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2025年12月24日

高額療養費限度額引き上げ

がん患者が撤回要請
生活費とてんびん「つらい」

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(写真)厚労省の担当者(右端)に要請書を手渡す患者と保団連担当者ら=23日、東京都千代田区

 医療費の自己負担に月額上限を設けている高額療養費制度の見直しをめぐり、患者と全国保険医団体連合会(保団連)が23日、厚生労働省に限度額引き上げの撤回を求めて要請書とオンライン署名17万2918人分を提出しました。

 闘病を続ける肺がん患者の女性(51)は、大学と高校受験をひかえる2人の子を持ちます。「教育費と自分の治療費をてんびんにかけている。(治療費が)1円でも上がると子どもたちへの影響が心配」だと述べ、経済的不安が精神的不安につながり一時、精神腫瘍(しゅよう)科にも通ったと語りました。

 卵巣がんをわずらい7年になる女性(58)は、年間4回以上制度を利用する多数回該当者です。物価高でさらに生活が厳しいとし、「毎月(の医療費負担)となると非常に高い。生活費をどれだけ下げようか考えている。精神的につらく不安で眠れなくなる」。

 厚労省の専門委員会は15日、医療費の伸びに応じた限度額の見直しや所得区分の細分化と、70歳以上の外来受診費を抑える「外来特例」の上限額の見直しや対象年齢の引き上げを検討、来年夏以降順次施行するという基本的な考え方を取りまとめました。

 23日に開いた記者会見で保団連の本並省吾事務局次長は、今年3月に同様な見直しが凍結されたにもかかわらず、当事者の声や実態が反映されていないことを批判。患者は病気で就労制限を余儀なくされ金銭的余裕がないと強調し、引き上げによる治療中断の危険性も訴えました。

 要請書では、(1)公費投入による保険料負担軽減(2)すべての所得区分の限度額引き下げ―を求めています。