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2025年12月27日

幹部会会議での志位議長の発言

 日本共産党が25日に開いた幹部会会議での志位和夫議長の発言は次の通りです。


写真

(写真)志位議長

 発言を聞いておりまして、「集中期間」の延長という提起を、攻勢的に積極的に受け止めて頑張ろうという発言が続いていることは本当に心強いことです。延長の提起を本当に攻勢的につかんで「やり抜くぞ」という決意を固められるかどうかが、いまのかなめになっていて、決議案はそれに答えたものになっていると思いますが、補足的に3点ほど話したいと思います。

止まった状態から、ここまで運動を起こしてきたことに自信をもって、次にのぞもう

 第一は、「集中期間」の到達点を全体としてどうとらえるかという問題です。6中総から4カ月頑張ってきたわけですが、私は、一言で言って、よくここまで党建設の運動を起こしてきたと思います。これは日本共産党ならではの頑張りだと思います。

 と言いますのは、参議院選挙の結果というのは、たいへんに厳しいものでした。286万まで得票を減らしたことは、この間にない後退でした。6中総決定では、「たいへんに厳しく重大な結果」だとして、突っ込んだ総括をやったわけです。そういうところから出発して、党員拡大についてはまったく止まった状態から出発した。働きかけも止まってしまった状態から出発した。そういうところから出発して、運動を起こしていくというのは並大抵の努力ではなかったと思います。ここには、日本共産党ならではの生命力、底力の発揮があります。その根底には党綱領があり、科学的社会主義の力があり、全党の同志のみなさんの草の根での頑張りがあり、そういうもろもろの力によって、止まった状態を抜け出して、運動を起こすところまでやってきたのがこの4カ月だと思います。

 私は、もちろん足らない問題は、それぞれ中央も地方もよく自己分析をしてさらに活動の強化をはかっていきたいと思うのですけれども、ここまで運動を起こしてきたことについての自信をもって、「さあ仕上げにかかろう」、「さあやりあげよう」というところに、さらに前向きに団結し、全党運動に発展させていく。ここが何よりも大切だと思います。いまの到達点について、あれも足らないこれも足らないという面を見ればいろいろな弱点が確かにある。そこはお互いにただしていきたい。しかしここまで起こしてきたことに全体として自信をもって次にのぞみたいというのが1点目です。

「政治の表層」と「社会の深部の流れ」に大きなギャップ--日本共産党の存在意義がきわだつ

 第二は、情勢のとらえ方の問題です。端的に言って、「政治の表層」で起こっていることと「社会の深部の流れ」、ここに大きなギャップがあるというところを立体的、科学的につかむということがいまとても大事な情勢のとらえ方だと思うのです。

 そのことは決議案にも端的に記述されておりますが、「政治の表層」では右翼的潮流が社会を覆っているように見える、まさにそういう状況があります。「政治の表層」だけを見たら、自民党のなかでも最も右翼的な部分が権力を握り、維新の会という野党のなかでも最も反共・反動の突撃隊の排外主義的な部分と結託し、そして国民民主党も仲間に引き入れ、公明党も政権から離脱したと言っても補正予算案には賛成する、4党で補正予算案を通したわけです。そういう状況のなかで、「政治の表層」だけで見たら日本の政治情勢というのは右傾化が一気に進んだというふうにも見えるわけです。そして、現実にそうした方向に進む危険性が存在することを、私たちは決して甘く見るわけにはいきません。

 同時に、「社会の深部の流れ」、つまり国民の要求を考えたらどうなるか。高市政権とそれを補完する右翼的潮流が権力を握るもとで、国民の平和の願いや、暮らしの願いや、民主主義や人権の願い、これが実現するかといえば、何一つ実現しないわけです。むしろどの願いとも客観的には矛盾し、逆行するということになります。たとえば、高市政権は、「台湾発言」によって、中国との関係を一気に悪くしてしまいました。世論調査で、高市首相の「台湾発言」はどうかと聞くと、「よく言った」という声も結構多い。しかし、同時に共同通信の調査では、「経済の悪影響が心配だ」という声が59%なんです。実際にはそういう矛盾になってあらわれてくるわけです。

 こうして「政治の表層」であらわれている逆流と、「社会の深部の流れ」とは大きなギャップがあるわけです。こういうときに私たちの見方として大事なことは、「政治の表層」の逆流に幻惑されない、けっしてこれにおびえたり、すくんだりしない、社会の全体を立体的、科学的につかんで攻勢的に対処するというのが本当に大事です。

 もう一つ、今度の決議案でのべているように、右傾化が進むもとで時流に流されず正論を貫き、国民との共同を貫く党、日本共産党の存在意義がいよいよかけがえがないということです。私は、「政治の表層」での逆流が強まれば強まるだけ、日本共産党の存在意義がいよいよかけがえのないものになって、国民の中で、やっぱり頼りになるのは共産党だという声がうんと広がる条件があると思うんです。現にそういう声はたくさん寄せられているのではないでしょうか。

 国際的にも、たとえばニューヨークの市長選挙でDSA(アメリカ民主的社会主義者)のゾーラン・マムダニ氏が勝った。アメリカでは、「政治の表層」だけ見たら、トランプ大統領が権力を握って大逆流が起こっています。その中で、共和党がそれにのみ込まれるだけじゃなくて、民主党もちゃんと闘えない。「二大政党」がそろってだらしのない状況になっているわけです。そういうなかでマムダニ氏が民主的社会主義の旗を掲げて勝ったわけです。これが歴史的な勝利と言ってよいと思います。

 それからドイツの政局でも同じようなことがこの間起こりました。AfD(ドイツのための選択肢)という極右が伸長する。このAfDに、キリスト教民主同盟(CDU)という保守の政権党が結託する、そのときにSPD(社会民主党)もそれと闘わない、緑の党も闘わない。今年初めの総選挙では、SPDも緑の党も後退したわけです。そして、左翼党(リンケ)が躍進した。断固として排外主義や極右と闘うという姿勢を示したことが、リンケの躍進につながったということは、この前の6中総でも紹介した通りです。

 こういう時に、時流に流されず正論を貫くことが、必ず国民の中に変化をつくる時が来ると、私は思います。来年は、そういう一大政治戦をやるような年になると思うので、そういう情勢のつかみ方をうんと攻勢的にやっていくことが大事だということが2点目です。

日本共産党の未来社会論の探究は、国際的にも通じる力をもっている

 第三は、理論の問題です。今日の発言でも、「赤本」の学習が進んで、入党のよびかけの中で、まだ一部だけれど、社会主義のことを正面から語り、あるいは「自由な時間」を語って、そして党に迎えているという経験が語られました。とてもうれしい思いです。

 一つご報告なんですが、マルチェロ・ムストさんというカナダのヨーク大学で教授をやっている方で、国際的に著名なマルクス研究者がいるんです。先方から、来日したおりに、対談をという話がありまして、一昨日、対談を4時間余りの時間をとってやりました。食事をあわせると6時間以上も話しあいました。中身は後で紹介することになると思います。

 一つだけご報告したいのは、双方の共産主義論、未来社会論が、ほとんどまったく同じ結論に到達しているということなんです。私も驚いたし、彼も驚いていた。私たちの未来社会論の特徴を端的に言いますと、『資本論』の言葉で言えば、「各個人の完全で自由な発展を基本原理」とする社会、と言っています。そして、その一番のカギになるのは、十分な「自由に処分できる時間」をみんなが持つことだということです。これを軸にして、私たちは、大会決定をもとに、未来社会論を発展させてきました。そして「青本」「赤本」にそういう内容をまとめてきたわけですが、ムストさんの結論もほとんどまったく同じなんです。彼の書いた『マルクス・リバイバル』(25年5月)の中の論文もまったく同じ共産主義論が述べられていました。対談のなかで、お互いに、これはすごい一致だということになって、ムストさんの言葉で言えば、「私たちは、同じ時期に二つの本を書いていて、その中で対話しているというような感じですね。旧来の友人に会ったというような感じがいたします」。そういう共産主義論での一致が得られた。

 どうして一致が得られたかということを議論してみましたら、私たちはこういう未来社会論を導くうえで、『資本論』とともに、『資本論草稿集』をもとに探究をすすめていきました。『資本論草稿集』は、新『メガ』と言われる新しい『マルクス・エンゲルス全集』の第二部門に入っているものなんです。それが日本では大月書店で邦訳されていて、それを私たちも読んで、「自由な時間」論を探究していったわけですが、彼も同じことをやっていたわけです。つまり新『メガ』を使って研究をやって同じ結論に達していた。

 このように、私たちが今やっている、未来社会論の探究は、国際的にも通じる力を持っている、ということも確認できました。これはとてもうれしい出来事でありました。そういうところまで、私たちは、自主独立の立場で理論的な発展をかちとってきたということも大いに自信にして、今後に生かしたいと思います。

 以上です。ともに頑張りましょう。