日本共産党

メニューとじる

すべての記事が読める

赤旗電子版購読お申し込み

2025年12月31日

きょうの潮流

 「もう決して、あの時の私のような子どもをつくらないでほしい」。代読されたメッセージには、身をもって体験した悲惨さがにじみ出ていました▼東京大空襲で家族6人を失い、10代で戦争孤児となった海老名香葉子さん。犠牲者を悼み毎年開催してきた「時忘れじの集い」に車椅子で参加する姿が今年もありました。「世界中のみんなが仲良く暮らせるためにも、小さな声でもあげていかなければ」。最期まで平和を訴え続けた人生でした▼茶道裏千家家元の千玄室さんは、じくじたる思いを抱えながら生きてきました。20歳の時、学徒出陣で海軍へ。特攻隊員として仲間の出撃を見送った経験が後の茶の湯を通した平和外交の原点となりました▼「命あるかぎり、世の中が本当に楽しく、みんなが幸せでくらせるように一盌(わん)のお茶を役に立たせたい」。各国を歴訪し、和敬清寂の茶の心を伝える活動に102歳の生涯をささげました▼戦後80年の節目となった2025年。戦争の恐ろしさ、つらさ、みじめさを味わった人たちは声を振り絞りました。政治的な立場や信条をこえて二度と戦争は起こしてはいけないと。その思いを受け継ごうとする集会も国の内外で▼今も絶えない戦火。日本でも戦争の準備に余念がない高市政権のもと、中国との軍事的な緊張が高まっています。「もう一度力強く庶民の力になってください。永遠の平和を守り続けて」。今年の本紙創刊記念に寄せてくれた海老名さんの願いを胸に刻み、新たな年に向かいたい。