韓国の日刊紙ハンギョレは29日、統一協会(世界平和統一家庭連合)の内部報告書をもとに同協会が、安倍晋三首相(当時)の依頼で自民党候補の選挙応援をしていたと報道しました。これによると、2019年の参院選で安倍氏の推す候補を協会が支援したことで「(安倍氏が)非常に喜んで安心しているようだった」と紹介。また報告書には高市早苗首相の名前も32回登場するとしています。
問題の報告書は統一協会の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁に報告された「TM(True Mother、真の母)特別報告」です。同紙が18~22年に作成された文書を確認したところ、日本の統一協会の徳野英治会長(当時)が選挙応援について報告していました。
これによると徳野氏ら協会幹部は参院選投票日の約3週間前の19年7月2日に安倍氏と面談。「今回で計6回目」だったといいます。これまで発覚していた両氏の面談は朝日新聞が報道した13年の参院選直前だけであり、両氏がより頻繁に会っていたことになります。
19年7月の面談では安倍氏が推す北村経夫参院議員の支援を協議しています。この面談について徳野氏は「(安倍氏は協会が)どこまで(北村氏を)応援するか、決意を聞きたかったのは明らかだった」と報告。徳野氏が「最低でも20万票は死守すると宣言した」ことで、安倍氏は「非常に喜んで安心しているようだった」と伝えたといいます。
報告書には高市首相の名前も32回登場したとされます。高市氏が21年9月に初めて自民党総裁選に出馬した際には、安倍氏が強く推薦していると説明。「高市氏の後援会と我々は密接な関係にある」とし、高市氏か岸田文雄元首相が選出されることが「天の思(おぼ)し召(め)しと思われる」と記したといいます。
また徳野氏は21年の総選挙では「我々が応援した国会議員の総数は、自民党だけで290人に達する」と報告しています。徳野氏は議員との“ギブ・アンド・テーク”の手法も韓国の統一協会幹部らに伝授。その方法は長年の信者を中心に政治家と連絡をとって後援会を結成するというものです。後援会を通じて協会の思想を「教育」し、政治家が協会の行事に参加して祝辞を述べるようにさせたといいます。

