(写真)講演する小池書記局長(左奥)=19日、熊本市
熊本市の民主的医療団体の有志でつくる日本共産党後援会は同市内で19日、小池晃党書記局長を迎えてつどいを開き、会場とオンラインで約60人が参加しました。小池氏は、日本の医療・介護の現状について『資本論』の角度も交えて講演しました。
小池氏は、物価高などで給与費、水道光熱費など全経費が増加し7割近い病院が赤字に苦しんでいると指摘。さらに高齢化などで当然増える社会保障費の伸び(自然増)を今年度予算で1300億円も抑制するなど政府が毎年行ってきた抑制策が「病院経営を圧迫している」と告発しました。
日本の対国内総生産(GDP)比の社会保障支出が、日本ほど高齢化が進んでいない米国、ドイツ、フランスなどよりも少ない事実などを示し、「日本は高齢者にあまりにもお金を使っていない」として「高齢化」を口実に社会保障費抑制を狙う政府のやり方を批判しました。今後増えていく医療福祉労働者の労働条件が良くなることなしに「日本経済が元気になるわけがない」と強調しました。
医療の危機を打開するには診療報酬の引き上げとともに、「税金の集め方、使い方の抜本的見直しが必要だ」と述べ、大企業優遇税制をやめ富裕層に応分の税負担を求める共産党の政策を紹介。2022年12月の安保3文書の閣議決定以降軍事費が急増し、違憲の敵基地攻撃能力である長射程ミサイルが今年度中に同市内の陸上自衛隊健軍駐屯地に配備される問題なども挙げ、こうしたことをやめれば、財源は確保できると指摘しました。
『資本論』で唱えられた、資本家の搾取から労働者を守る「社会的バリケード」(社会的ルールづくり)に言及。「社会的バリケード」として▽社会保障制度▽医療保険制度(国民皆保険)▽診療報酬・介護報酬=公的価格―は、平等に医療を保障する仕組みを要求してきた労働者のたたかいの重要な成果だと強調しました。
診療報酬や介護報酬の抑制は、国と財界が一体になっての搾取強化=「社会的バリケード」解体攻撃だと批判。これに対し医療・介護従事者の処遇改善、医師、看護師、スタッフなどの増員要求のたたかいは、「国民皆保険と社会保障という『社会的バリケード』を守るたたかいであり、この国のすべての人の命と健康を守るたたかいと一体だ。たたかおうと呼び掛けているのが『資本論』だ。ともに頑張ろう」と語りかけました。
参加者からは、「これだけわれわれが搾取されているんだということを実感した」「共産党の力は、非常に理論的なところだ」との声が上がり、熱い感想を交わし合いました。

