自民党と日本維新の会は19日、2026年度与党「税制改正大綱」を決定しました。大綱は軍拡財源を確保するための所得税増税の開始時期を27年1月と明記しました。
軍拡増税は所得税額の1%を上乗せする一方、東日本大震災の復興財源として徴収している「復興特別所得税」の税率を1%引き下げることで、当面の税負担を増やさないとしています。さらに復興特別所得税の課税期間は10年延長します。総額では国民の負担は増えます。
大綱は冒頭の「基本的考え方」で法人税について、「メリハリのある対応を講じていく」と述べました。しかし盛り込まれたのは大企業に対する賃上げ促進税制の廃止程度です。
むしろ大企業支援の姿勢が目立ちます。大綱では企業に大規模な設備投資を促す減税策を創設。一定の条件を満たせば投資額の最大7%を法人税額から差し引くことができます。
研究開発減税については「AI(人工知能)・先端ロボット」「半導体・通信」など政府が「国家戦略技術」とする分野への特別枠を設置。法人税額から控除できる金額を、現行の投資額の最大14%から最大40%へ控除率を引き上げます。大学などとの共同研究では控除率を現行の最大30%から最大50%まで引き上げます。
所得税の課税最低限は現行の160万円から178万円に引き上げます。基礎控除と給与所得控除最低額の本則をそれぞれ4万円引き上げることに加え、特例として26、27年の2年限定で両者をそれぞれ5万円引き上げます。所得税負担のない低所得者層には恩恵がない上、今回減税となる中所得者も2年後には増税になる恐れがあります。また高額所得者の所得税負担が低くなる「1億円の壁」対策として、追加の税負担を課す対象を拡大します。
一方、7月の参院選で野党各党が掲げ、国民的要求も強い消費税減税については背を向けています。インボイス(適格請求書)制度については、免税業者からの仕入れ額にかかる消費税分の8割を納税額から控除できる特例を、7割に縮小します。

