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2025年12月19日

オスプレイ事故巡り米軍が包括評価

米軍「リスク増え続ける」
防衛省 趣旨ゆがめ「安全」
日本国内で飛行野放し

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(写真)漁船で回収された米空軍CV22オスプレイの機体の一部とみられる物=2023年11月30日、鹿児島県屋久島町

 米軍はこのほど、垂直離着陸機V22オスプレイの相次ぐ重大事故に関する「包括的レビュー」を公表し、リスク軽減のための取り組みに時間がかかることなどに強い危機感を示し、再び重大事故が起こる「リスクが増え続けている」との所見を示しました。

 防衛省は15日、レビュー公表を関係自治体に通知。ところが、リスクが増え続けているという米軍の認識にいっさい触れず、「オスプレイの機体の安全性の評価に影響するものではない」と一方的に説明。さらに、「日米オスプレイに新たな運用制限を課すものではない」として、陸上自衛隊V22オスプレイを含め、今後も日本国内でのオスプレイの飛行を野放しにする考えを示しました。

 レビューは、最も重大な「クラスA」事故(総額250万ドル以上の損害、または乗組員の死亡、後遺障害が発生)が過去4年間で12件発生し、うち7件が機械的な要因だったと公表。主要な事例として、(1)エンジンとプロペラをつなぐクラッチが再結合する際、すべって機体が不安定になるハードクラッチ・エンゲージメント(HCE)(2)不純物(X53鋼合金材料)の混入による駆動系ギアの破滅的な故障―を列挙しました。

 2023年11月に鹿児島県・屋久島沖で発生した米空軍CV22オスプレイの墜落は、エンジンの動力を伝えるプロップローター・ギアボックス(PRGB)内の歯車が何らかの要因で破断し、その破片が他の歯車に挟まり、歯車が摩耗して動力が伝わらなくなったことで発生しました。

 米軍は同事故を受け、全世界でオスプレイの運用を一時停止。安全措置がとられたとして24年3月以降、運用再開を強行しました。これに関してレビューは、同様の事例は06年以来22件発生してきたものの、担当部局は不純物混入のリスクを24年3月まで理解できなかったとしています。

 改善策としてPRGBの更新が決定されましたが、完了の時期は▼不純物を除去するシステムの更新完了が33年▼クラッチを内蔵する「インプット・クイール」は34年としています。米軍は、オスプレイの運用を50~60年代まで継続する構えで、当面はリスクを抱えながら運用を継続する考えです。

 レビューは、安全性を確保するための各種改善策が実行されなければ「破滅的な結果」をもたらすと警告しています。