日本共産党の岩渕友議員は16日の参院予算委員会で、東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域の立ち入り規制の緩和方針は「国の責任放棄だ」と指摘し、見直しを求めました。
政府は6月20日に閣議決定した2026年度からの5年間の復興の基本方針で、避難指示が出ている帰還困難区域内において、「区域から個人へ」という考えのもと「活動の自由化」などを検討するとしました。
岩渕氏は「除染もせずに避難指示を解除するということか」と追及しました。高市早苗首相は、避難指示解除には空間線量の低減などの要件があり、地元との協議も必要だと答弁。一方で、現在も未除染の場所に「個人が被ばく線量を管理し立ち入っている」などと述べ、区域全体の除染に関する政府の責任には言及しませんでした。
岩渕氏は政府の基本方針について、帰還困難区域の全面的な除染を行わずに、個人の自己責任による放射線量管理のもとで「活動の自由化」をすすめる内容だと批判。「これでは住民の安全は守られない」と指摘しました。
首相は「(基本方針は)避難指示解除に関する考え方を変えるものではない」と強弁。「自由化については県や地元自治体などと丁寧に協議していく」などと述べました。岩渕氏は、区域の住民から「除染を終わりにする切り捨て宣言だ」と怒りの声があがっていると強調。「『協議』と言いながら結局、国の責任を放棄している」と批判しました。

