たちの会熊本」の事務局長さんは医療通訳をなさっていて、難民の方たちとも接触があるんです。だから世界で何が起きているか、熊本で今日何が起きたかチェックして、全部知らせてくれます。熊本では米軍と自衛隊の訓練は当たり前で、オーストラリアも入って軍事訓練が行われています。
田村 高市政権は特定の国の「脅威」をあおって「日本を守るため」といいますが、これはごまかしで、狙いは、自衛隊が米軍とともに海外で戦争する体制づくりです。
田中 「女たちの会」の発足は、安保3文書(2022年12月閣議決定)で、とくに軍事費をGDP(国内総生産)比2%への引き上げ、それまでの2倍にすることに、皆さん大きな衝撃を受けたことがきっかけです。軍拡によって、ひとり親家庭、女性が多い非正規労働者、子どもなどの予算が削られます。だから会では、「軍拡より生活」と掲げました。
田村 高市首相は、GDP比2%の目標を2年前倒しで、今年度の補正予算で達成してしまいました。わずか3年で5兆円規模だったのが11兆円、まさに大軍拡の暴走です。トランプ政権がGDP比3・5%を要求するもとで、「大丈夫、日本は軍事費を増やします」とアピールしたのと同じです。3・5%となれば年間約21兆円、医療・介護・生活保護の予算18兆円をも上回る途方もない額です。
米中対立のもとで、アメリカは日本を自分たちのミサイル戦略に組み込もうとしています。先制攻撃の戦略も持っています。そのもとで外国を攻撃するための長射程ミサイルの大量配備がどれほど危険か。
田中 アメリカはベトナム戦争はもちろん、戦争や武力介入・関与を何度も繰り返しています。
田村 そうです。その危険性を知らせていかなければなりません。
軍国主義の影 高市政権の危険
田中 戦時体制に急に入り込む予感
田村 他国名指しで敵がい心あおる
(写真)各党(右側)に署名を手渡す、平和を求め軍拡を許さない女たちの会の人たち(左側)=2023年2月8日、衆院第2議員会館
田中 高市政権には大変失望しています。3年前に「新しい戦前」という言葉が生まれました。それが女性の首相によって実現するのではないか、と大変危惧しています。徐々に進むかもしれない、と思っていた戦時体制に急に入り込む予感がします。
田村 安倍政権が集団的自衛権行使容認、つまりは、日本は攻撃されていなくとも、米軍を守るために自衛隊が武力行使できるとしてしまった。ここがターニングポイントですが、高市政権は、さらにタガがはずれています。
中国を名指しして「危機」をあおることで国民の支持を得ようとする、他国への敵がい心をあおるというのは憲法上も許されません。これまでの自民党政権でも越えられない一線を越えている。あまりに危険です。
田中 高市政権が本当に危険だと思うのは、軍国主義の影が見えていることです。
「岩盤保守層」といわれる人たちは、例えば選択的夫婦別姓を導入しない理由に「伝統的家族観」を守るためといいます。私は江戸時代の研究者ですが、「伝統的」という言葉には、江戸時代が全く入ってない、たぶん中世も古代も日本の歴史のほとんどが入っていない。彼らの言う「伝統」は、帝国憲法ができた時(1889年)から敗戦(1945年)までの期間、軍国主義時代の枠内のものです。
帝国憲法ができた翌1890年の「教育勅語」、日清戦争(1894~95年)、夫婦同姓制度(98年)、日露戦争(1904~05年)といった、軍国主義時代の日本に戻そうというものです。これほど恐ろしいものはありません。
田村 高市さんは「強い日本を取り戻す」と言うのですが、戦前の本当にわずかの一時期ではないかということですね。安倍晋三元首相は、まさに、明治憲法のもとでの日本を“美しい日本”と称していました。高市さんはこれに憧れて同じ時代を“強い日本”だと言っているように思えます。
田中 戦後の日本は、軍国主義者たちを排除してきたのか大きな疑問です。A級戦犯容疑者を首相にしてしまったところから自民党は始まっています。それを安倍政権はそのまま受け継いでいる感じがします。自民党の「憲法改正草案」(2012年)、安保法制(15年)をはじめ、段階を踏んで、まさに戦前に戻っていくプロセスを踏んでいる感じがします。非常に怖い。
田村 確かにとても危険です。同時に、矛盾にも突き当たっていると思います。例えば高市さんは「総理大臣は靖国参拝すべきだ」と主張していましたが、今のところ参拝を見送っています。軍国主義を美化するのかと、国際的に大変な批判にあうことがわかっている。それに戦後、日本国憲法の平和主義は、圧倒的な国民に支持されてきたと思います。軍国主義への強い拒否感もある。それを、高市さんは無視できないのだと思います。
高市首相は台湾発言の撤回を
田村 発言は日中関係の土台崩した
田中 自民党復活へ利用したのでは
田村 高市首相の「台湾有事」は日本の「存立危機事態」になりうるとの発言に、この政権の危険性ともろさが噴き出ています。
台湾海峡で米中の武力衝突が生じたら「どう考えても存立危機事態になりうる」、つまり米軍を守るために自衛隊が武力行使(集団的自衛権を行使)しうる、日本から中国に対して戦争状態にしていくことがあり得ると公言してしまった。戦争放棄、交戦権の否認を明記する憲法9条を完全に踏みにじるもので、「戦争がありうる」なんて許されない発言ですよねと、日本の国民に訴えていきたいですね。
田中 高市さんは自分が指令を出して、集団的自衛権を行使することを夢見ているのではないでしょうか。高市首相の発言に対して、「女たちの会」として「真摯(しんし)に説明・訂正し、平和外交への明確な姿勢を改めて示すことを、強く要請します」との声明を出しました。
田村 日中両政府は、1972年に国交を回復しました。その時の共同声明では、台湾が中国の領土の「不可分の一部である」という中国側の立場について、日本側は「十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第8項に基づく立場を堅持する」と約束しました。これに背く発言で、日中関係の土台を崩してしまったのです。
田中 72年の「共同声明」は、現在の日中関係の基盤です。この「声明」だけでなく、その後も何度も確認しているんです。
田村 その通りです。高市首相は、発言を撤回するしかない。そのうえで、72年の「共同声明」を再確認して、さらにその後の重要な合意を再確認することが必要です。それほど重大な事態を招いたことを理解しているのかが疑問です。
軽々しい発言で重大な外交失態をしながら、自ら引き起こした問題を解決する能力がない。そういう政権が果たして外交、政治のかじ取りができるのかが問われています。
田中 失敗することもあると思うんですよ。でも失敗した時にどうやって取り戻すか。自分のためじゃなくて国民のために。そういう視点がほとんどないと思います。
自民党が勢いを取り戻すには、中国を仮想敵にして、戦争が現実味を帯びてくることが効果的だと計算しているのかもしれない。国民のためではなく、自民党という組織を守るために。
田村 発言の撤回が第一です。そのうえで、中国にも、国民と軍国主義者を区別した対応、経済などに問題を広げない、事実と異なる発言や対立をあおる言動をしないことが大切だと、私たちの意見を伝えています。対立をあおることは、事態を深刻にしてしまう、冷静な対応こそ求められます。
大軍拡を許さないたたかい
田村 ミサイル配備で住民強く反対
田中 軍拡は「安全」を「保障」しない
(写真)陸上自衛隊健軍駐屯地への長射程ミサイル配備計画撤回などを求めるパレードに参加した人たち=2025年11月9日、熊本市
田村 「台湾発言」で安保法制と大軍拡の危険性が明らかになっています。
はじめにお話しした熊本市の健軍地域では、住民が強く要求しても、防衛省は住民説明会をやろうとしません。日本が攻撃されてもいないのに、長射程ミサイルで相手を攻撃する危険性はあるし、反撃される危険性もある。「安全保障を確かなものにする」というだけで、住民の不安を払しょくする説明はできないということだと思います。
健軍駐屯地は、陸上自衛隊西部方面隊の司令部が置かれ、「自衛隊通り」という公道で自衛隊の装甲車などがパレードをする街です。そういう街で、長射程ミサイル反対という世論が多数です。地元の新聞の世論調査で女性は76%が反対です。
田中 企業城下町と同じように、自衛隊基地があるから自衛隊には反対できないっていう声は聞きますが、やっぱり今の状況は違いますね。
それに、彼らの言う「安全保障」という言葉にだまされてはいけないと思います。軍拡を進めるということは、暴力の種を増やすわけで「安全」を「保障」しているわけではありません。相手を上回るようにと、軍事費が膨らみ、軍拡を目的に国が存在している状態になっていく。それが一番まずい、危険なところです。
外交による平和どうつくる
田村 「軍事に軍事」は不信の悪循環
田中 共同声明再確認でやり直しを
田村 軍事対軍事のエスカレーションは、偶発的なことも含め、武力衝突の“種”を増やしかねないですね。
戦争の心配のない東アジアをつくるために提唱した「東アジア平和提言」(2024年)でも、その冒頭で「軍事に軍事で対抗するならば、不信と恐怖の悪循環に陥り、誰ものぞまない戦争への危険をつくりだします」とのべています。
軍事ブロック的な分断ではなく、包摂的な対話で地域全体の平和を構築することが必要という考え方が土台にあります。
中国との関係も、「双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない」(08年の日中共同声明)など、これまでの合意に基づいて、前向きに打開していくことが必要です。私たちの提言を、日本政府も否定できません。中国にも直接伝えると、「日本共産党の提言を重視している」という発言がありました。
外交で信頼関係を構築できるというのが私たちの手応えでもあります。
田中 日中は、それを本当に積み重ねてきたはずです。「戦略的互恵関係」もそういうところから生まれた言葉ですよね。
結局、軍事による「安全保障」って、お互いにエスカレートしていくだけになります。結局それは自分の首をしめることになります。
田村 そうですね。ロシアのウクライナ侵略戦争を見ても、ひとたび戦争が起こってしまったら、終わらせることがいかに難しいか、いま私たちが目の当たりにしています。まして、アメリカが引き起こす戦争に自衛隊が出張っていったら、日本には終わらせる決断さえできません。
田中 できないでしょう。
田村 私たちが「外交で」と言うと、「お花畑」「現実的ではない」と言われることがありますが戦争準備を進める人たちこそ現実をみていない。軍事対軍事の行き着く先に平和があるのか。ひとたび衝突が起きれば、国民にどれほどの惨禍をもたらすか。外交こそが最も現実的な日本を守る、国民を守る力だと広く知らせていきたいです。
田中 本当にそうですよね。一番の近道が、日中関係では、共同声明を再確認することです。そこからもう一度スタートすることが一番現実的なやり方だと思います。
排外主義、ジェンダー差別をただす
田村 人権を語る言葉持たない首相
田中 排外主義は戦争への道に続く
(写真)「選択的夫婦別姓制度の導入に反対する候補者には投票しない」と訴える「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」の人たち=2025年4月4日、衆院第2議員会館
田村 田中さんは人権の問題でも活動されていますね。高市首相との最初の代表質問で、排外主義と選択的夫婦別姓についてただしました。治安の悪化や犯罪を外国人と結びつけて主張することは排外主義であり許されないと思うがどうか。名前は人格権・アイデンティティーではないかと。
ところが、高市さんは答えなかった。人権を語る言葉をもっていないんです。
田中 排外主義は戦争への道です。戦前の日本は植民地支配をしており、外国人への差別感がものすごくあった。日常的な差別の結果が何をもたらしたか、私たちは過去の戦争で知っています。
田村 高市さんは、日本維新の会を取り込んで、政権を維持した。維新は、外国人人口の抑制など排外主義そのものの「提言」をいち早く提唱した。“国益にかなう外国人だけ権利を認める”というものです。
田中 人権を軽視する考え方も軍国主義とつながっています。明治憲法は、人間は生まれながらに平等であり人権があるという「天賦(てんぷ)人権説」を排除しました。「国家が人権を与える」という考え方です。高市さんの頭の中も、同じ思想です。
田村 「国家の役に立つかどうか」という考え方は、国家による人間の峻別(しゅんべつ)につながっていきます。
田中 そうなんです。日本国憲法の前文の主語は「日本国民」で始まりますが、自民党の憲法改正草案では「日本国」で始まります。国が全てであり、それに国民を従わせる構造です。
田村 ジェンダー平等にもかかわる問題です。高市首相は「戸籍制度」を守るために通称使用法案を自ら提案し、選択的夫婦別姓の実現を阻止しようとしています。同性婚にも背を向けています。
田中 憲法には夫婦が同等の権利を有することが保障されています。日本は国連の女性差別撤廃委員会から、選択的夫婦別姓や同性婚の実現を何度も勧告されています。人権を語れない高市首相は、憲法を理解していないとしか思えない。
田村 これも国民の要求とはぶつからざるを得ません。要求の運動で退場させましょう。
深刻 低年齢化が進む性搾取
田中 被害少女ら支える拠点設立を
田村 買う側を処罰し女性に支援を
田中 いま、性搾取の問題が深刻です。性売買は売春防止法(1956年)ができても、ずっと続いてきました。根底には女性は性の道具、産む道具という女性差別があります。低年齢化が進み、小学生まで街路に立っている大変な状況です。
田村 本当に深刻です。
田中 私は、虐待や性搾取に遭う少女たちを支援してきた「Colabo(コラボ)」に関わっています。東京都から支援を受けていたこともありましたが、デマによる攻撃がすごかったですね。
昨年12月、被害を受けた少女たちとつながり、支える拠点を新宿・歌舞伎町につくろうと「女性人権センター」設立のプロジェクトを呼びかけました。
田村 長年の運動によって政治が女性支援に動くと、これをつぶしにかかる勢力が現れます。包括的性教育へのバッシングもあります。とくに性にかかわる問題で社会が人権擁護に動こうとすると、性搾取を擁護する勢力が頭をもたげてきます。こうした動きとたたかっていきます。
田中 「性搾取」であると指摘することがすごく大事ですね。
田村 性搾取の根絶を社会全体の認識にしていきたいですね。性を買う側、ビジネスにする側を罰するとともに、買われる側の非処罰と自立支援が大事だと思います。
活動すすめる原動力はどこに
田中 ご都合次第の歴史利用に怒り
田村 たじろがず危険な政治に対決
田村 田中さんは、平和や人権の活動を精力的にとりくんでいます。その原動力はどこからですか?
田中 怒りですね。私は江戸時代の文学や文化を専門とする研究者です。
江戸は、戦いのない平和な世の中で文化が発展しました。江戸の「国学」はナショナリズムではなく、中国などの書物が入ってくるなかで、日本語を見直す和語の研究です。軍国主義じゃないんです。
高市さんは「日本」と言いながら日本のことを全然知らないじゃないの?という怒りがあります。都合よく軍国主義時代の「日本」を自分のために利用していることが許せないんです。
今のマスコミの状況もひどいですね。テレビなどがまともに報道せず、危ないと思っています。「桜を見る会」から裏金問題に至るまで、「赤旗」が暴かなかったら、いまでも闇の中だったでしょう。権力監視を続け、報道機関をリードしていってほしいです。
田村 ありがとうございます。「赤旗」とともに日本共産党も、決してたじろぐことなく、危険な政治に立ち向かっていきます。
資本主義の根本を問う学び
田村 搾取、気候危機、ともに考える
田中 分断とかせぎの競争ではなく
(写真)『資本論』のおもしろさをテーマに学生と対話する田村智子委員長(右から2人目)=2025年10月7日、東京都新宿区
田村 日本共産党はいま、搾取の仕組み、社会変革の法則を『資本論』から分かりやすく解説した志位和夫議長の『Q&Aいま「資本論」がおもしろい』(赤本)を学習する運動にとりくんでいます。じつは自衛隊の準機関紙「朝雲」が、「赤本」を新刊紹介でとりあげ、資本主義社会の問題を「搾取」や「時間」などのキーワードと関連付けて『資本論』を分かりやすく解説していると紹介しているのです。
暮らしの苦しさや不安の根本に何があるか、一緒に考える対話や学びを広めていきたいと思います。
田中 面白いですね。次の社会をどう構想するか、今の日本社会ではなかなか見えてこない。
田村 まず、今の資本主義の問題を問うことが大切だと思っています。そのとき「搾取」はキーワードになりますね。
排外主義勢力が伸長する背景には、弱肉強食や自己責任が蔓延(まんえん)する新自由主義があり、その根本には資本主義の経済があります。搾取によって、モノやカネだけでなく自由な時間までも奪われている、格差が広がり、気候危機も深刻。あなたの怒りの根源は?と問い、問題を共有できるという手応えを感じています。
田中 それは大事なことです。資本主義社会ではみんなバラバラに分断され、いかに稼ぐかの競争をさせられています。そうではなくて、小規模で多様な共同体=コモンズを取り戻すことが必要です。その積み重ねが、別の未来像を考えるきっかけになるのではと考えています。
田村 次の社会への模索で響き合うところがあると思います。日本共産党が掲げる社会主義・共産主義と、旧ソ連や中国の考えは全く違うものです。「生産手段の社会化」=生産手段が自由な意志で結びついた生産者の手にあることが重要だと考えています。
田中 そうですね。
田村 社会主義・共産主義の目的は、自由な時間を獲得して、一人ひとりの人間の自由で全面的な発達を保障する社会だと、これを志位和夫議長がインターネット番組でじっくり語ったら「共産党は支持していなかったけど、この話は面白い」などの感想がたくさん寄せられて驚いています。
希望ある道 示せる年に
田村 米国でも「公共」を問う運動が
田中 東アジアの女性ネットめざす
田村 アメリカではトランプ大統領に対して「公共を取り戻そう」という運動が起きています。ヨーロッパでは左派勢力が高すぎる家賃の見直しや、富裕層に課税をと掲げて支持を広げています。ベルギー労働党はレモンの形のプラカードで「私たちは搾取されている」とアピールしています。
田中 ニューヨーク市長選では、民主的社会主義者のマムダニ氏もそういう政策を掲げて勝利しましたね。
田村 「政治の役割とは何か」という問い直しが国際的に起きています。住宅や医療は、人権保障であり公的な保障を求めることは、とても大切ですね。
日本でも、多様な要求の共同、そしてその中でも大軍拡と安保法制に正面から立ち向かう国民的な共同をぜひつくっていきたい。高市政権と正面から対決し、新しい希望ある道を示していける年にしたいと思います。
田中 本当にそう思います。「女たちの会」は昨年8月、韓国の女性団体に招かれてソウルへ行きました。日本・韓国・台湾の女性たちが集まりました。今後は中国の団体なども巻き込み、ゆくゆくは「東アジアの女性ネットワーク」をつくることが目標です。
田村 希望がありますね。東アジアを戦争の心配のない地域にしていこうと連帯を広げるのはとても大切なことです。私も一緒に声をあげていきたいと思います。
田中 ぜひがんばりましょう。
田村 多岐にわたるお話ができました。ありがとうございました。

