(写真)政府側に申し入れる金英丸氏(左端)らと山添議員(右端)=19日、国会内
日本の侵略戦争に軍人・軍属などとして強制動員された朝鮮人戦没者の遺骨について、遺族と市民団体が19日、国会内で、厚生労働省と外務省に返還を申し入れて交渉しました。日本共産党の山添拓参院議員が参加しました。
強制連行されていた多数の朝鮮人を乗せた船が舞鶴沖で爆発・沈没した浮島丸事件(1945年8月)の犠牲者など、多くの朝鮮人戦没者の遺骨が現在も日本国内に残っています。遺族は遺骨の鑑定に必要な親族のDNA試料の提供を申し出ていますが、日本政府は受け入れを拒否するなど、極めて冷淡な態度をとり続けています。
「戦没者遺骨を家族の元へ」連絡会の上田慶司共同代表は、日本政府の後ろ向きな姿勢を批判し、申し入れへの各省の対応は「何を聞いても『答えは差し控える』の繰り返しだ」と指摘。「日本政府には朝鮮の人々を戦争に動員した責任がある。特に厚労省は軍事動員の中心だった歴史を直視し、人としてまっとうな対応をしてほしい」と訴えました。
太平洋戦争被害者補償推進協議会の金英丸(キム・ヨンファン)さんは、日本政府が済州(チェジュ)島など韓国国内で日本人戦没者の遺骨を収容し、韓国政府も日本への帰還を認めてきたことを挙げ「韓国は日本人遺骨を返しているのに、なぜ日本は韓国に遺骨を返還しないのか。日本政府はあれこれ言って何もしようとしない」と述べ、日本政府の姿勢は「人道に反する」と厳しく批判しました。
遺骨奉還宗教者市民連絡会の殿平善彦さんは「戦後80年を過ぎてもなお、遺骨の遺族への返還が進まない現実に焦りと怒りを覚える」と述べ、「遺骨返還に全力を挙げる時だ」と訴えました。
山添議員は、遺骨返還は日本が国家の責任として対応しなければならない問題だと述べ、「遺骨それぞれに帰りを待っている方がいる。一刻も早く対応をお願いしたい」と訴えました。

