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2025年12月25日

日本の核保有 警戒

94年 米上院重鎮、細川首相に
外交文書公開

 外務省は24日、1994年の外交ファイル17冊を公開しました。同年2月、細川護熙(もりひろ)首相が訪米した際、米議会重鎮が日本の核保有に強い警戒感を示していたことが分かりました。

 細川氏は日米首脳会談のためワシントンを訪問した際、共和党のドール、民主党のミッチェル両上院院内総務と会談。ドール氏は、同年の北朝鮮核危機をめぐり、「日本は核兵器開発を行うための措置をとるのか」と質問しました。

 細川氏は、「その種の報道はあるが、こうした可能性はない」と断定。「日本は唯一の被爆国として反核感情、核へのアレルギーが極めて強い。非核三原則もシンから出ている」と述べました。さらに、「経済面の利益からも、米国の核の傘の中にとどまる方が賢明」だとしています。

 続けてミッチェル氏が、「北(朝鮮)が明らかに核爆弾を有しミサイルを有しているとしても…自分自身で対処すべきとの国内の政治圧力が高まることはないのか」とただしました。

 細川氏は、日本は日米安保条約の枠内にとどまるとの見解を示した上で、「考えられる将来日本の核保有はありえない」と断定しました。さらに羽田孜(つとむ)副総理(外相)は、「核不拡散は何としても貫く。(日本の核保有は)米国の有識者の多くが反対し、アジアの諸国も万一日本が核を持てば非常に憂慮しよう」と付け加えました。

 政府高官が今月18日、中国や北朝鮮、ロシアの核軍拡に言及し、「日本も核保有すべきだ」と発言したことが明らかになりました。この発言をめぐり、米国務省報道担当官は19日、「日本は核不拡散および核軍備管理の推進において世界的なリーダーであり、米国にとって重要なパートナーだ」とコメント。日本の核保有をけん制し、従来の立場を維持するよう求めたものとみられています。今回、明らかになった外交文書は、米側は自らの核独占態勢を維持する立場から、日本の核保有には極めて否定的な見解であることを強く示唆しています。

 「核保有」発言の高官をめぐっては、野党各党や与党内からも罷免を求める声が相次いでいますが、現時点でそうした動きはありません。

 外務省は原則として作成から30年が経過した外交文書を公開。東京・麻布台の外交史料館や、同館ホームページで閲覧できます。