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2025年12月24日

「再審の扉を閉ざす」

「選別規定」に批判相次ぐ
制度見直し 法制審部会

 刑事裁判のやり直し「再審」制度の見直しを検討する法制審議会(法相の諮問機関)部会がそもそもの出発点である「えん罪被害者の救済」への逆行が明らかになっています。今月になって法務省が提出した「スクリーニング(選別)規定」について、部会委員の弁護士から「再審の扉を閉ざす」と強い批判が上がっています。

 「入り口で『棄却しなければならない』と義務を課すことは、間違いなく再審の扉を閉ざすことになる」。そう語るのは、元裁判長で、法制審部会委員の村山浩昭弁護士です。

 前回16日の部会で示された「検討資料」では、今の再審手続きにはない「スクリーニング(選別)規定」と呼ばれる規定を盛り込んでいます。「(裁判所は)審判開始決定をした後でなければ、事実の取り調べをすることができないものとする」というものです。検察が出していない新証拠の有無を知ることもできずに、裁判所は再審請求を「棄却」できます。

 同日の会見で鴨志田祐美弁護士(日本弁護士連合会再審法改正実現本部本部長代行)は「法務省案では、『再審の請求が理由のないもの』は棄却『しなければならない』と義務づけている。これは『迅速な救済』ではなく『迅速な切り捨て』のマシンをつくるようなもの」と批判します。

 鴨志田氏は、死刑判決が確定後に再審無罪となった「財田川(さいたがわ)事件」を紹介。「受刑者本人が書いた不備だらけの手紙を裁判官が読み、『これは何かある』と事実調べをして再審につながった。新規定になると、こうしたケースまでも門前払いされ、義務的に却下される」と強調しました。

 再審を始めるかどうかを審理する再審請求審について、現在の再審法は証拠開示の規定がありません。そのため、担当する裁判官に審理が左右され、長期化することが問題となってきました。

 超党派の議連による再審法改正案が、すでに国会に提出されています。議連案は、検察官の抗告禁止や、幅広い証拠開示規定を盛り込んでおり、えん罪被害者が支持する内容です。

 ところが、法制審部会の議論は、議連案と一線を画す内容となっています。議論の進め方も、論点を法務省側が取捨選択して進めるなど「アンフェア」との批判が上がっています。