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2025年12月21日

きょうの潮流

 非核三原則を国是として明確に打ち出した―。ノーベル平和賞が日本に初めてきた時の理由です。それを提唱したとして自民党の佐藤栄作元首相が選ばれました。およそ半世紀前のことです▼その授賞は耳を疑う驚きでした。当時国内は、米海軍少将だったラロック氏の日本への核持ち込み証言で大騒ぎ。しかも米核空母ミッドウェーの横須賀入港が重なり、抗議と怒りの輪が列島中に広がっていました▼そんな状況での授賞は「虚構の平和賞」といわれ、佐藤氏自身も「核はごめんこうむるとだけはいっていられない。毒も薬になる」と受賞の弁で言い放っていました。その後、米国と核持ち込みの密約文書を交わしていたことも明るみに▼いままた、高市政権下で非核三原則を骨抜きにしようとする動きが相次いでいます。堅持するとは決して口にせず見直しさえ求める高市首相のもと、政府高官が「日本は核兵器を保有すべきだ」と発言しました▼国是としてきたものを軽口のようにひっくり返す。木原官房長官も「コメントしない」と人ごとみたいに。被団協のノーベル平和賞や戦後・被爆80年の節目にあたり核廃絶への願いが改めて強まるなか、被爆国の政府がそれを足蹴(あしげ)にするとは▼国内外から「日本の人民に与えられたもの」との声が上がった佐藤氏の平和賞。時を経て、被団協の濱住治郎事務局長は「私たちの平和賞を今もみんなが喜んでくれる。これは国民に贈られたもの」だと。そこからかけ離れた政権は末路をたどるだけです。