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2025年12月28日

主張

税制改正大綱決定
軍拡に邁進し大企業優遇温存

 大軍拡のための増税がいよいよ国民にのしかかろうとしています。政府が26日に決定した税制改正大綱は、軍拡のための所得税1%の増税を2027年1月から実施するとしました。

 政府は軍事費に23年度から5年で43兆円つぎ込むと決めました。しかし国民の批判をおそれ、その財源となる法人税とたばこ税の増税(26年4月から実施)に加えた所得増税の実施時期を明確にできませんでした。軍拡に邁進(まいしん)する高市早苗政権がいよいよ踏み切ったものです。東日本大震災の復興のために使う復興特別所得税2・1%のうち、1%を軍事費に振り向けます。その分復興特別所得税は10年延長します。その後も軍事増税はずっと続きます。

■本格的な増税に道

 日本維新の会は、「現役世代の負担を減らす」「所得税の減税」を掲げ、野党時代に軍事費の所得増税に反対していましたが、公約を裏切って賛成に転じました。

 高市政権は米国の要求に応えて軍事費の国内総生産(GDP)比3・5%への拡大も否定しません。本格的な軍拡増税に道を開き、暮らしを押しつぶすもので、絶対に許されません。

 大企業のための優遇税制が多数を占める法人税の租税特別措置は「ゼロベースで見直す」としましたが、賃上げ減税の大企業向けを26年度に、中堅企業向けを27年度に廃止するだけです。

 一方で大企業優遇税制を拡充・新設します。

 研究開発減税は、現行制度に加えて、AI(人工知能)・先端ロボットなど6分野で特定大企業向けに研究開発費を最大40%控除します。

 大企業について35億円以上の工場やソフトウエアなど新規投資を対象に設備投資促進減税を新設します。

■低所得層は雀の涙

 日本共産党は、租税特別措置の見直しや所得が1億円を超えると税率が下がる「1億円の壁」の是正を訴えてきました。大綱は、こうした声を無視できず、追加の税負担を課す年間所得を約30億円から約6億円に引き下げます。

 しかし、6億円以上の対象は2千人にすぎません。1億円以上の2万8千人への優遇をやめるべきです。

 所得税の課税最低限は現行の160万円から178万円に引き上げます。もともと所得税負担のない低所得者層には恩恵がなく、減税額は単身世帯の年収200万円では4千円、年収300万円でも8千円と雀(すずめ)の涙です。

 消費税減税は拒否します。消費税のインボイス(適格請求書)制度の軽減措置の延長は、小規模事業者の強い要求に背を向け段階的に縮小し、廃止を盛り込みました。

 政府は、租税特別措置の見直しや「1億円の壁」是正などを言いながら、結局は大企業には大盤振る舞い、超富裕層への資産課税などには踏み込めません。大企業のもうけ優先で内需を低迷させ、日本経済をダメにしてきた反省はありません。

 さらに大軍拡で国民の暮らしがいっそう痛めつけられるのは必至です。軍事と大企業優先は国民との矛盾を広げざるを得ません。