高市早苗首相のもとで初の臨時国会が閉会しました。高市首相は国会を乗り切るため、連立相手を公明党から日本維新の会にかえたうえ、維新を除名された議員を自民党会派に入れて衆院過半数を確保するなど、なりふり構わぬ多数派工作を行いました。しかし、暮らしや外交・安全保障での行き詰まりは深刻です。
■揺らぐ経済の土台
補正予算は成立したものの、物価高から国民の暮らしを守り、経済を立て直す太い方策は示されていません。
18兆円を超す補正予算に計上された物価対策は、子ども1人あたり2万円給付など一時しのぎにすぎません。一方で、大企業支援や軍拡には8・1兆円もつぎ込み、財源の6割超を国債で賄います。
高市首相は「財政の持続可能性にも十分配慮している」などと開き直りますが、市場では財政悪化の懸念から長期金利が上昇。円安による物価上昇でわずかな物価対策も帳消しになりかねず、日本経済の土台を揺るがしています。
さらに、台湾有事をめぐり「存立危機事態になりうる」とした高市首相の発言が日中関係を悪化させています。高市首相は「従来の政府の立場を超えて答弁したように受け止められたことを反省」というものの、発言を撤回しません。日米軍事同盟と安保法制によって米国の戦争に日本が巻き込まれる危険は高まっています。しかし、危機を煽(あお)ることで支持を得ようとする高市首相では、外交による事態の打開もできません。
一方、臨時国会では、全政党の真価も試されました。
維新は窮地に陥った自民の延命に手を貸すだけでなく、危険な政策のけん引役となっています。自民におもねって企業・団体献金禁止を棚上げし、議員定数削減を突然持ち出して「政治とカネ」問題を後景に追いやりました。維新が連立の「絶対条件」と位置づけた定数削減は審議入りできませんでしたが、連立は続け、実現に固執しています。
野党も問われています。国民民主党は大軍拡を問題とせず、ガソリン税の暫定税率廃止などを理由に補正予算に賛成。参政党は「スパイ防止法」制定などで民主主義破壊の先兵を務めています。公明は立憲民主党と補正予算の組み替え動議をだしながら、予算に賛成する矛盾した態度をとり、高市政権を助けました。
■転換への確かな力
こうしたなか高市政権と正面から対決する日本共産党の役割が重みを増しています。
暮らしの問題では、大企業の内部留保活用による賃上げ、大企業・富裕層優遇税制の是正などを主張し、消費税減税や社会保障充実の道を示しました。日中関係をめぐっても、高市首相の「台湾発言」の問題点を歴史的経緯から明らかにして撤回を迫り、日中友好関係再構築のための方策を提案、行動してきました。
高市政権は日本が直面する課題を解決できず、国民の求める平和、民主主義、暮らしの要求とぶつかります。多様な要求で国民的共同を広げることが行き詰まった政治を変える力となります。全国各地で新たな国民的共同をつくり、広げることに力をつくしましょう。

