政府の2026年度予算案の一般会計歳出総額は122・3兆円となり、25年度当初予算の115・2兆円を大幅に上回り過去最大です。
大軍拡と大企業には「放漫」の一方で、国民の暮らしには「緊縮」で経済も財政も悪化させる予算です。
国の借金である国債の利払い費は、想定金利の上昇で膨らみ13・1兆円。国債の償還費18・2兆円との合計は、過去最大だった25年度当初予算の28・2兆円を超え31・3兆円となりました。予算総額のほぼ4分の1を占めます。
新規国債の発行額は25年度当初予算の28・6兆円から29・6兆円と拡大します。
■円の信認が揺らぐ
国債残高は26年度末に1145・4兆円となり、GDP(国内総生産)比165・5%です。地方債務との合計はGDP比で25年に229・6%で、主要7カ国で6位のイタリアの136・8%を大きく引き離し最悪の水準です。
財政悪化懸念によって、長期金利が上昇しました。
26年度予算案が過去最大規模になると報道された22日には国債を売る動きが続き債券価格が下落し、長期金利は上昇。長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは一時2・1%に上昇しました。1999年2月以来、26年10カ月ぶりの高水準です。
日本銀行は19日の金融政策決定会合で政策金利を0・5%程度から0・75%程度に引き上げました。通常であれば日米の金利差が縮小して円が買われ、ドル安円高に振れるはずですが、逆に円が売られ、円安が進行しました。高市早苗政権の経済・財政政策のもとで、円の信認が揺らいでいます。
「積極財政」といっても、中身は大軍拡と大企業優遇です。軍事費は過去最大の9兆353億円と、初めて9兆円を突破しました。23年度から5年間で43兆円を計上する計画の4年目です。トランプ政権の要求に応えて軍拡につき進みます。
■半導体へ1兆円超
経済産業省関連の予算は、一般会計と特別会計の合計で総額3・1兆円となります。25年度当初予算比で1・5倍の増加です。北海道千歳市で次世代半導体の量産をめざすラピダスへの支援など、特定大企業を支援する国産人工知能(AI)や半導体への関連予算は、1・2兆円をつぎ込みます。他にもラピダスへの追加出資に1500億円を計上しました。
トランプ政権の要求で進める「80兆円対米投資」に向け日本貿易保険への交付国債1・8兆円を盛り込みました。
一方、社会保障費は高齢化などで増える自然増を高額療養費制度の負担上限月額の引き上げによる負担増などで1500億円を削り込みます。
全企業数の99・7%を占める中小企業への対策費も、政府全体でわずか1700億円です。
税財政の役割は、暮らしを支援し、格差を是正することです。軍拡と大企業優遇による「積極財政」で暮らしを痛めつけ、日本経済の信認を揺るがす予算案は、これに真っ向から反します。消費税の減税をはじめ、国民本位の予算に組み替えるべきです。

