2025年も、労働者と労働組合の粘り強いたたかいが労働条件の改善などに結実しています。本紙報道で振り返ります。
(写真)会見するジェットスターの客室乗務員と弁護団=4月22日、東京都千代田区
格安航空会社(LCC)ジェットスター・ジャパンの客室乗務員(CA)35人が、休憩に相当する時間の取れない勤務の改善を求めた裁判で、東京地裁は、「休憩時間のない勤務は人格権侵害だ」と指摘し、休憩のない勤務を差し止めた判決を出しました。
短い便間時間に乗客の降機サポート、機内清掃、セキュリティーチェックなどで休めないことに対し、労働組合「ジェットスタークルーアソシエーション」(JCA)が勤務改善を要求して闘いました。
高市早苗首相が「働いて」を5回繰り返して、長時間労働を広げる規制緩和の検討を押しつけていますが、休むことが人権だと明らかにしたのは画期的です。
無期転換逃れ阻止
無期転換逃れを許さない闘いでは職場復帰や和解の前進がありました。
鈴鹿大学では、非常勤講師が無期雇用契約に転換していたにもかかわらず解雇されたのは不当だとして、撤回を求めていた訴訟は名古屋高裁で和解。原告は無期雇用の非常勤講師として職場復帰を果たしました。
KLMオランダ航空による5年無期転換逃れの日本人客室乗務員雇い止め事件で、ジャパンキャビンクルーユニオン(JCU)に加入する29人が雇い止め撤回を求めた裁判が、東京地裁勝訴のもと東京高裁で和解しました。
日本IBM分割会社のキンドリルジャパンでは、60歳で賃金を下げる再雇用制度をやめさせ、処遇を下げない定年延長を実施させました。また再雇用制度の賃金減額撤回を求めた裁判は金銭支払いをうけて和解しました。
同種訴訟の後押し
建設アスベスト訴訟は8月に東京・大阪両高裁で相次いで和解しました。
首都圏の元建設作業員や遺族が建材メーカーを訴えた東京第1・2陣訴訟。メーカー7社が被害者に謝罪し、原告400人に計約52億円の和解金を支払う内容で、原告・弁護団は、「各地で続く同種訴訟の解決にも大きく道を開く」と歓迎しました。
大阪2・3陣訴訟で12社が67人に12億4675万円を支払い、「被害を生じさせたことに深くおわびする」と謝罪。原告・弁護団は、「東京1・2陣訴訟和解とあわせて関連訴訟解決の後押しになる」と強調しました。
労災認定では、配達中の事故で労災申請していた通販大手アマゾンの元配達員について、宮崎労働基準監督署が認定。厚生労働省が「労働基準法上の労働者に該当すると判断された事例」を公表した2023年12月以降では初の認定です。
フジテレビの経営刷新を求めるフジテレビ労働組合(民放労連)は、経営による組合敵視政策をはねのけ、組合加入が飛躍し、80人から500人以上へ6倍に拡大。ハラスメント問題で社内刷新を求め、密室会見のオープンな形でのやり直しや、女性役員比率3割以上の達成など、労組による要求が実現しました。

