「戦争より平和を私は選ぶ」と題する「街頭トーク」(26日、東京・有楽町)での4野党・会派の女性党首・幹事長の訴えの要旨を紹介します。
憲法真ん中に手つなごう
日本共産党委員長 田村智子さん
(写真)田村智子さん
高市政権の発足時に、この政権に立ち向かう確かな共闘が必要だと各党派のみなさんに呼びかけました。憲法を真ん中にして手をつなぐことが必要だと話し合い、4政党・会派の女性リーダーが集まって、「戦争する国」に日本をさせるわけにはいかないと街頭からのトークが実現しました。これが第一歩です。この輪を国会の中にも外にも一緒に広めていきましょう。
高市政権の支持率、高いです。ただ、「高市さんは頑張っている」と思っている方とも一緒に考えたい。2022年度に日本の防衛予算=軍事費は5兆円規模で、文部科学省の予算と同じ規模でした。それが高市政権になった途端、軍事費を5年で2倍にする計画を前倒し、3年目で11兆円となります。値上げが相次ぐ学費の負担軽減や、米の安定供給のための予算など暮らしの予算をまともに増やすことなく、軍事費だけが異常な伸びを続ける。それでいいのかを問いたい。
どんどん伸びる軍事費の中身は、外国を攻撃するミサイルです。配備すれば相手から攻撃される不安は拭えません。こんな戦争準備を進めれば、日本が戦争に巻き込まれる事態になるのではないか。その声がミサイルなどの配備計画が進む地域で起きています。
ところが小泉進次郎防衛相は“中国は軍拡している”と言い、高市早苗首相は外国を攻撃するミサイルが「全然足りない」と言う。これまでの政権で、特定の国を名指しで仮想敵国扱いし、不安と危機をあおり立て“軍拡は当然”と答弁した大臣は一人もいません。
公明党との連立が崩れ、危ないアクセルを踏む日本維新の会と連立したことでタガが外れています。戦争はしない、交戦権を持たないとした憲法があってなきがごとくにされています。
高市首相の「台湾有事」をめぐる発言は、日本は攻撃されていないのに、米軍を守るために自衛隊が戦争することがあり得るという発言です。どこかの国と戦争する危険性がある内閣でいいのか。争いごとは外交努力を尽くして解決していく立場を貫くことが日本を本気で守る道だと私は訴えたい。外交でしか平和はつくれません。戦争準備ではなく本気で平和をつくるために、高市政権に大いに声を上げていきましょう。
私は高市政権との最初の論戦で人権の問題を問いました。外国人に対する差別・排外主義への認識や、選択的夫婦別姓をめぐり「名前は人権だ」と問いましたが、高市首相は答えませんでした。人権を語ることができない政府でいいのか。平和と共に人権を高らかにうたった憲法が生きる日本をつくることが、希望をつくる道です。私たちの力で自民党政治ではない新しい政治の展望を開きましょう。
「戦争準備」の首相は退陣
社民党党首 福島みずほさん
(写真)福島みずほさん
高市政権ができた時に、「戦争準備内閣」と名付けました。高市首相は「存立危機事態」について発言しました。集団的自衛権の行使は憲法違反ではないですか。安倍政権が強行した安保関連法には存立危機事態の定義があります。日本と密接な関係にある他国に対する攻撃が、わが国に対する攻撃と見なされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から脅かされる事態です。中国の戦艦が海上封鎖をしたら日本国民の生命や自由が根底から脅かされるのですか。首相の発言は自分たちで強行した法律すら踏みにじっています。発言を撤回しない首相は退陣しかありません。
補正予算は、すさまじい軍事費で生活は圧迫されています。防衛装備品の輸出に関する「5類型」まで取り払い、殺傷能力のある武器を輸出しようとしています。
今年の3月、ニューヨークの国連本部での核兵器禁止条約第3回締約国会議に行きました。被爆者の皆さんが議論をけん引している中、唯一の戦争被爆国の日本の政府はいなかった。政府高官が非核三原則の見直しを発言しました。高市首相は非核三原則が国是だと言いません。見直しを議論する余地はありません。
私の大好きな言葉に「平和と平等は手を携えてやってくる」があります。その反対は「戦争と差別・排外主義は一緒に手を携えてやってくる」。私の家族は米国で日系アメリカ人の強制収容所に入りました。戦争は差別・排外主義がなくてはできないのです。
戦争ではなく平和を。差別・排外主義ではなく人権の保障を。国家ではなく、一人ひとりを大事に。女性差別ではなくジェンダー平等を。女性は頑張る、男性も頑張れ。それ以外の人も、みんなで平和をつくっていきましょう。
平和のため選択的別姓を
新社会党委員長 岡﨑ひろみさん
(写真)岡﨑ひろみさん
平和のための備えは憲法を守りきることだと思います。憲法がうたう私たちの権利がある。二度と戦争する国にしないため武器を持たせない縛りがある。まさに平和のための備えです。
高市政権が(旧姓の)通称使用を制度化しようと年明けの国会に法案を出すそうです。私はそれを選ばず、選択的夫婦別姓を選びます。なぜ私が今、平和を考えるときにこの問題にこだわるのか。
1996年、みなさんの運動があって法制審議会が選択的夫婦別姓をやろうと答申しています。しかし強い反対があった。その理由は「家族が壊れる」「子どもがかわいそう」…。“あなた方は世界を知らないのか”という話です。夫婦別姓を認める世界の国の家族は全部破壊されているのか。むしろ日本の女性は家の仕組みに縛られて一人の人間として働きにいけず、DVに泣いている。
なんでそこにこだわるのでしょうか。江戸時代まで庶民に氏はなく、明治時代で富国強兵に政府がかじを切ったとき、天皇を頂点とした社会に同意する人間を育てるために、社会の統治単位を家族とし家父長制の家制度が根付きました。
戦後、憲法は家制度をなくし一人ひとりの人間が社会の単位だとして、たくさんの権利を認めています。だけども夫婦同姓の強制は残り、社会保障の仕組みも家族単位にされ家制度を続けるもとになりました。
一人ひとりの人間が持って生まれた名前、アイデンティティーを壊すなと裁判にまで訴えてみんな闘ってきました。選択的夫婦別姓制度から社会のあり方を考えていける。人間を大事にするということからは、兵隊にして人を殺せる人間になれという教育は起こりません。平和を選びきるために、目の前で起きている出来事に向き合いものを言っていきたいと思います。
子らの未来に平和実現を
「沖縄の風」幹事長 高良さちかさん
(写真)高良さちかさん
子どもたちにとっての平和って、どんなものだと思いますか? 安心してご飯が食べられて、学校に行ったら、いつも友達がいて、ただいまと言って帰ってこれる。心配なく公園で遊べて、ゲームもできる。当たり前に見えて、実は戦争状態や飢餓が広がっている場所ではできないことです。
写真の中の沖縄は、青い空が広がり、海がとてもきれい。しかし実際は、青い空には昼夜を問わず自衛隊機や米軍機が飛び交い、爆音の中で生活しています。
私はこの間まで大学の教員でした。学生たちに「平和はどうやってつくれると思いますか」と聞きました。多くの学生が、分かり合うこと、争いを話し合いで解決すること、お互いの違いを認め合うこと、相手を理解する努力をすること、異文化交流をすること―そういうふうに言うんですね。とても重要なことだと思いました。
憲法には、他国の人々との間で信頼関係をつくり、その中で平和をつくっていこうという目標が掲げられています。
私の生まれた沖縄は激しい地上戦を経験しました。東京や大阪でも大規模な空爆がありました。80年前の戦争です。戦争の体験があったからこそ、平和をつくっていこうとする憲法のもとで、戦争が終わったあと、ずーっと戦争をしなかった。誇れることだと思います。絶え間のない努力をずっとずっと続けていく。
私は、戦争よりも平和を選びます。戦争よりも平和、対立よりも対話です。違いを認め合う寛容さ、分かり合うという努力、一人ひとりの未来をつくっていこうとする努力、そして平和をつくるための日本の政治を私たちは選び続け、つくり続けたい。子どもたちの未来に当たり前の平和を実現していくために一緒に歩んでまいりましょう。

