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2025年12月19日

温暖化対策が不十分

権利侵害訴え452人が国提訴

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(写真)提訴後に行進する気候正義訴訟の原告団と弁護士=18日、東京地裁前

 政府の温暖化対策が極めて不十分なため生命、健康などの基本的人権が侵害されているとして、全国各地の原告452人が18日、国に1人あたり1000円の賠償を求めて東京地裁に提訴しました。

 地球温暖化の原因となる温室効果ガスについて、政府は排出量の削減計画を策定し、国連に提出しています。原告は、この計画が、地球の平均気温の上昇を産業革命前と比べ1・5度未満に抑えるとした国際的枠組み「パリ協定」に合っておらず、平穏に生活する権利が侵害されていると訴えています。

 また、温室効果ガス削減計画の根拠となる地球温暖化対策推進法に拘束力がなく、事業者による石炭火力発電所の建設などを止められないことは立法不作為だとしています。

 原告となった建設業で一人親方の秋山喜一さん(57)は提訴後の会見で、酷暑による建設現場の対策費や身体的負担を訴えました。冷涼時期に作成した見積もりで夏に受注すると、実際は3~4倍に膨れ上がり、作業も10分ごとに休まなければならないとし、「これはおかしい。なんとかしてほしい」と述べました。

 別の原告、中野裕子さん(40)は「個人が生活様式や意識をすぐに変えるのは難しい。国がかじを切ってくれれば」と話しました。

 呼びかけ人で原告の東京大学准教授、斎藤幸平さんは、未来の世代やすでに被害を受けている途上国の人々に対する責任を果たさなければならないと述べました。