(写真)峠の資料を熱心に見る市民(許可を得て撮影)=17日、広島市
広島で被爆し「ちちをかえせ ははをかえせ」と始まる詩で知られる原爆詩人で、日本共産党員だった峠三吉(1917~53年)の日記や直筆原稿、創作ノートなどを公開する資料展「にんげんをかえせ 峠三吉氏寄託資料公開」が17日、広島市の広島平和記念資料館東館の情報資料室で始まりました。日本共産党中央委員会が被爆80年の今年、同資料館に寄託した貴重な資料です。
資料は2002年、峠の遺志を生かすためにと遺族から党中央委員会に寄贈されたもの。今年10月、広く国民の財産として閲覧、活用できる条件を整えてもらおうと同資料館に申し入れ寄託しました。『原爆詩集』の謄写版刷りや戦前から戦後の日記、短歌・俳句・童謡などの創作ノート、書簡、自画像、姉の肖像画など139点の資料です。
展示期間は来年6月16日まで。資料保護のため、1カ月ごとに展示が入れ替えられ、計40点の資料が展示されます。入場は無料です。
初回は峠が中学校卒業直後から亡くなるまで、ほぼ毎日つづっていた日記や生前最後の日記、峠関係の書籍などが展示されています。
校外学習で訪れた市内の小学6年の女児は、「ちちをかえせ」などの峠の詩にふれ、「奪われた日常を悲しむ思いや平和を求める願いが、この強い言い方から伝わってくる。世界のどこでも戦争はしてほしくありません」と話しました。

