日本維新の会の佐々木理江参院議員(43)が代表取締役だった企業のグループが投資トラブルを起こし、複数の出資者が返金を求めていることが分かりました。佐々木氏の説明責任が問われます。(丹田智之)
(写真)佐々木理江参院議員の事務所=8月19日、大阪市住之江区
「信頼できる知人に紹介され、2回で計4000万円を投資しました。配当金が『きちんと出ている』という話だったので…」。そう語るのは、西日本に住む60代の平瀬功さん(仮名)です。自身の貯金で投資したのは「SDDホールディングス」(SDD社)が出資者を募るFXファンドでした。
最初の数カ月間は、平瀬さんの口座に毎月40万円の配当金が振り込まれていました。その後、追加投資をして計4000万円に達したところで配当がストップ。平瀬さんがSDD社に抗議し、全額の返金を求めても「細切れで一部しか振り込まれなかった」と言います。
SDD社からの配当金を振り込んでいたのは、佐々木氏が23年10月まで代表取締役だった決済代行会社「Jスタイル」です。大阪市議だった佐々木氏は7月、参院選の大阪選挙区で初当選しました。
平瀬さんは、複数の出資者と連絡を取り合いました。そうしたところ、被害額が2億5000万円を超えることが明らかになりました。被害は「氷山の一角だ」と指摘します。
金融庁から「警告」
(写真)「明快な月額配当率2%」「入出金が自由」などの説明が書かれたSDD社の勧誘パンフレット(原本を複写)
平瀬さんは弁護士に相談し、SDD社が19年3月に金融庁から無登録業者として金融商品取引法違反の「警告」を受けていたことを知りました。
無登録業者のSDD社と佐々木氏の接点はいくつもありました。SDD社のグループ企業の一つ、自動車関連会社「SDDオートスポーツ」(11月末に解散)の代表取締役を佐々木氏は2月まで務めていました。佐々木氏の後任となったA氏は、SDD社と「SDDインベストメント」の代表取締役を兼務しています。
平瀬さんによると、A氏は投資事業の実質的な運営、資金管理、出資者の対応などを担っています。佐々木氏が代表だったグループ企業は、SDD社の投資事業を信用面で支える役割があったと平瀬さんはみています。
政治活動を支援か
SDD社側が佐々木氏の政治活動を支援していた疑いもあります。18年10月に大阪市住之江区の公園で開かれた「こどもフェスティバル」(主催・同実行委員会)のチラシには「共催・SDDインベストメント」の文字があります。実行委の所在地は「佐々木りえ後援会」と同じで、会場内には佐々木氏の「市政報告ブース」が設けられました。
投資トラブルでは、複数の出資者がSDD社側を刑事告訴し、返金請求の民事訴訟も継続中です。不誠実な対応を続けるSDD社に対し、平瀬さんは「警察が本腰を入れて捜査してほしい」と話しています。
本紙はA氏に質問状を送りましたが、期限までに回答はありませんでした。
佐々木氏の事務所に投資トラブルについて尋ねたところ、SDDオートスポーツとJスタイルの代表取締役を「無報酬」で務めていたとしか本紙に答えませんでした。
平瀬さんは、SDD社の事業や投資トラブルを週刊誌などで「把握していない」と説明する佐々木氏を「どう考えても不可解だ」と指摘。「被害が拡大していた時期と佐々木氏が代表取締役だった時期は重なる」とし、資金の流れを含めて「詳細な解明が求められる」と述べています。

