「ふぞろいの林檎たち」で学歴偏重の世の中を、「岸辺のアルバム」で壊れかける家族を―。社会の価値観への違和感を代弁したテレビドラマの存在は重い。そう感じます▼一昨年亡くなった脚本家・作家の山田太一さんをふりかえる上映展示会が、横浜の放送ライブラリーで開催中です。共催の「山田太一のバトンを繋(つな)ぐ会」は、山田さんの次女・長谷川佐江子さんがプロデューサーの合津直枝さんとともに、作品を次世代に役立ててもらおうとことし立ち上げました▼山田さんの書庫には、書籍や新聞・雑誌のスクラップなど執筆のための膨大な資料が残されていました。舞台「流星に捧(ささ)げる」のパンフレットに「…自分の幸福も大事だけれど、次の世代に何かを渡していく、前の世代と次の世代の自分は“つなぎ目”なんだ」という言葉を見つけて、会の名前を繋ぐ会に▼先日までBSで再放送されていたドラマ「想い出づくり。」。1981年の放送当時「婚期」という男社会の圧が目に見えてあったころの物語です▼主人公の女性3人は24歳。独身のうちに楽しい思い出をつくりたい、と偶然出会います。三人の絆は、ある結婚式でとんでもない行動へ―。女性とクリスマスケーキは25を過ぎると値が落ちるという語句に怒っていた山田さん。くしくもクリスマスイブが最終回でした▼日本のジェンダーギャップ指数は148カ国中の118位。男女の格差が一向に縮まらない日本。そんな社会に一石を投じるドラマは、ますます必要です。
2025年12月28日

