「政治とカネ」をめぐる問題に何ら決着をつけないまま済ますつもりなのか―。昨年の総選挙、今年の参院選で自民党の裏金問題に国民の厳しい審判が下されました。しかし、大本にある企業・団体献金禁止の問題は自民の抵抗とそれに手を貸す勢力によって先延ばしされ、進展もないまま年を越すことになりました。
日本共産党は企業・団体献金の全面禁止を一貫して主張してきました。今年の通常国会では、共産、立憲民主党、日本維新の会などが企業・団体献金の禁止で一致するなど事態が大きく進展。与野党で企業・団体献金のあり方について今年3月までに結論をえるとされていました。
■全面禁止から後退
ところが、国民民主党、公明党が禁止ではなく規制の強化にとどめる案を出して自民に手を貸し、結論が先送りされました。
高市早苗政権となった臨時国会では、国民民主と公明が企業・団体献金の受け手を限定する法案を出しました。禁止を主張してきた立民の野田佳彦代表は、党首討論で「政党支部は受け取れないようにすることは前進だ」などと述べて妥協し、国民・公明案に賛成する考えを表明しました。
しかし、その国民・公明案さえ、企業・団体献金を重要な資金源とする自民は、のもうとしません。自民と連立を組んだ維新も、企業・団体献金の禁止という従来の主張を棚上げして、自民の抵抗に手を貸しました。
維新が自民と10月に交わした連立政権合意書では、企業・団体献金のあり方について「高市総裁の任期中に結論をえる」として、2027年9月まで先送りしています。
しかし、「政治とカネ」の問題は高市政権のもとでも噴出し続けています。
高市首相や小泉進次郎防衛相が代表を務める自民党支部が、政治資金規正法の上限を超える寄付を受けていました。
政治家個人への企業・団体献金は禁止されています。しかし、政治家が支部長を務める支部が抜け道として使われてきました。首相自身がホームページで、自身の政策に共鳴し、活動費の協力をしてくれる法人は「高市早苗が支部長を務める政党支部」に献金してくださいと呼びかけています。
■無反省続ける傲慢
共産党の山添拓議員が15日の参院予算委員会で追及すると、高市首相は「政党支部というのは…支部長の私物ではない」などと詭弁(きべん)を弄(ろう)して言い逃れました。全く反省の色を見せない高市首相の傲慢(ごうまん)さが際立っています。
これまで自民が金権汚職事件を起こすたびに国会が企業・団体献金を制限する立法措置を積み重ねてきました。しかし、自民はそのたびに抜け道をつくって企業・団体献金を温存してきました。
政治腐敗の大本にある企業・団体献金に手をつけないまま、これ以上やり過ごすことは許されません。「政治資金パーティー券の購入」「政党本部・支部への献金」という二つの抜け道をふさぎ、企業・団体献金の全面禁止に踏み出すことで、きちんと“けじめ”をつけるべきです。

